「本気で演じていいんですか」緒方恵美&釘宮理恵、衝撃を受けた特別なパートナー関係「デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING」【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

「本気で演じていいんですか」緒方恵美&釘宮理恵、衝撃を受けた特別なパートナー関係「デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING」【インタビュー】

『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』より、大和田ルイを演じる緒方恵美と、ルイのかつてのパートナーデジモン・ウッコモンを演じる釘宮理恵の対談インタビューをお届け。

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10月27日(金)公開となる『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』。TVアニメ『デジモンアドベンチャー02』に登場した“選ばれし子どもたち”の10年後を描き、パートナーデジモンとともに新たな試練に立ち向かう。

その物語には、新キャラクターの大和田ルイを演じる緒方恵美と、ルイのかつてのパートナーデジモン・ウッコモンを演じる釘宮理恵も衝撃を受けた様子。収録前に「本気で演じて大丈夫ですか」と監督に確認したシーンもあったと語る。

ルイとウッコモンならではの関係性、そして20年以上の歴史を持つ『デジモン』シリーズに参加した感想などを、緒方恵美と釘宮理恵にうかがった。

※本稿には映画のネタバレに触れる内容が含まれているため、まだ見ていない方はご注意ください。

[取材:江崎大 文:ハシビロコ]

第一印象からの変化


――ご自身が演じるキャラクターの印象を教えてください。

緒方:オーディションでは20歳と4歳のルイを演じることになっていたので、どちらの年齢も演じられるという点ではオーディションを受ける人もだいぶ限られた人になるだろうと予想していました。しかもルイは20歳と4歳で話している内容もキャラクターの見た目も全然違っていて、違う人格なのではないかと思うほどだったので、極振りをしてオーディションに臨んだんです。

しかし監督たちからは、振りすぎたのでもっとふたつの年齢の真ん中に寄せてください、と言われました。(笑)

釘宮:私は台本の表紙に使われているウッコモンのイラストを見て、「すごくかわいいな」と思いました。超特報PVにも使われていたイラストです。でも、台本を読んでみると、「ん? かわ、いい……?」となって。現場に行ってみないと何もわからないキャラクターだな、と印象が変わりました。

――完成した映像を見た感想はいかがですか。

緒方:ウッコモンが思っていたよりもでかい(笑)。

釘宮:想像していた以上で、驚きましたね。

『デジモン』は「コアなファンの愛情でがっちり支えられている作品」


――デジモンは20年以上の歴史を持つシリーズです。本作に参加されるにあたってプレッシャーは感じましたか。

緒方:もちろん感じてはおりますが、我々も長く声優業界にいてそれぞれ重圧を感じる作品にも携わってきたのでプレッシャーにはそれなりに強い方だと思うのですが(笑)。それでもデジフェスは、デジモンが本当に好きなコアなファンの方々が会場にいらっしゃっているので特別な熱気を感じ、私がみなさんのワールドに「はじめまして」とお邪魔させていただく気持ちで登壇しました。とはいえ本作ははじまりの物語ですし、デジフェスの配信を見て初めてデジモンの世界に触れる人もいると思うので、そうした方にもわかりやすい言葉を使うことは心がけました。

釘宮:過去にデジモンシリーズに参加させていただいたときもそうでしたが、「コアなファンの方々の愛情でがっちり支えられている作品」という印象が自分の中に強くありました。映画やデジフェスに参加させていただくにあたり、デジモンを愛するすべてのみなさんのもとに「よろしくお願いします!」と飛び込む気持ちでがんばっています。

緒方:デジフェスの最後のあいさつとか、どうしたらいいかわからなくなっていたよね(笑)。我々はまだ最初の「はじめまして」しか言えないので、話をまとめられる立場ではありません。だから最後までトークを投げっぱなしでしたが、お客さんに受け止めていただいてありがたかったです。

これまでにないパートナー関係をどう表現するか


――アフレコ現場で印象的だったことはありますか?

釘宮:収録現場に野田順子さんも応援に駆けつけてくれて、「デジモンについてわからないことがあったら聞いて」と見守ってくださって心強かったです。でも実際はなかなか収録が始まらなくて。どうやって作っていこうか、という話し合いからじっくり行ったのも印象に残っています。

緒方:ウッコモンとルイは他のみなさんが築いてきたデジモンとパートナーの関係性とはまったく違う関係性の作り方だと言われました。リアルな世界でのお友達がお友達と出会って仲良くなる道筋に近い。台本自体はわかりやすく書いてくださっていたのでありがたかったのですが、表現方法に対して認識を合わせたい部分がいくつか……。

たとえばルイは複雑な家庭事情を抱えているので、置かれた境遇に対してどこまでリアリティを持たせた演技をしていいのかはとか。アフレコ時点では画がまだできていなかったので、完成された際に描写をどの程度直接的に表現しているのか、それともあえて描写を描かない少し抽象的な表現や、声のみで表現していくようなシーンなのかが自分では判断できなくて。画面の見せ方によっても演技は変わるので、ひとつひとつ監督と話し合って決めていった収録でした。

ウッコモンも、さじ加減が難しいよね。ピュアといってもどこまでピュアに演じていいのか、とか。

釘宮:ルイとの会話で成立するキャラだな、と最初から思っていました。計画立てて演じるような役ではないので、現場に出てから勝負でした。

――ウッコモンとルイには今後、どんなパートナー関係でいてほしいと思いますか。

釘宮:ウッコモンからすると最初は「なんでもしてあげたい、助けてあげたい」という思いがあふれていたので、今後はルイに何かをお願いされても「やーだね」と言えるような、くだけた関係性になってほしいです。ウッコモンは実はそんなに働き者ではなかったとか、そういう意外な一面が見えたら面白そうだと思います。

「本気で演じていいんですか」監督に確認した叫び声

――作中では過去のシリーズにもなかったような、ルイとウッコモンに関する衝撃的なシーンがあります。台本を見たときや演じたときはどのような印象を受けましたか。

緒方:「このシーンの意味合いは自分では『殺すこと』と同義だと考えていますが、本気で演じていいんですか」と監督に質問しました。本気でやりすぎると、デジモンが好きなお子さんが怖がってしまうのではないかと心配だったんです。でも、15分くらい長いシンキングタイムのあとに、監督から「やっちゃってください!」と答えをいただいて。監督も望んでいたシーンだったので、本気で臨みました。

事前に確認して慎重に進めたものの、私は演技でスイッチが入るとキャラクターの感情に入ってしまうので、特にこの、ルイが自分のリミッターを外すシーンではどう喋ったかわかっていなかったんですが、完成版を見たときに自分でも「何を言ってるんだかわかんねえな」と思うような叫び声になっていました(笑)。

他の作品などでも、私がキャラクターに没入してガーッと叫ぶシーンを演じるときに、ごくまれに入ってしまう裏声のような音質の声になることがあるのですが。このシーンではずっとその声色だったので、これで大丈夫だったのかな、と。

釘宮:ウッコモンとしては、あの声を聞いたら溶けるしかありませんした。身が引き裂かれるようなつらい声でルイが全身全霊で叫んで、しかも自分の全存在を否定している。冒頭に出てくるルイの台詞も、「デジモンに対してそういうアプローチすることがあるんだ」と、最初から殴られたような気持ちになりました。

緒方:画も衝撃的でしたね。

釘宮:本当にそうですよね。あのシーンではルイもウッコモンもお互いが究極に煮詰まってしまって、どうしていいかわからなくて。ウッコモンは精一杯やり尽くしたのに、いちばんルイを追い詰めているのが自分だと突きつけられる。だからもう溶けるしかなかったです。

衝突があるから深みが生まれる

――もしルイにとってのウッコモンのように、自分にパートナーデジモンができるとしたら誰がいいですか?

緒方:ウッコモンです。

釘宮:私もウッコモンがいいです。

緒方:ルイとウッコモンもそうでしたが、人間もだいたい最初は表面上の付き合いから始まって、一度その関係をぶっ壊すところまで行くと、そのあとにとてもいい仲間や友達になれることがある。ちょっとくらいは衝突があったほうが、人としての深みができる。

釘宮:ぶつかり合うのは疲れますが、結果的にはそのほうがいいですね。

緒方:制作現場でも多少は本音で話したりぶつかったりしたほうが、最終的にはいい作品になることが多い気がします。昨今はぶつかること自体を避ける世の中ですが、理解するための話し合いを経て深い関係になった先にうまれたこの作品の面白さを、ぜひ体感していただけたらと思います。

――デジモンとパートナーの絆をつなぐデジヴァイスのように、私生活や収録現場で「誰かとつながったな」と感じたアイテムはありましたか?

緒方:改めてですけど、現場で一緒に収録をすると最初からつながりを感じられますよね。別録りだと相手がどういう風に演じているのか探りながら進めなければなりません。でもそのときに生じる疑問は、一緒に録ればすぐに解決することばかりなんです。

釘宮:今回は緒方さんと一緒に収録できて、去年と今年はデジフェスにも参加させていただきました。私個人はこれまでも緒方さんと共演したことはありますが、ここまで同じ問題に対して立ち向かう役は初めてでしたので、この共演を経て緒方さんと親しくなれたと勝手に思っています。

緒方:収録時からずっと釘宮を頼りにしております(笑)。収録現場や今インタビューを受けているこの部屋が、我々にとってのデジヴァイスです。

『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』
10月27日(金)公開

【ストーリー】
お台場とデジタルワールドを行き来した冒険の日々から10年が過ぎた2012年。

それぞれの道を歩き出しつつも、本宮大輔ら選ばれし子どもたちとパートナーデジモンは変わらぬ絆で結ばれていた。そんなある日、突如巨大なデジタマが東京タワー上空に出現し、世界中へメッセージが発信される。「みんなにともだちを。世界中すべてのひとにデジモンを」世界がその動向を注目する中、大輔たちの前に「世界ではじめてデジモンとパートナー関係を結んだ人間だ」と話す謎に包まれた青年・大和田ルイが現れる。選ばれし子ども誕生の裏側には、幼いルイのたった一つの願いが隠されていた…

過去そして現在、全てが繋がった時、デジモン史上最大の危機が訪れる。果たして大輔たち02チームが選んだ道とは?

今再び、大人になった選ばれし子どもたちが出動する!

【キャスト】
片山福十郎(本宮大輔役) 野田順子(ブイモン役)
ランズベリー・アーサー(一乗寺賢役) 高橋直純(ワームモン役)
朝井彩加(井ノ上京役) 遠近孝一(ホークモン役)
山谷祥生(火田伊織役) 浦和めぐみ(アルマジモン役)
榎木淳弥(高石タケル役) 松本美和(パタモン役)
M・A・O(八神ヒカリ役) 徳光由禾(テイルモン役)
緒方恵美(大和田ルイ役) 釘宮理恵(ウッコモン役)

【スタッフ】
原案:本郷あきよし
監督:田口智久
脚本:大和屋 暁
キャラクターデザイン:中鶴勝祥
デジモンキャラクターデザイン:渡辺けんじ
アニメーションキャラクターデザイン:立川聖治
音楽:富貴晴美
スーパーバイザー:関 弘美
アニメーション制作:ゆめ太カンパニー  
製作:東映アニメーション・東映

(C)本郷あきよし・東映アニメーション・東映

《ハシビロコ》

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