アニメ化されていない名作・良作マンガを紹介する本コラム【おすすめマンガ手帖】に、3月10日に第1巻が発売されたばかりの『JKモデラーズガイド』が登場!
プラスチック製組み立てキットのマンガといえば、組んだキットで戦うバトルマンガをイメージする人が多いかと思います。しかし『JKモデラーズガイド』はJKが淡々とキットを組む姿が楽しい日常系。YouTubeで組み立て配信を見守るような緩さと、熟練モデラーがどのようにキットを組むのか、その名人芸を知る新感覚のマンガとなっています。
角川アーキテクチャ刊行の雑誌「みたいな!」で連載していた本作は、2026年3月より「コミックNewtype」にお引越しして第1話より再掲載が行われました。そのコミック第1巻が3月10日、ついに発売されたということでぜひ紹介したい!
組み立てキットの奥深い世界はもちろんのこと、主人公のJK「天乃八雲(あまの やくも)」が“無気力かわいい”キャラクターで注目の『JKモデラーズガイド』。KADOKAWA編集部のご厚意もあり第1話を丸々掲載させていただいているので、ぜひマンガ本編と一緒にお楽しみください!
◆主人公は『ファイブスター物語』の熱烈ファン
主人公の「天乃八雲(あまの やくも)」は人間関係もSNSもダルいと思っているJK。趣味の組み立てキット制作でも、塗装の待ち時間の長さやヤスリがけさえ「ダルい」と思っています。それでもなぜかキットと向き合い、納得するまで作りこんでしまうのは、もはやモデラーの性(さが)としか言いようがありません。
本人のキャラクターもどこか身近に感じられる存在で、例えばお気に入りのゾイドと一緒に入浴して「ブンドド」遊びをしてみたり、月刊Newtypeの『ファイブスター物語』にワクワクしたりと、まさに“オレたち”そのもの。塗装でエアブラシを使う際はホコリがつかないよう、着衣を投げ捨てて慎重に処理するというドキドキな姿も見せてくれます。
そんな彼女が第1巻で組んだキットは以下の通り。
【タミヤ】1/35 フィンランド軍突撃砲 BT-42
【タカラトミー】ゾイド ギルラプター[ディノニクス種]
【ハセガワ】日本海軍 駆逐艦 島風“最終時”
【海洋堂】ARTPLA ゆるキャン△ カプセル版
【オモロイド】ピ・ボット
【ボークス】IMS 1/100 ザ・ナイト・オブ・ゴールド
本作で原案・ストーリー構成を担当するのはモデラーの「ダグ来栖」氏。各話に登場する組み立てキットを実際に製作する担当も兼ねています。
作画は『神のみぞ知るセカイ』『結婚するって、本当ですか』『ヨシダ檸檬ドロップス』の「若木民喜」氏。
ダグ氏の実際のキットがあるからこそ物語のディテールが深みを増し、若木氏の描くかわいい女の子が華を添えます。
◆理想の立体世界を表現するのが「組み立てキット」の良さ!
組み立てキットと言えば、やはり皆さんイメージするのはガンプラでしょう。しかし本作に登場するのは、戦車、戦艦、デフォルメロボット、キャラクターフィギュアなど、組み立て・塗装・ディテールアップまですべてを自分の手でこなすタイプです。
ガンプラは長い歴史の中、誰でもモデラーレベルの完成度になるよう「作りやすいキット」の開発が続けられて来ました。塗装しなくても良いように多色成形で初めから色分けされるようになっていますし、ランナーから切り離す際にできる「ゲート跡」(切断面のこと)も、パーツの組み合わせで隠れるようよく設計されています。
しかし八雲が組むのは、自分で形状を整え、塗装し、イメージ通りの状態に持っていく本来の「組み立てキット」の姿です。ガンプラが「作るアクションフィギュア」なのに対し、本来の組み立てキットは「理想の世界を作る」。ゲート跡をヤスリで消し、パーティングラインと呼ばれるパーツとパーツの境界線を消し、時には理想に近づけるためにパーツを削ったり延長したりして、「理想の世界」を具現化します。そのテクニックを見るのも、知らない工具を知ったりするのも醍醐味。それらテクニックを少しでも知っておくと、ガンプラがさらに楽しくなります。
また塗装に関しても、市販のカラーでは満足できないと、塗料を調合することも珍しくありません。そうやって精魂込めて「世界にひとつだけのキット」を作るのが八雲たちモデラーなのです。
言葉で説明するともの凄く高度に聞こえるかも知れませんが、ちょっとした塗装だけなら誰でもできますし、本格的な作り込みをしようと思えば誰もマネできない技術を発揮する。そのふり幅もまた組み立てキットの世界の面白いところ。八雲はその上位に入る存在で、作中では塗装ブースを自作したり、エッチングパーツと呼ばれるディテールアップパーツを駆使したりして、プロ顔負けのテクニックを見せてくれます。
自分ではなかなかやらないだけに見ていてとても楽しいですし、まさにそこが本作の良いところですね。
※エッチングパーツとは、細かすぎて成形が難しいパーツを金属パーツとして別売りしているもの。組み立てる際はピンセットなどで折り曲げて形状を整えてからキット本体に取りつけます。
◆幼なじみ「いろは」の登場でさらに華やかに!
そんな本作の空気が一変するのは第6話に入ってから。それまで八雲が淡々とキットを組んでいたのに対し、なんと八雲の幼なじみの「麻久いろは(まとば いろは)」が登場し、人懐こいキャラクターで八雲にベタベタしはじめます。その可愛さはこちらがムズかゆくなるほどです。
「いろは」は八雲と違って組み立てキットに興味はないのですが、キットと格闘している八雲を見ているのが好きで、頻繁に彼女の家を訪れるようになります。マイペースで感情を昂らせることもなく誰からも愛される人気者。熱心にキットに取り組む八雲の姿を“お絵描き”する無邪気なところもかわいいです。
本作は八雲のキット制作がおもな楽しみでありつつ、「いろは」との絡みにもほっこりでき、不思議な魅力を放つ作品だと思わせてくれます。配信でキット制作を見ることが一般的となった今だからこそ、もっと広がって欲しいマンガですね。

















<商品情報>
【JKモデラーズガイド①】
■漫画:若木民喜とダグ来栖
■定価:1,100円(本体1,000円+税)
■発売日:2026年03月10日
■ページ数:162ページ
【著者紹介】
・若木民喜
漫画家。代表作『神のみぞ知るセカイ』『結婚するって、本当ですか』(小学館)など。現在、本作と『ヨシダ檸檬ドロップス』(小学館)を連載中。最近、京都に引っ越した。
・ダグ来栖
モデラー。本作の原案、ストーリー構成および各話プラモデル製作を担当。若木民喜いわくダグ来栖の日常が一本の漫画になるというぐらい生粋のモデラーである。

