その唯一無二の表現で世界中の人々を魅了し、日本アニメーション界を牽引し続けているトップクリエイター・湯浅政明監督。そんな湯浅監督の最新作にして集大成と呼び声高い『犬王』が、いよいよ5月28日に公開を迎える。この記事では湯浅監督の言葉とともに、その挑戦の軌跡と最新作『犬王』の魅力について紐解いていく。
■湯浅政明監督とは?
湯浅監督は、『クレヨンしんちゃん』や『ちびまる子ちゃん』などの国民的アニメのアニメーターとしてキャリアをスタート。監督としては『マインド・ゲーム』、『夜は短し歩けよ乙女』、『きみと、波にのれたら』、『DEVILMAN crybaby』、『映像研には手を出すな!』などを手掛けてきた。
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物語のジャンルを問わず、ダイナミックなキャラクターの動き、その世界に引き込まれてしまうようなサイケデリックな世界観が、国内外問わず世界中から評価を得るトップクリエイターだ。
そんな、常に新作を期待される湯浅監督のキャリアの集大成にして新境地を拓いた作品が、歴史に隠されたポップ・スター“能楽師”犬王とそのバディ・“琵琶法師”友魚(ともな)の物語を描く『犬王』となる。
■そうそうたるクリエイターが集結!
古川日出男の小説『平家物語 犬王の巻』を原作に、湯浅監督が大胆不敵なイマジネーションを駆使して映像化した本作。異形の子として生まれた犬王と、盲目の琵琶法師の友魚が出会い、伝統芸能の常識をぶち破るパフォーマンスを次々と披露しスターダムを駆け上がるさまを描く。
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キャラクター原案を担当した松本大洋は、湯浅監督とは『ピンポン THE ANIMATION』以来のタッグとなり、少年2人の600年前の時を超える友情と青春を、流麗かつパンクに描き出した。さらに、総作画監督に『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』や『映画ドラえもん のび太の宝島』の亀田祥倫、『ピンポン THE ANIMATION』や『ポケットモンスター』の中野悟史 、演出には『映像研には手を出すな!』の山代風我など、話題作を手掛けるそうそうたるクリエイターたちが集結した。
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『ピンポン THE ANIMATION』を超える熱い青春と、『映像研には手を出すな!』を凌駕するキャラクターのエネルギッシュな躍動に期待が高鳴るばかりだ。
■映画というより、もはやライブ!
また湯浅監督は、作画・演出で参加した『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』や『夜は短し歩けよ乙女』の音楽シーン、そして不良グループのキャラクターの声優にKEN THE 390、YOUNG DAIS、般若、AFRAなどのアーティストを迎えクールなラップシーンを演出した『DEVILMAN crybaby』など、常に音楽とアニメーションを調和させた新たな表現でアニメ界をリードしてきた。
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既に海外の映画祭で「ロックオペラ!」と絶賛の嵐を巻き起こしている本作でも、その音楽へのこだわりと新たな挑戦をいかんなく発揮。アニメの枠を超えた音楽性の高さを実現させたのは、ノイズ・ミュージックから映画『花束みたいな恋をした』やドラマ『あまちゃん』の劇伴まで多岐にわたる領域で活躍する音楽家・大友良英と、主人公2人の声優を務めたバンド「女王蜂」のボーカル・アヴちゃんと実力派俳優・森山未來だ。
室町時代を舞台に能をテーマにした作品ながら、ヒップホップやロックなど現代的なリズムをミックスした痺れる音楽が全編に渡って鳴り響き、その一曲一曲が湯浅監督のダイナミックな演出とハマる瞬間は鳥肌もの。さらに、その音楽に共鳴したアヴちゃんの異次元の歌声、森山未來の天井を突き破るかのような咆哮が重なり、劇場に居ながらにしてフェスの最前列にいるような至高の音楽体験が味わえるのが本作なのだ。
■「今の時代に勇気を」キャリアの全てが詰まった集大成!
『犬王』は作画、アニメーション、音楽に至るまで、これまでの湯浅監督の新境地を感じさせる作品となった。湯浅監督自身が掛ける想いも熱く、主人公である犬王と友魚については「逆境の中で育った二人が這い上がろうとしている姿が魅力的で、今の時代に犬王のような明るいキャラクターを見せることで、勇気をもらえるのではないかと思った」と語る。
2人の力強い生き様に強く魅了され、本作を通して現代に生きる勇気を与えたいというメッセージも込められている。
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伝統に捕らわれることなく、自分だけの表現を求める犬王と友魚。常にトップクリエイターとして新たな表現を追求してきた湯浅監督には、そんな彼らとどこか重なる部分があり、描かれる物語にもこれまでに監督が挑んできた友情、愛、青春というテーマ、そして魑魅魍魎の世界まで全ての要素が集約された。まさに湯浅監督の集大成とも言うべき作品だ。
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物語の舞台は室町時代だが、逆境に屈せず己の道を進む犬王と友魚の姿は、現代を生きる私たちにも共感と熱狂を与えてくれるだろう。湯浅監督の集大成にして新境地をしかと眼に焼き付けたい。
劇場アニメ『犬王』は、5月28日より全国ロードショー。
【キャスト・スタッフ】
声の出演:アヴちゃん(女王蜂) 森山未來 /柄本佑 津田健次郎 松重豊
原作:「平家物語犬王の巻」古川日出男著/河出文庫刊
監督:湯浅政明 脚本:野木亜紀子 キャラクター原案:松本大洋 音楽:大友良英
アニメーション制作:サイエンスSARU
配給:アニプレックス、アスミック・エース
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