映像制作会社のカラーは2025年12月11日、代表取締役を務める庵野秀明による「『株式会社ガイナックス』について」と題した声明文を公式サイトにて公開した。アニメーション制作スタジオだった同社の破産整理が終わり、法人として消滅し、その42年弱の歴史を終えたことについて触れるもので、庵野は「創設期から20年以上籍を置き、今日まで株主として関わっていたものとして誠に残念な最後ですが、静かに受け止めています」とした。
ガイナックス社は1984年の設立以来、『新世紀エヴァンゲリオン』(現在はカラーが著作権を保有)などのアニメーション制作やゲームソフトの制作販売などを行ってきたことで知られる。しかし2012年ごろからの経済状態の悪化、およびその後のアニメーション制作機能、運営能力の喪失を経て、2024年5月に東京地方裁判所へ会社破産の申立を行い、受理されるに至っていた。
このたびの声明文ではまず、2019年に当時の代表取締役社長が逮捕されて以降のガイナックス社の再建、およびのちの整理に関わった関係各社への感謝と敬意を示しており、ガイナックス社による各作品の権利処理、権利譲渡、制作成果物など各種資料の譲渡についても「正当な手続きをもって、各権利者やクリエイターに無事お戻しする事が叶いました」と伝える。
また、過去のガイナックス社に関して「新たに残念だった事がありますので、この機に述べておきます」として「旧経営陣体制下に於いて正当性を欠く権利移譲、資料譲渡が行われていた」ことについても明かしており、「当時の経営陣に対して民事訴訟を提訴し、令和5年1月20日に当方原告の主張を認め被告からの謝罪を受け入れる形で和解が成立」していることも記した。
庵野は最後に、「ガイナックス最後の代表取締役であり、大学時代からの友人である」神村靖宏が「関係各社の理解を得つつ、権利や資料の散逸を防ぎ継承し、債権者へ真摯に向き合い最後まで身を尽くし、その終焉を見届けてくれた」ことへの感謝を綴っており、声明文を「神村、ありがとう。そして、御苦労様でした」と結んでいる。

