【インタビュー】“独立局の力”でアニメをもっと自由に。TOKYO MXが描く、これからのアニメのかたち/AnimeJapan 2026 | アニメ!アニメ!

【インタビュー】“独立局の力”でアニメをもっと自由に。TOKYO MXが描く、これからのアニメのかたち/AnimeJapan 2026

TOKYO MXはアニメJapan 2026で過去最多の13作品を出展。独立局ならではの柔軟さを武器に、作品の意図に寄り添った放送を実現し、『進撃の巨人』などの作品化を成功させた。今後は21時台への拡大、ドラマとの連携、ショートアニメ展開を予定している。

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【インタビュー】“独立局の力”でアニメをもっと自由に。TOKYO MXが描く、これからのアニメのかたち/AnimeJapan 2026
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2026年3月28日(土)、29日(日)に東京ビッグサイトで開催された、世界最大級のアニメイベント「AnimeJapan 2026」。国内外から過去最多となる約15万6,000人が来場し、会場にはメディアや制作会社など、アニメ・IPに関わる多くの企業が集結しました。130を超えるブース展示や多彩なステージイベントを通じて、アニメ・IP業界の“今”を肌で感じられる2日間となりました。

アニメ!アニメ!では今回、東京メトロポリタンテレビジョン株式会社 アニメビジネス局長の買場道雄さんにインタビュー。TOKYO MXが描くこれからのアニメ戦略や、地上波・配信・海外を横断する展開について伺いました。

独立局ならではの柔軟さを武器に、常に新しい挑戦を続けるTOKYO MX。その自由な発想と、“作品の想いを最大限に生かす放送づくり”への姿勢に迫ります。

舞台裏や音楽など“制作の現場”を届けたい。アニメの魅力を広げる情報番組構想

――「AnimeJapan 2026」でのTOKYO MXの出展内容や見どころについて教えてください。

買場 今年のブースは過去最多の13作品をお預かりしているのが一番大きいポイントですね。 11のステージ、話題作の第1話上映会などを実施しています。初めて出展した年は簡単なノベルティの配布だけだったのが、10年ほどかけて徐々にブースが大きくなっていって、今年ここまで作品数を増やせたのは、製作委員会の方との10年を超える連携のおかげです。とても感謝しています。

ブースでは憩いの場を提供しようということで、アンケートにお答えいただいた方へTOKYO MXのマスコット、ゆめらいおんのペットボトル(飲料水)とペットボトルチャームを差し上げています。ステージの合間には、7月から放送予定の『ヤニねこ』にちなんで、リアル・ヤニねこのグリーティング……といってもニコニコ愛嬌を振りまくわけではない、ちょっと変わったグリーティング(笑)も実施しています。

“ちょっと変わった”といえば、KING AMUSEMENT CREATIVEさんの公式キャラクター「きんくりん」と、我々のマスコット「ゆめらいおん」はどちらもライオンがモチーフということで、ブースを訪問してのコラボも実現しました。この企画、実は両社の懇親会で出たアイデアなんですよ。

左から、ゆめらいおん(TOKYO MX)、きんくりん(KING AMUSEMENT CREATIVE)、いちじんちゃん(一迅社)

――TOKYO MXのアニメ放送・制作の特徴について、教えてください。

買場 もともとTOKYO MXで深夜アニメがここまで増えてきたのは、この10年ほどのことなんです。それまで深夜枠は、当社のみならずエンタメ会社の若手ディレクターが、新しいことにチャレンジするためにバラエティ番組を中心としたさまざまな番組を作ってきました。そのチャレンジの1つとしてアニメが加わり、徐々にメーカーさんや広告会社さんに協力いただけるようになって、作品が増えてきたのではないかと思っています。

我々は製作委員会やメーカーの「これを伝えたい」という思いを、できる限りそのままの形で世の中に届けたいと考えています。今後もその姿勢は変わらないと思います。近年は製作委員会に参画する案件も増えてきましたので、我々の番組の中でもどんどん紹介していって、盛り上げに協力したいと考えています。

2026年度中にアニメの情報番組を作りたいと考えていまして、初めは月1回程度の放送になるかもしれませんが、舞台裏をお見せしたり音楽をクローズアップしたりといった番組にしたいと思っています。

「柔軟さ」が最大の武器――作品の意図に寄り添うTOKYO MXの放送づくり

――アニメ放送・製作において、TOKYO MXのような独立局ならではの強みはどこにあるとお考えですか。

買場 「柔軟さ」が一番大きいと思いますね。編成にしても、作品が持つ世界観とかターゲットに沿った放送枠を製作委員会さんと我々で話し合いながら当てはめられるのは、かなり特徴的なのではないでしょうか。

表現の柔軟さもそうですね。『進撃の巨人』は、グロテスクな表現の影響が懸念されるといったことから、当初キー局での放送が叶わなかったと聞いています。その次に我々に放送の話をいただきまして、さすがに我々も「ちょっと厳しいんじゃないか」という話にはなったのですが、アニメの部署の「この作品をなんとか放送したい」という非常に強い熱量もあって、放送にこぎ着けました。放送が始まってみると、ポジティブな意見が広がり、第2期では放送局も増えました。とはいえまさか最終的に、一番ハードルが高いと見られているNHKで放送されるとは思ってもみませんでした。

ただ、はじめに我々が放送したことで、視聴者のポジティブな反応を確認できて、その結果ここまで大きなコンテンツになった、そのきっかけを作れたという意味ではとても良かったと思います。

――さまざまな作品を放送するうえで、内容の表現についてはどのように判断されているのでしょうか。

昨夏に放送したアダルトゲーム原作の『ぬきたし THE ANIMATION』も、際どい性的表現があるので当初は厳しいと見られていたのですが、何とかして放送を実現させたいと考えました。そこで、他局の状況も踏まえ、TOKYO MXのアニメとしては過去最も深い深夜26時30分~に放送しました。さらにTOKYO MX1では静止画と音声のみ、TOKYO MX2では動画で同時放送しまして、チャンネル変更をしなければ動画で観られない、つまり偶然目に入ってしまわないように最大限配慮しました。

今後も、時代とともに表現がどこまで許されるかは変わってくると思いますが、我々も常に勉強して、作品が狙っているレベルに沿えるような答えを出していければと思っています。

――TOKYO MXのアニメ放送・製作において、デジタル配信を意識した取り組みなどはありますか?

買場 現在TVerとYouTube、Rチャンネルでアニメの展開をさせていただいています。TVerでは、主に我々が出資した作品の配信が多く、2025年度はこれまでで最多の本数になりました。今後さらに増えていく見込みです。

――アニメ放送・製作において、アニメ・IPの海外展開を意識した取り組みなどはありますか?

買場 私たちが主体となって製作しているオリジナルアニメはほとんどないので、海外展開も基本的には各メーカーさんに考えていただく形になるんですね。アニメではないのですが、大人気ゲームとのコラボレーションを考えています。まずこれを成功させて、最終的には海外でのイベントにも出たいですね。

早い時間帯への挑戦、ドラマとの連携、ショートアニメ展開。拡張を続けるTOKYO MXの次の一手

――アニメ放送・配信を軸とするIPビジネス業界は今後どのように推移していくと考えていますか?

買場 今、アニメ製作のコストが非常に上がっていまして、10年ほど前と比べても、1本あたり2~3倍かかるようになってきているんです。大きくなった製作費を回収するために、海外で受け入れられやすいジャンルに作品が偏りがちだということは、業界の多くのみなさんから聞くところです。そういった状況を踏まえると、世界へ向けて売り出すビッグタイトルと、イベントやグッズ展開などで多角的に楽しんでいただくタイトルに二極化していくのではないかと思っています。例えばイベントは放送と親和性が高いですし、私個人的にもイマーシブコンテンツが大好きで、世界中に体験しに行っているので、アニメ・IPとの連携で大きなビジネスにできないかとは考えています。今後、各社さんのIP戦略を後押しする形で、我々が少しでもお手伝いできればうれしいですね。

――その中で、TOKYO MXが描く2026年以降のアニメ放送・配信戦略とは?

買場 アニメの放送時間帯をもう少し前、早い時間帯にできないかと考えています。現在、21時台の枠もいくつかはありますが、概ね22時台からのスタートになっています。その一方で、各局の新しい枠がどんどん早まっていて、22時台を狙う動きもあるようなんです。そこで我々はさらに早い21時台を新しい枠として育てられないだろうかと。そもそもテレビを観ている方も多い時間帯ですし、ここでやってみたいという作品があれば、ぜひ挑戦したいなと思ってます。

現在、アニメ枠でアニメ原作のドラマを放送するといった取り組みも実施しており、今後、さらなる連携もやってみたいです。今BL・TLのドラマが好調で、今後も増えてくると思うので、ドラマベルトのようなものができれば最高ですね。

そしておそらく今、各局がショートアニメに熱い視線を送っているところではないかと思うのですが、我々も新たな取り組みとして、ショートアニメを足掛かりに IP展開を進めていきたいと思っています。サイズ感的に取り組みやすいですし、今の制作スタジオの状況を踏まえても、5分程度のアニメをもっと充実させていけるのではないかと考えています。その中でタレントとコラボして、番組の中でショートアニメを流して、商品化も含めて大きなビジネスに…といった展開は、今年度中に始められるのではないかと見込んでいます。

視聴者とともに歩む “一緒に盛り上げるアニメ”がTOKYO MXの原動力

――視聴者・ファンへ向けてメッセージをいただけますか

視聴者の皆さん、いつも TOKYO MXでアニメを楽しんでいただき、本当にありがとうございます。私たちは、皆さんがハッシュタグで盛り上がり、リアルタイムで感情を共有する瞬間の熱量を何よりも大切にしています。2026年、MXは単なる「流す場所」ではなく、作品とファンが最初に出会う「最高の待ち合わせ場所」であり続けたいと考えています。これからも、皆さんの期待を超えられるよう努力していきますので、どうぞご期待ください。

【インタビュイープロフィール】
東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(TOKYO MX) アニメビジネス局長
買場道雄さん

《丸田カヨコ》

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