映画「ゆるキャン△」花守ゆみり×東山奈央インタビュー|なでしこ&リンに伝えたいこと、飯テロはアフレコにも影響!? | アニメ!アニメ!

映画「ゆるキャン△」花守ゆみり×東山奈央インタビュー|なでしこ&リンに伝えたいこと、飯テロはアフレコにも影響!?

映画『ゆるキャン△』より、各務原なでしこ役の花守ゆみりさんと、志摩リン役の東山奈央さんの対談インタビューをお届け。

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花守ゆみり×東山奈央
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映画『ゆるキャン△』がいよいよ7月1日から全国ロードショー。キャンプを通じて仲良くなった高校生5人によるガールズストーリーは、これまでのTVシリーズにはなかった大きな変化をスクリーンで見せてくれる。

なでしこ、リン、千明、あおい、斉藤。おなじみの5人が映画『ゆるキャン△』では高校を卒業し、社会人としてそれぞれの道を歩んでいる。東京のアウトドア用品店で働くなでしこ、名古屋の出版社でタウン情報誌を作るリン、東京へ出たものの山梨にUターン転職した千明、山梨の小学校教員になったあおい、横浜のペットサロンでトリマー担当の斉藤。そんな彼女たちが集まり、今度は自分たちの手でキャンプ場を作ることに!? 野外活動で育んだ友情は、彼女たちを再びひとつにする。

アニメ!アニメ!では、主人公・各務原なでしこ役の花守ゆみりさんと、高校時代のなでしこにキャンプへの興味を与えた志摩リン役の東山奈央さんにインタビューを実施。映画『ゆるキャン△』は原作者・あfろ氏の監修による完全オリジナル作品。原作でも描かれていないストーリーに、花守さんと東山さんは当初不安もあったとか……?

[取材・撮影・編集:吉野庫之介 文・Hide Gomibuchi]



映画『ゆるキャン△』は第二の青春


――映画の台本を読んだ際の感想を教えてください。

花守:なでしこたちが大人になった姿は原作にもないので、台本を読む前は映画『ゆるキャン△』はどうなっているんだろう?という期待と不安、未知があふれていました。でも読み終わってみると、たしかにこういう未来が来るのかもしれない……という気持ちになりました。

――高校生から社会人へと成長していましたね。

東山:初めてティザービジュアルを見たとき「なでしこやリンが大人になってる!」と驚きました。どういう物語なのかまったく予想ができなくて、正直、一抹の不安もあって。映画という大きな舞台で、みなさんの会いたい『ゆるキャン△』に会えるのだろうか……と不安もあったのですが、台本を読んだら不安は全部なくなりました。

花守:彼女たちが高校生から大人になる間の時間を私たちは知らずとも、説得力がすごくあって。台詞の端々になでしこたちの知らない時間があるように感じて、それが寂しくもありますが、成長や変化を見て取れたのは光栄なことでした。変わらないところと、変わっているところの両方を映画『ゆるキャン△』で感じていただけると思います。





――この作品は“劇場版”ではなく“映画”となっていますね。

東山:今回“劇場版”『ゆるキャン△』ではなく、“映画”『ゆるキャン△』と銘打っているのは、TVシリーズを観ていないと楽しめない劇場版ではなく、映画単体の作品として楽しんでもらいたいという願いが込められていて。そこにみなさんの大好きな『ゆるキャン△』が詰まっていますし、TVシリーズの30分では描き切れないドラマもあります。

映画の中で、社会人としてまだ新人のなでしこやリンがキャンプ場作りという大きなプロジェクトに取りかかりますが、とても楽しそうで“第二の青春”を味わっている感じでした。充実している人を見るとこちらまで楽しい気持ちになったり、勇気をもらうことができて。台本を読んで幸せな気持ちになりました!





――映画『ゆるキャン△』では、なでしこやリンが社会人として描かれていますが、高校生のころの彼女たちと違いはありましたか?

花守:なでしこの“とにかく目の前にあることを楽しむ”という芯は変わってなくて、それを感じられるようなシーンが映画『ゆるキャン△』の中にはたくさんあります。周りのみんなを動かしていく“言葉の力”が社会人になっても変わらず彼女の中に存在するんだと感じました。

逆になでしこの変化を感じる部分は、“受け取る側”から“楽しんでもらう側”になったことです。彼女はアウトドア用品店で働いているのですが、自分がかつて高校時代に店員さんからしてもらったことを、これから楽しもうとしているお客さんたちに対して全力で応えていて。

また、リンちゃんとの会話の中にもなでしこが“もらう側”から“与える側”になったと感じるシーンがあるのですが、それを見たときに「こうしてキャンプのような趣味や、私たちが作るアニメーションが受け継がれ、伝わっていくんだろうな」と感じて、私自身にも響く彼女の成長がありました。

――なでしこの言葉は胸にくるものが多かったですね。

花守:はい、すごく……! 本当に映画はそのギャップにやられてしまいますね。なでしこ、とてもカッコよくなっています!



――リンは出版社の新人編集者になっています。東山さんから見ていかがでしたか?

東山:リンはTVシリーズではソロキャンパーとして描かれていましたが、キャンプを“仕事”にしたなでしことは違い、リンのキャンプはあくまで“趣味”のままなんです。これまでもリンはキャンプ中に本を読むシーンがあったり、バイトも本屋さんだったので、出版社勤めも納得しました。でも、好きな本の業界でも順風満帆とはいかなくて……。

新人がゆえのうまくいかないシーンが描かれていたり、朝まで仕事をしてブラインドのすき間から朝日が……みたいなシーンもあって(笑)。リンが仕事に打ち込んでいる姿に共感するという方もいらっしゃるのかなと思いますし、高校生から見守ってきたキャラクターが社会人として頑張っている姿を見て勇気をもらえるような部分もあるのではないかと思います。

――変化を感じたシーンはありましたか?

東山:変化という意味では、出版社の上司との会話でちゃんとコミュニケーションをとっていることに成長を感じました。高校生のときはなでしこにワーッ!!と距離を詰められ、あからさまにイヤそうな顔をしたりと表情にそのまま出てしまう素直な子でしたが(笑)、映画の中で社会人らしい受け答えをするリンを見て、大人になったんだな……と。

そうは感じつつも、やはり5人で集まると高校生のときと変わらない表情と雰囲気でおしゃべりをしていて。そんなギャップも見どころですし、みんなでいるシーンではより安心感が伝わってきて、見ていてホッとする気持ちになりました。



――そんな社会人として成長したなでしことリンですが、花守さんと東山さんにとって“大人になる”とはどういうことだと思いますか?

花守:”私はひとりじゃない”ということを意識だけではなく、身をもって知ることですかね。自分ひとりで頑張ってなんとかするよりも、自分ひとりでできることは限られてるからこそ私たちは寄り添って生きていく。それを知ることが大人への架け橋なのかなと。

そこからまた別の成長があるとも思いますし、まず認識として、“私たちは人の中で生きているんだ”と知ることが、“大人になる”ことの第一歩になると思います。

でも子供のときに思っていた“大人になる”って、バリバリ働いて、書類をいっぱい持って、高いヒールを履いてカツカツ歩いているようなカッコいい姿を想像していた気がします。

東山:私もそう思います。子供の目線から見上げていたときは「大人の人は強いんだ!」と思っていたけれど、いろんな経験をしていくうちに、大人の弱さも見えるようになっていって。

映画の中でもなでしことリンのコミュニケーションですごくいいシーンがあって、なでしこが優しく世界を見ていることが伝わってきたり、リンは大人になったことの壁にぶつかっている最中だったり。ゆみりちゃんが言ったように「自分はひとりじゃないんだ」ということを彼女たちはキャンプ場作りの中で感じていて。

ひとりじゃないから助けられることもあるし、ひとりじゃないから自分が周りの人のために頑張らないといけないこともある。今のゆみりちゃんの言葉は映画『ゆるキャン△』のテーマにもぴったり重なり合っているなと感じました。



定番の“飯テロ”は映画でも!


――『ゆるキャン△』は食事のシーンも実に美味しそうに描かれていますよね。

東山:『ゆるキャン△』はキャンプが一番前にくるのですが、実はかなりの“飯テロ”アニメです!

花守:ああ……美味しいご飯……。

東山:ねえ~。美味しいものは私たちも食べたくなっちゃうもんね。マイク前でお腹を鳴らさないようにお芝居するのが大変なくらい。

花守:はい、大変です……。私は奈央さんにゴメンナサイしたいことがあって、リンちゃんはひとりでご飯を食べるシーンがとても多いのですが、その食べてるときの音があまりにも美味しそうで、私は毎回お腹を鳴らしてしまうんです(笑)。それで奈央さんに濡れ衣を着せそうになったことが一度あって、音響監督さんに「東山さん、お腹……鳴っちゃいましたね?」と言われたんです。

東山:私じゃありませーん。ゆみりちゃんでーす!(笑)

花守:いまだにあの事件が本当に申し訳なくて(笑)。でも奈央さんが毎回美味しそうな音をお出しになられるから……。もう、仕方ないんですよ!

東山:スミマセン……(笑)。リンは結構ボソボソしゃべるからマイクのボリュームを上げて録ってくださっているので、小さな音も拾ってしまうんです。

花守:ボルシチ(※1)を食べているときなど、汁物は本当に美味しそうで私のお腹が……。奈央さんの食の音、音がプロなのが悪いんだ……。

東山:ありがとうございます。犬山あおい役の豊崎愛生さんも「リンの“シズル音”がすごくいい」と言ってくださって嬉しかったです。あと“シズル音”て言うんだ……って思いました(笑)。

花守:私もそのとき初めて知りました!(笑)

(シズル音とは、主に食材や料理を扱う際に発せられる五感を刺激するみずみずしい音のこと)

東山:それで「勉強になります! 覚えました!」って(笑)。とにかく美味しそうな食事シーンが多いので、アフレコをしながら食べられるお店はないかと調べる時間も楽しかったです。『ゆるキャン△ SEASON2』ではウナギを食べるシーン(※2)があったのですが、リンたちが食べたのは関西風の焼いてからタレを付けるタイプだったんです。

花守:そうそう(笑)。

東山:関東は蒸してから焼くんですけど、関西は蒸さずに焼くウナギなので結構パリパリするんです。SE(効果音)も「パリッ」としていて、その関東ではなじみのないウナギの音がすごくよくて、私たちも食べたいね~って。関東でも食べられるお店を調べて、いつかみんなで行きたいと思っています。映画『ゆるキャン△』でも美味しいものは沢山出てくるのでご安心ください!

(※1)『ゆるキャン△』第4話「野クルとソロキャンガール」に登場する「ボルシチ(ドリンクセット)」のこと。価格1,300円に一瞬ひるむリンだったが、バイト代が入ったばかりで「金はあるんや!」と強気で注文。ドリンクはキャラメルマキアートを選んだ。

(※2)『ゆるキャン△ SEASON2』第3話「たなぼたキャンプと改めて思ったこと」でリンがなでしこに誘われて食べたウナギ。手持ちの残金が1,290円しかなかったリンは特上のウナ重4,000円に目玉が飛び出たが、なでしこが父からもらったおこづかいでごちそうしてくれた。

なでしこ&リンに伝えたいこと


――シリーズ全体を通しておふたりが感じる『ゆるキャン△』の魅力を教えてください。

花守:『ゆるキャン△』の魅力は、押しつけないところだと思っています。誰に対してもオープンで「入ってきていいよ」と言ってくれる雰囲気がある。そんな開かれた作品だからこそ、いろんな方に楽しんでいただけるのだと思います。

東山:仲の良い5人が尊重しあって、お互いのペースを守っているのが居心地いいんだろうなと思います。そういうみんなを観ているからこそ、私たちも癒しをもらえたり、こんな仲間が欲しいと思えたり、自分もその仲間に加わったような気持ちにもなれる。『ゆるキャン△』はみなさんの日々の疲れを癒せる作品になっていると思います。あとは自然を五感で感じられるところも魅力ですね。作品名に”ゆる”と入っていますが、制作はかなりの“ガチキャン△”なんです(笑)。

最初の質問で「みなさんの会いたい『ゆるキャン△』に会える」という話をしましたが、みなさんが自然の中に没入できるよう、スタッフさんたちがキャンプ地へロケハンに行き、アニメの物語に合わせて日の傾きなどを計算し、影の演出までも緻密に描写する。だからこそ、観ている私たちは何も考えずともその世界観でリアルなキャンプを体験しているような感覚になれるのだと感じています。

花守:本当にこの作品はどんな人にも重なる部分がたくさんあって、年齢を問わず老若男女、それこそご家族でお楽しみいただいている様子をお手紙やSNSを通じて教えてもらっています。とあるお父様からは、お子さんが”リンちゃんとなでしこごっこ”をしているというお話を教えてもらいました。

東山:かわいい~!

花守:お家の中でタオルを棒の上にかけて、頑張ってテントの形にして遊んでるって(笑)。みなさんが“キャンプ沼”への入り口として『ゆるキャン△』を入門書のように扱ってくださっていて嬉しいです。

東山:今の話で私もひとつ思い出しました。舞台になっている山梨にイベントで行ったとき、小さなお子さんから「『ゆるキャン△』のモノマネします!」って言われたんですよ(笑)。

花守:あはは!

東山:「ええ!? 『ゆるキャン△』のモノマネ? よし、聞こう!」と。そしたら「\コンニチワ/」って言われて、それかぁ~って(笑)。

花守:かわいい~! 小さきものだった……(笑)。

東山:「\コンニチワ/」は本編で“松ぼっくり”がしゃべっているんですけど、それくらいみなさんに親しんでもらえているんだなと。本当に山梨へ行ってよかったと感じました。

――最後に、それぞれが演じられたキャラクターへ一言メッセージをお願いします。

花守:私とも友だちになってほしい!

東山:あ~いいねぇ。

花守:だから、なでしこには「キャンプしよう!」ですね。一緒にキャンプして、いっぱいお話をしたいです! お互いかしましいタイプだと思うので話しているうちに日が暮れて、いつの間にか「火を消す時間です」って言われちゃいそうだけど(笑)。

なでしこの不思議な魅力として、話せば話すほど、どんどん彼女が自分の中で“帰る場所”になっているような安心感をもたらしてくれる子だと思っていて。一度彼女の包容力に包まれてみたいです。

東山:悩みを相談したくなるよね。

花守:でもきっと、明確な「こうすればいいよ!」じゃなくて、悩みを抱えているという苦しみに対して共感してくれて「ゆみりちゃんがどんな答えを選んでも、私はずっと応援しているからね! 頑張れ!」って言ってくれそう。そんなことを言われたら、私はもう彼女のこと忘れられなくなっちゃう……。

東山:あはははは!

花守:……っていう妄想でした(笑)。

東山:じゃあ私はリンに「ちょっと飲みに行こうか」って言ってみたいです。

花守:わぁ……。

東山:大人になった今だから言えること(笑)。

花守:「リンちゃん、飲みに行こうか」って言ったら、「えっ」って一瞬引きつって。

東山:「考えとく」って言われるかな?

花守:ワンクッションありそう(笑)。でも絶対来てくれるんだろうなぁ。

東山:きっと来てくれる! 大人になったからこそ、今度はキャンプで飲んだりもできますし、お酒が片手にあるからこそ料理も一味変わってくるので、キャンプの魅力もグッと増すと思います。

映画『ゆるキャン△』の中で社会人として輝いているリンを見て「この子は私が思っていた以上にまっすぐで、頑張り屋さんなんだ」という彼女の新たな魅力を発見することもできました。リラックスしながらお互いの悩みを語り合って「英気を養ってまた一緒に頑張ろう!」って、素敵なお酒を飲み交わせられると思います。



(C)あfろ・芳文社/野外活動委員会

《吉野庫之介》

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