劇場版「バンドリ!」の舞台裏は? Roseliaを魅力的に描くための工夫、続編の注目ポイントも【監督インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

劇場版「バンドリ!」の舞台裏は? Roseliaを魅力的に描くための工夫、続編の注目ポイントも【監督インタビュー】

4月23日より公開中の劇場版『BanG Dream! Episode of Roselia I : 約束』より、柿本広大総監督と三村厚史監督にインタビュー。『バンドリ!』シリーズ初となる、ストーリーを中心とした劇場アニメをどのようにつくっていったのか? 舞台裏に迫った。

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Roseliaらしさを引き立てた繊細な演出


――本作の時間軸はこれまで制作してきたアニメシリーズや『BanG Dream! FILM LIVE』よりも前です。映像面で気を配った部分はありますか。

三村:表情の違いはとくに意識しました。たとえば友希那は表情を柔らかくし過ぎないようにしています。とくに序盤は張り詰めたような雰囲気を崩さないようにして、一方、終盤では表情が少し和らぐように描きました。

全体としては感情の動きを繊細に描くために、芝居も派手になり過ぎないように意識し、パーツごとに細かな芝居を付けています。人物にカメラを近づけたクローズアップの画面でないと表現しきれないほどです。
眉毛の角度も細かく描き分けているので、表現の幅はアニメシリーズの頃よりも広がったと思います。キャラクター性を重視してアニメーターに細かく指示を出し、ギリギリまで修正を重ねてブラッシュアップしていきました。


柿本:Poppin'Partyであれば、遠くから映しても全身のポーズなどですぐに感情やキャラクターが判別できるんです。でもRoseliaは方向性が異なるので、顔だけでなく手や足のアップなどのカットを多くして、感情の機微を拾っています。
あとはRoseliaらしさが映像からも伝わるよう、新しいフィルターも導入しました。回想シーンでは色調があまり派手にならないように全体の色味をコントロールしているので、ぜひ注目してください。

――とくに手ごたえを感じたシーンや、スタッフが頑張ってくれたシーンはありますか。

三村:あこと燐子が練習中に飛び出していってしまうシーンは手ごたえを感じました。アニメーターもかなりの熱量で取り組んでくれたので、見ごたえのある映像になっていると思います。


柿本:CGアニメーターだけでなく、作画スタッフの仕事にも助けられました。幼少期の友希那が作っていたシロツメクサの冠は、すべて作画スタッフの手描きなんです。EDでシロツメクサの模様が徐々に青薔薇に変わっていくシーンも圧巻でした。

2Dワークスを担当してくれた池田新助さんの存在も大きかったです。炭酸の泡やカップの光沢などを付け足してくれたおかげで、小物がより美しく仕上がりました。
真っ白なカップの素材を渡したら高級感のある模様が描き足されていたときは本当に驚きました。これまでのアニメシリーズではディテールの描写が難しかった部分も「映画なので」と自分からカットを持っていっては、地道にブラッシュアップしてくださったんです。

三村:CGディレクターの遠藤求さんにも助けられました。若いアニメーターの多い現場ではありますが、遠藤さんが細かく指示をしてくださったのでアニメーションのクオリティーが上がったと思います。

ライブシーンで心がけた臨場感と存在感



――『バンドリ!』といえばライブシーンも人気があります。本作では、どのような点にこだわったのでしょうか。

三村:ライブシーンはアニメシリーズよりカメラワークを多くして、ライティングも派手にしています。カメラワークはRoseliaの強者感を出すために、低い位置からカメラを向ける煽りの構図を多く入れました。そうするとキャラクターの存在感が大きく見えるんです。

また、以前RoseliaのMVを作っていたことがあったので、そのときの雰囲気を踏襲しながらライブならではの臨場感ある演出をしていきました。その場にお客さんがいてRoseliaが演奏しているような、生っぽさを重視しています。

柿本:MVでは演奏シーンの間にも、別の場所にいるような短いカットを入れることが可能です。でもライブシーンは実際にその場所でしか撮れない映像にしてもらいました。

三村:だから壁をぶち抜いて撮るようなことはしない。ライブ会場で機材を駆使すれば絶対に撮影できるような映像を心がけています。

柿本:メンバーの立ち位置もステージの広さや機材の幅などを意識して、お互いの距離が近くなり過ぎないようにしました。
また、Roseliaは演奏テクニックも人一倍重視しているバンドなので、ライブ中に手元のカットを多く入れています。劇場版ではこれまで以上に細かく手元の動きを作りこんでもらいました。


――ライブシーンではモーションキャプチャーを使用して動きを付けています。作りこんでいくうえで心がけた点はありますか。

柿本:リアルな動きの追求と、アニメーション表現の気持ち良さのバランスを意識しました。

三村:モーションキャプチャーをそのまま落とし込んでも、アニメとしては不自然になってしまうことがあるんです。
たとえば本作の場合、アニメよりも実写の方が頭のサイズが大きいので、等身の調整が必要になります。腰のひねり方など、実写だと気にならなくてもアニメにすると振り幅や身体の傾きなどが大きくなり過ぎてしまう部分も調整を加えました。

あとは動きの緩急。実写の映像をそのまま使った場合、アニメではリアル過ぎてぬるっとした動きになってしまう部分もあります。そうならないようにあえて1コマぶんカットするなどのメリハリをつけて、アニメとして気持ちいい映像になるようにしています。

――モーションキャプチャーで演技をするアクターには、どのような指示を出しているのでしょうか。

三村:アニメシリーズの頃から出演していただいているアクターさんがいるので、話の展開などを説明するくらいで、動きは基本的にお任せです。
モーションキャプチャーを撮影するときはリアルタイムでモデルと合成して、衣装と組み合わせた場合の動きをチェックしています。そうすると衣装の振り幅が大きくなって派手になり過ぎてしまう箇所がわかるので、動きを抑えてもらうなど、その場で細かな調整が可能です。

柿本:友希那役のアクターさんは相羽あいなさんの動きもよく研究していて、リアルライブでの振り付けを参考にしてくれています。
相羽さんはまだライブで演奏していない曲でも、アニメ化が決まると先に振り付けを提案してくれるんです。それをできるだけ忠実にアクターさんに再現してもらっています。
とくに相羽さんの振り付けで特徴的な、指先の動きはこだわって表現してくれました。

三村:センサーで拾いきれない指の動きなどは、アニメーターがあとから手作業で調整を加えています。それでもアクターさんが指先まで神経をとがらせて演じてくださっていたのが印象的でした。

衣装に込められた意味を伝えるために



――『バンドリ!』は細かな装飾の衣装も魅力的です。本作でも新たな衣装を動かすにあたり、どのような工夫をこらしましたか?

三村:本作ではバンドストーリー2章の衣装に合わせて髪型も変えました。実は髪型を変えると、別の3DCGモデルを作るくらいの労力がかかるんです。

ただ、衣装が変わっても髪型がこれまでと同じでは、お客さんが冷めてしまう。だから髪型も衣装に合わせてきちんと変えようと最初から決めていました。

柿本:とくにバンドストーリー2章は衣装自体に深い意味が込められているので、実現できてよかったです。


三村:小物も細かくて大変でしたが、作中の重要なシーンで着ることがわかっていたのでスタッフに頑張って作ってもらいました。『バンドリ!』の衣装はどれも重ねているパーツが多いですし、それを動かすための仕込みも多い。楽器を持たせるのも難しくなるくらいの密度を、毎回作りこんでもらっています。

柿本:ドレスの揺れやアクセサリーが多いので、衣装作りはRoseliaが一番大変かもしれません(笑)。OPの新衣装も、刺繍や布の質感、肩回りの布が垂れている部分の揺れ方などはかなり作りこみました。ぜひスタッフの頑張りにも目を向けていただけると嬉しいです。


――OPとEDでこだわったポイントを教えてください。

柿本:OPではRoseliaメンバー5人の声が絡み合ってひとつのハーモニーになるイメージで曲を作ってもらいました。だから衣装も聖歌隊をモチーフにしています。


映像には鳥かごも入れていて。これは「LOUDER」のモチーフだった飛ぶ鳥とのつながりを意識しています。演奏シーンはOPだからと変に誇張せず、普段通りのRoseliaのパフォーマンスを見せるように心がけました。
EDは締めくくりというより、『BanG Dream! Episode of Roselia II : Song I am.』に続いていくイメージ。これからRoseliaが夢を叶えていくための戦い方や道筋がうかがえるような、勇ましい曲調にしてもらいました。

また、劇場版ということでライブシーンを増やしたく、制作サイドに無理を言って、ED内でライブシーンをもうひとつ作らせてもらえるよう頼みこみました。お客さんがまた次の映画を見たくなるようなEDにしたかったんです。

メンバーが生きている姿を描きたい



――ところでおふたりが『バンドリ!』シリーズのアニメを作るとき、とくに心がけている点はありますか。

三村:ずっと全力で作っていたので、あらためて聞かれると難しいですが……。でも今振り返ると、登場人物がやらないことは絶対にさせないよう心がけてきました。
たとえば「このメンバーの表情はこんなに大きく変わらない」とか。所作や表情を役として演じているのではなく、ひとりの人物として生きている姿を描きたいと思って細かく作っています。

柿本:僕はカットが変わるごとにメンバーの新しい側面が見えてくるように意識しています。停滞せずに物語が進んでいくようにしたくて。気持ちの動きと事象の流れをきちんと把握してからストーリーを構成できるよう、今後も心がけていきたいです。


――最後に『Episode of Roselia II : Song I am.』の見どころを可能な範囲で教えてください。

柿本:次回の『Episode of Roselia II : Song I am.』では夢を叶えていくRoseliaの快進撃が楽しめます。前編はドラマ仕立てでしたが、後編ではライブシーンもたくさん出てくるので期待していてください。

三村:Roseliaがどんな道を歩み、これからどこに向かっていくのか。すでに『ガルパ』で公開されている物語ではありますが、映像でより真に迫った部分を感じてもらえたら嬉しいです。
『Episode of Roselia』の2作品はどちらもRoseliaがメインですが、まったく雰囲気が違うので楽しみにしていてください。

柿本:違いにもきちんと理由がありますし、ちゃんと2作品の間でメンバーの気持ちもつながっている。ぜひ2本あわせて見ていただけると嬉しいです。

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《ハシビロコ》

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