「BASTARD!!」なぜ今アニメ化? 鶴岡信哉プロデューサーが明かす制作&キャスティング秘話【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

「BASTARD!!」なぜ今アニメ化? 鶴岡信哉プロデューサーが明かす制作&キャスティング秘話【インタビュー】

現在Netflixにて配信中のアニメ『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』が、9月15日(木)から後半2クール目(第14話~第24話)の配信もスタート。2クール目に向け、本作のプロデューサーを務める鶴岡信哉さんに話を伺いました。

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『BASTARD!!―暗黒の破壊神―』キービジュアル(C)萩原一至/集英社・BASTARD!! 製作委員会
『BASTARD!!―暗黒の破壊神―』キービジュアル(C)萩原一至/集英社・BASTARD!! 製作委員会 全 6 枚 拡大写真

累計発行部数が3,000万部を超える、萩原一至によるファンタジーバトルマンガを原作としてアニメ『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』が、現在Netflixにて配信中。9月15日(木)からは、後半2クール目(第14話~第24話)の配信もスタートします。

400年以上を生きる伝説の魔法使いダーク・シュナイダーが、その強大な魔力をもって闇の軍勢であるモンスターや邪悪な魔法使いたち、そして異形の存在「破壊神」と戦うストーリーが展開する本作。傲岸不遜、傍若無人で破天荒、自信家な問題児という強烈キャラクターのダーク・シュナイダーを主人公にした、斬新で壮大な展開に呪文の詠唱描写、ヒロインたちのキュートでセクシーな描写も話題となり、連載当初から瞬く間に男女問わず爆発的な人気を集めた作品です。

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アニメ!アニメ!では、谷山紀章さん(ダーク・シュナイダー役)、楠木ともりさん(ティア・ノート・ヨーコ役)、東山奈央さん(シーラ・トェル・メタ=リカーナ役)の鼎談インタビューに引き続き、本作のプロデューサーを務める鶴岡信哉さんを直撃。この令和の時代に『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』(以下、『BASTARD!!』)をアニメ化した理由や、制作する上での苦労、キャスティング秘話など、貴重な話をたっぷりとお聞きしました。

■ハードなセクシー描写に、「アニメ化できるのか?」の声


『BASTARD!!―暗黒の破壊神―』場面カット

――なぜ今、『BASTARD!!』をアニメ化しようと思ったのですか?

鶴岡『BASTARD!!』は1992年から1993年にかけてOVAという形で映像化はされていたのですが、6話だけで内容は序盤中心のすごく短いものでした。80年代後半に連載されていた「週刊少年ジャンプ」作品の中で、すごく強烈な印象に残っていた作品だったので、そんな原作をシリーズでもっと先まで、忠実にアニメ化したいと思い、弊社と集英社さんとで長い間協議を続けてきました。

最近は“なろう系”などで異世界ファンタジーがとても流行っていること、全世界配信が主流になったことなどから、「ダークファンタジーの始祖」と言われている『BASTARD!!』を今、世に出す価値はあるのではないかと思い、アニメ化プロジェクトをスタートさせました。

――アニメ化にあたり、原作者の萩原一至先生と何かお話したことはありますか?

鶴岡萩原先生とは、アニメの製作が始まる前に1度お会いしました。先生はアニメがお好きで、色々な作品を見られているのもあって、今回の『BASTARD!!』のアニメ化を楽しみにされてました。その半面、これまでずっとアニメ化されなかったのは作品のテーマ性から映像化するには難しいという思いもあったかもしれません。しかし、最近のアニメ制作技術、CGや撮影の技術の向上も見ていただいた上で「『BASTARD!!』がアニメ化できる時代になった」と感じていただけたのでは、と勝手に思っております。

『BASTARD!!―暗黒の破壊神―』場面カット

――地上波ではなく、Netflixでの配信にした理由は何だったのですか?

鶴岡アニメ化を発表した際「TVアニメ化できんのか?」と色々な方から言われました(笑)。先ほど言った「原作を“忠実に”」という部分で、『BASTARD!!』の持つハードなバトル描写やセクシー描写が可能だったのがNetflixさんでした。

もともと『BASTARD!!』はジャンプ連載時に世界中で展開されていたこともあって、世界中にファンがいる作品のため、Netflixで全世界一斉配信するのが世界中のファンのためにはベストであろうと。他にも色々あるのですが、この2つの意味が大きな要因だったと思います。

――映像化する上での苦労、またこだわった点はありますか?

鶴岡アニメ化する上で改めて原作を読み返した時に、今だからわかることがたくさんありました。尾崎監督はダーク・シュナイダーがハチャメチャをやったり、セクシーな描写があるのも、それにはちゃんと理由や相対効果があると思っていて、それをアニメの演出にも落とし込んでいます。
また、当時の「週刊少年ジャンプ」において、萩原先生は相当踏み込んだ表現描写をしていたと思うのですが、そのおかげでドラマが深くなっていると感じました。コンプライアンスが問題視される時代ではありますが、いたずらに過激でセクシーな描写を入れているわけではない、そういった要素がこの作品の持つ独特なドラマを生んでいるということをアニメで分かりやすく表現できればと、こだわって制作しています。

『BASTARD!!―暗黒の破壊神―』場面カット

――アニメ化発表時に「TVアニメ化できんのか?」と言われたと言っていましたが、配信後にはどのような声が届きましたか?

鶴岡海外の方をはじめ、本当にたくさんの方からコメントをいただきました。その中に「原作よりナチュラルに見れる」というものがあって、自分でページをめくるマンガに対して、勝手に流れていくアニメ映像というメディア特性も活かして演出しているので、ハードな描写もわりと抵抗なく見続けられるという声もありました。連載開始から30年以上たっているので、その間にもっと過激な描写のダークファンタジーアニメが出てきているというのもあるかもしれませんね。

他にも、社内やNetflixさんの女性スタッフの方からも好評の声をいただいており、大人の男性だけではなく老若男女に楽しんでいただけるアニメになっていると思っています。とにかく、原作を知らない若い視聴者にもっと見てもらいたいですね。一周回って新しい感覚で楽しんでもらえるのでは、と思ってます。

■声優陣が「ピッタリ!」と絶賛! キャスティングの決め手とは


『BASTARD!!―暗黒の破壊神―』場面カット

――コメントの中には、声優陣が「ピッタリ!」という声も見られます。キャスティングの決め手はなんだったのでしょうか。

鶴岡尾崎隆晴監督、音響監督のえびなやすのりさん、集英社さんらとオーディションのテープを聞いて決めたのですが、ダーク・シュナイダーに関しては、尾崎監督が「素でダーク・シュナイダーができる要素を持っている」という谷山紀章さんにお願いすることになりました。

――その感覚は視聴者も共通して思ったようで、とくに「谷山さんがピッタリ」という声を多く見かけました。

鶴岡だとしたらとてもありがたいです……! また、声を張る芝居がすごく多いので、それに耐えうる喉の強さを持っていること。そしてヨーコさんに怒られて子犬みたいになってしまう芝居のギャップの振り幅がどれくらい出せるかも加味しています。そのうえでちゃんと「悪者」に聞こえることも重要ですね、ダーク・シュナイダーはいろいろありますが基本的には悪い奴なので(笑)。

――ダーク・シュナイダーに比べ、ヨーコやシーラは比較的若いキャスティングで驚きました。女性陣にはどんな演技を求めていたのでしょうか。

鶴岡特に若手・ベテランの垣根は設けず、谷山さんのダーク・シュナイダーとのバランスを見て決めました。ヨーコ役のオーディションを受けていただいた人数が一番多かったのですが、その中でしっかり演技ができて、大声もはれる、怒るんだけど品がある、そしてかわいさも持ち合わせている声ということで、楠木ともりさんに決まりました。ヨーコさんに関しては、結果的には若さや伸びしろも重要なファクターだったとは思いますが。

『BASTARD!!―暗黒の破壊神―』場面カット

――東山さんはヨーコ役のオーディションを受けていたとお聞きしました。シーラ役に選んだ理由は?

鶴岡実は、シーラ役のオーディションはしていなくて、ヨーコさんのオーディションを受けた人の中から選んでいます。テープで声質を聞きながら、ヨーコとは違った形で清楚で上品な中にかわいさや芯の強さがある声質ということで、東山さんになりました。過去色々なヒロインやお姫様役をやられている東山さんなので、そこの安心感からというのもありましたが、シーラはまた一味違った新しいタイプのお姫様役になるのでは、と思った記憶があります。

――どのキャラクターも魅力的に演じられていました。最後に視聴者にメッセージをお願いします。

鶴岡原作の内容を端折ることなく忠実に描いており、なおかつアニメとして新しい表現やオリジナル、見やすくなるように入れ替えや補足も入れて、とにかく楽しめる作品を目指して制作しています。
これまで様々なファンタジーアニメが放送されてきましたが、そこで培われた技術や演出、キャラクターの魅せ方もふんだんに使われており、また音楽と声優陣の演技も良い感じに絵と融合しています。

まずはNetflixで前半の#1~13をその後9月15日から後半の#14~24を見ていただいて、感想を色々な人と共有して“『BASTARD!!』の輪”を広げていって欲しいです。今回は全24話で「闇の反逆軍団編」までを描きますが、まだまだ原作の続きはありまして、この先もっとアツい展開が待ってます。皆様の視聴数が続編制作できるかどうかに繋がっていきますので、今後も視聴の輪を広げていただけたら幸いです。

――ありがとうございました。

*****

アニメ『BASTARD!!―暗黒の破壊神―』後半2クール目(第14話~第24話)は、9月15日(木)から配信スタート。「闇の反逆軍団編」の今後の展開にぜひご注目を!

『BASTARD!!―暗黒の破壊神―』
【キャスト】
ダーク・シュナイダー:谷山紀章
ティア・ノート・ヨーコ:楠木ともり
ルーシェ・レンレン:伊藤かな恵
ガラ:安元洋貴
アーシェス・ネイ:日笠陽子
アビゲイル:杉田智和
カル=ス:小野賢章
シーラ・トェル・メタ=リカーナ:東山奈央
ラーズ:松岡禎丞
シーン・ハリ:小澤亜李
カイ・ハーン:伊藤 静
ダイ=アモン:子安武人
ほか

【スタッフ】
原作:「BASTARD!! 暗黒の破壊神」萩原一至(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:尾崎隆晴
シリーズ構成:黒田洋介
キャラクターデザイン:小野早香
クリーチャーデザイン:須永頼太
エフェクト設計:山田起生
美術監督:井上一宏(草薙)
美術設定:バーンストーム・デザインラボ
色彩設計:篠原愛子
特効監修:谷口久美子
特殊効果:荒畑歩美(チーム・タニグチ)
3DCGI:Felix Film
撮影監督:高津純平
編集:長谷川舞(editz)
音響監督:えびなやすのり
音楽:高梨康治(Team-MAX)
OPアーティスト:coldrain(Warner Music Japan)
エンディングテーマ:「BLESSLESS」Tielle(Warner Music Japan)
プロデュース:Warner Bros. Japan
アニメーション制作:ライデンフィルム
ほか

【配信情報】
Netflixにて、
第1話~第13話 2022年6月30日(木)配信中
第14話~第24話 2022年9月15日(木)全世界配信開始予定

(C)萩原一至/集英社・BASTARD!! 製作委員会

Netflix
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BASTARD!! 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
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《米田果織》

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