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【最速レビュー】劇場版「コナン 緋色の弾丸」“赤井ファミリー集結”だけにとどまらないファン必見の理由とは?

劇場版 『名探偵コナン 緋色の弾丸』の魅力をガチファン目線でレビュー。

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劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会 全 8 枚 拡大写真

キャラ愛にあふれたタッグバトルが熱い!


ただ、こうしたリアルな要素を入れ込みつつ、ファンを楽しませる展開もきっちりとカバーしているのが素晴らしい。赤井ファミリーをただ登場させるだけでなく、様々な形でタッグバトルを仕込んでいるのだ。
コナンと赤井はもちろん、コナンと世良、世良とメアリー、赤井と羽田といったように人気キャラたちを掛け算させ、この映画でしか見られない共闘を多数作り上げている(羽田×由美のカップルの掛け合いもほほ笑ましい)。


劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
たとえば、阿笠博士の家の前で赤井(沖矢昴)がコナンを待ち構えており、ふたりでドライブしながら“作戦会議”をするシーン、赤井と世良の兄妹対決等々……。詳細は観てのお楽しみということで省くが、何気ないシーンでも「この組み合わせは熱い!」とファンを歓喜させるものが数多く盛り込まれている。
また、コナンと世良がタッグを組むシーンでは、コナンの正体は新一であると確信している世良からの探りを交わしつつ、事件解決に臨むというスリリングな攻防も描かれる。

また、コナンと蘭、灰原という初期メンバーの描き方も絶妙だ。晴れて互いの想いを伝えあい、 恋人同士になった新一(コナン)と蘭のやり取りはより親密さが増しており、シリーズを長年追ってきたファンにとっては感慨深いものがあるはず(お約束の「蘭!」「新一!」もしっかり用意されているのが心憎い)。


劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会さらに、本作では コナンと灰原の連係プレーが炸裂。コナンが灰原を圧倒的に信頼している様子が何度も描かれ、灰原が「私は雑に扱われてる……」とぼやきながらも、コナンの最良の相棒と言っていいほどの存在感を発揮していくのは、作り手たちのキャラクターへの強い愛情を感じさせて心地よい。
細かい部分だが、灰原がコナンの予備のメガネをかけるシーンは、ファン的には特別な意味を持つ。

元々は彼女が絶体絶命のピンチに陥った「ピスコ編」(コミックス24巻)で、コナ
ンが「かけると正体がバレない」とメガネを灰原に渡したのが始まり。以降、ジョディとベルモットが対決する重要回(42巻)など、シリアスな回で灰原がメガネをかけることが多かったのだが、今回はコナンに不測の事態が発生したように前もって用意していたという設定に。
悲劇性が漂っていた灰原が、少しずつ居場所を見つけていくところも『名探偵コナン』シリーズの重要な見どころだが、本作では所々にその意識が感じられる。


劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
蘭と灰原の掛け合いが多めに観られるのもファンには嬉しいところで、灰原が蘭を翻弄して困らせたり、ふたりでコナンの安否を気遣ったりと、初期のコミュニケーション不全(灰原が蘭を拒んでいた)を乗り越え、ここまで成長したふたりがしっかりと描かれるのは、劇場版では初めてといえるかもしれない。

永岡智佳監督が引き出す、表情の豊かさに注目


各キャラクターの描写とサスペンスアクションの畳みかけのバランスが絶妙な快作だが、櫻井の脚本はもちろん、『紺青の拳』で監督デビューを果たした 永岡智佳の存在が非常に大きいように思う。
彼女は、『紺青の拳』で鈴木園子の新たな魅力を引き出し、その繊細な心理描写とキャラクターの愛情あふれる演出が絶賛されたクリエイター。本作でも、永岡監督ならではの「キャラクターの絶妙な表情」が多数観られる。

たとえば、新一と電話している際の蘭の照れつつも好意を確かめたい表情や、羽田を見守りつつ、揺るがない愛情を言い切る由美の優しさと強さが同居した笑顔、赤井や羽田の色っぽいキメ顔など、それぞれのキャラクターが生き生きと動いている。
個人的に特に驚かされたのが灰原で、先に述べたようなコナンとのタッグバトルの厚みもあるためか、彼女の表情一つひとつが実に豊かなのだ。メインは赤井ファミリーの物語だが、 「灰原推し」の皆さんにはグッとくる描写が連発なのではないか。

また、永岡監督と櫻井のコラボレーションの見事さは、ジョディが証人保護プログラムについて語るシーン等に現れている。
彼女は両親を黒の組織のベルモットに殺されており、承認保護プログラムを受け入れたという過去がある。だからこそ、承認保護プログラムについて語ることは、ジョディにとってトラウマを呼び起こすものでもある。その際の表情が、哀しみと怒り、それでも前に進もうとする決意を感じさせるものになっているのだ。
これはあくまで一例で、劇中ではまだまだ、キャラクターとストーリーが見事な融合を見せている。

アクションシーンとしても、『緋色の弾丸』の後半にはすさまじい見せ場が用意されており、劇場で思わず手に汗握ることになるだろう。心・技・体そろった快作である劇場版コナンの新作、ぜひ細部に至るまで堪能していただきたい。

『名探偵コナン 緋色の弾丸』作品情報
2021年4月16日 全国東宝系にて公開

原作:青山剛昌「名探偵コナン」(小学館「週刊少年サンデー」連載中)
監督:永岡智佳  
脚本:櫻井武晴  
音楽:大野克夫
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、池田秀一 ほか
(スペシャルゲスト)浜辺美波
主題歌:東京事変「永遠の不在証明」 
配給:東宝 
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント

(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
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《SYO》

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