「わかりあえない」から始まる。TVアニメ『違国日記』が私たちの心を静かに揺さぶる「距離感」の正体 | アニメ!アニメ!

「わかりあえない」から始まる。TVアニメ『違国日記』が私たちの心を静かに揺さぶる「距離感」の正体

アニメ『違国日記』は、異なる背景の親子の共存と「わかりあえなさ」を描き、人間関係の距離感や理解を丁寧に表現している作品です。その魅力を解説します。

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『違国日記』キービジュアル第2弾場面写真
『違国日記』キービジュアル第2弾場面写真 全 13 枚 拡大写真

ヤマシタトモコによる漫画『違国日記』のテレビアニメが放送中。両親を事故で亡くした15歳の田汲朝と、叔母で小説家の高代槙生の共同生活を描いている。

タイトルのように「違う国」に住むふたりの日々を切りとった本作は、本質的に違う者同士がわかりあえなさのなかでいかに共存していくかを描く。特段大きな出来事はないものの、その共存の空気感や距離感の細やかな描写が『違国日記』の魅力のひとつである。

『違国日記』の原作は祥伝社『FEEL YOUNG』にて連載されていたヤマシタトモコによる漫画作品。連載当時からその名言の数々に「心が救われる」と話題になり、完結後もその人気は根強い。2024年には新垣結衣主演で実写映画化もされている。

(※この記事には、アニメ『違国日記』第6話までの具体的な内容に関する記述が含まれています。未視聴の方は閲覧にご注意ください。)

「わかりあえない」から始まる、ふたりの“共存”

冬アニメ『違国日記』第1話「溢(あふ)れる」場面写真

原作のヤマシタは、人間同士がわかりあえないことを前提とした物語を描きたいとインタビューなどでたびたび述べている。わかりあえないうえでいかに共存してゆくのか――『違国日記』にもこの問いは描かれている。

冬アニメ『違国日記』第1話「溢(あふ)れる」場面写真

朝と槙生もわかりあえない。そもそもふたりは性格も外向/内向的で正反対だといえるし、家事への適性を見てもまるで両極である。そんな「違う国」の違う人間同士が、だからといってわかりあえないと諦めるのではなく、どうにか共存の道を探ってゆく――その日常の軌跡が『違国日記』という物語なのである。

冬アニメ『違国日記』第1話「溢(あふ)れる」場面写真

◆槙生が壊した「大人」のイメージと、「理解」しない優しさ

「違う国」の人間である槙生と出会うことで、15歳というまだうら若き朝の世界はすこしずつ変わってゆく。槙生は「15歳みたいな柔らかい年頃、きっとわたしのうかつな一言で人生が変えられてしまう」とこのことに自覚的かつ責任をおぼえているが、そんな不器用ながらも実直な槙生だったからこそ、朝のなかで凝り固められた「大人」の既成観念は音をたてて崩れてゆく。

TVアニメ『違国日記』第4話「竦(すく)む」場面カット

第2話「包む」で槙生の親友・醍醐が家を訪ねてきた際、親しげに喋るふたりを見た朝は「大人が友だちしてるのってあんま見たことないなって」と言う。朝の年代であれば「大人」を親と教師くらいでしか知らず、その役割を外れた時分の「大人」を見ることはなかなかない。

TVアニメ『違国日記』第2話「包む」場面写真

ここでは沢城みゆき演じる槙生の声色もがらりと変わり、対友だち用のくだけた喋りかたになる。一面的にしか知らなかった「大人」=槙生の多面性を知ることは、朝にとって現在の友人と長く付き合うことへの希望につながったはずだ。

TVアニメ『違国日記』第3話「捨てる」場面写真

第4話での槙生は、「愛してる」ということばを避け、「好ましく思っている」と言った。そのことを朝は「彼女はわたしのさみしさを受けいれたが理解はしなかった」と語る。愛と理解のコミュニケーションと行為と受容のそれとが貴賤をつけられるものではないが、明確に性質の違うそれらを朝は肌身をもって知る。

TVアニメ『違国日記』第4話「竦(すく)む」場面カット

朝の知っている「大人」=両親は、無条件に愛し理解をしてくれたのだから、その圧倒的な”距離感”や”わかりあえなさ”に朝は涙を流す。個の独立性を大事にした「違う国」のコミュニケーションを学ぶのも、槙生という「違う国」の人間からだった。

TVアニメ『違国日記』第3話「捨てる」場面写真

◆繊細な“空気感”生み出す 物語に寄り添う音楽の力

牛尾憲輔の担当する音楽も作品の空気感を引き立てている。牛尾といえばTVアニメ『ピンポン』で劇伴作家のキャリアをスタートさせ、近年では『平家物語』や『きみの色』といった山田尚子作品、朝ドラ「ばけばけ」などの音楽を担当している。静謐に人物たちの暮らしを淡く彩る牛尾の音楽は、まさしく『違国日記』の物語にぴったりで、日常に鳴る音が情緒を増幅させる。ぜひ音楽にも注目してみて見てほしい。

これから物語は、ふたりが出会ったことで、これまで通りではない日常の中で、これまで触れ合ったことのない人々や出来事に出会うことになる。そしてふたりの心はどのように動いていくのか。「違う国」に住む者同士が紡いでいく共存の行方を、見届けていきたい。

TVアニメ『違国日記』第6話「重なる」場面写真
TVアニメ『違国日記』第5話「選ぶ」場面写真

■TVアニメ『違国日記』作品情報

『違国日記』キービジュアル第2弾場面写真

〈放送情報〉
2026年1月4日(日)より放送開始!
TOKYO MX 1月4日より 毎週日曜日 24:00~
ABCテレビ 1月4日より 毎週日曜日 24:40~
BS朝日 1月4日より 毎週日曜日 23:00~
AT-X 1月5日より 毎週月曜日 22:30~ 
※リピート放送:毎週水曜日 10:30~/毎週金曜日 16:30~

〈配信情報〉
2026年1月4日より 毎週日曜日 25:00~
Prime Videoにて見放題最速配信
2026年1月9日より 毎週金曜日 25:00~
各配信プラットフォームでも順次配信
<見放題配信>
ABEMA
AnimeFesta
バンダイチャンネル
dアニメストア
DMM TV
FOD
Hulu
Lemino
J:COM STREAM 見放題
milplus
Pontaパス
TELASA
U-NEXT
<レンタル配信>
バンダイチャンネル
ニコニコチャンネル
Prime Video
Video Market
J:COM STREAM
milplus
TELASA
<最新話期間限定無料配信>
ABEMA
Rチャンネル
U-NEXT
ニコニコ生放送

〈スタッフ〉
原作:ヤマシタトモコ「違国日記」(祥伝社 FEEL COMICS)
監督:大城美幸
構成・脚本:喜安浩平
キャラクターデザイン・作画監督:羽山賢二
サブキャラクターデザイン:川村敏江
プロップ設定:狩野 都
衣装設定:相澤 楓
美術:高橋依里子
色彩設計:田中美穂
撮影:並木 智
編集:関 一彦
音響監督:大森貴弘
音楽:牛尾憲輔
アニメーション制作:朱夏

〈キャスト〉
高代槙生:沢城みゆき
田汲朝:森風子
笠町信吾:諏訪部順一
楢えみり:諸星すみれ
醍醐奈々:松井恵理子
塔野和成:近藤隆
実里:大原さやか

(C)ヤマシタトモコ・祥伝社/アニメ「違国日記」製作委員会

《丹渡実夢》

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