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劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]III.spring song』キービジュアル
『Fate』シリーズは、どんな願いでも叶えるといわれている「聖杯」を巡り、7人の魔術師〈マスター〉が7騎の英霊〈サーヴァント〉とともに聖杯戦争を繰り広げる物語。
シリーズの原点となる『Fate/stay night』には3つのルートが用意されており、「HF」では間桐桜をヒロインとして聖杯戦争の真実が明かされる。
第1章『I.presage flower』では、桜と主人公・衛宮士郎との出会いや聖杯戦争の幕開けが、第2章『II.lost butterfly』ではゆがんでいく聖杯戦争と桜に課せられた残酷な運命などが描かれてきた。
最終章となる第3章ではどのような物語が展開されるのだろうか。本稿では「HF」各章のストーリーを振り返りつつ、予告映像や主題歌といった第3章の注目ポイントを紹介していく。
■運命との出会いの物語『Fate/stay night [Heaven's Feel]I.presage flower』
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劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]I.presage flower』キービジュアル
第1章『Fate/stay night [Heaven's Feel]I.presage flower』は98万人を動員、興行収入15億円を記録し、映画としても好成績を収めた。
自身も間桐桜のファンだと明言する監督・須藤友徳がこだわり抜いた映像や演出が高く評価され、「HF」全章への期待をより高めた作品でもある。
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劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]I.presage flower』場面カット(間桐桜)
冒頭では、衛宮士郎(CV:杉山紀彰)と後輩・間桐桜(CV:下屋則子)の過ごした穏やかな日々が描かれた。2人が親しくなるきっかけは、士郎が肩を負傷したこと。桜は士郎の日常生活を手助けしようと、衛宮邸に通い詰める。
最初は遠慮していた士郎だったが、懸命に家事をする桜を見て料理などを教えるように。気づけば毎日ともに食卓を囲む日々が続き、桜は「私、先輩の家じゃないとご飯をおいしくいただけなくなっちゃったんですから」と口にするようになっていた。
しかしそんな幸せな時間は、第五次聖杯戦争によって突如として崩れ去る。
士郎たちが暮らす冬木市は、長きにわたって魔術師たちによる聖杯戦争の舞台となっていた。
ある日の放課後、士郎はサーヴァント同士の戦いに巻き込まれ、自らもサーヴァント・セイバー(CV:川澄綾子)を召喚してしまう。
魔術師として未熟だと自身を評価する士郎は、聖杯戦争への参加を断るつもりだった。しかし10年前の第四次聖杯戦争について聞かされ、考えを改める。
士郎は10年前に冬木市で起きた大災害で家族を失っていた。その原因が第四次聖杯戦争にあったと知り、士郎は人々を救う「正義の味方」になるために戦うことを決めた。
![劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」I.presage flower(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC](https://animeanime.jp/imgs/zoom/351573.jpg)
劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]I.presage flower』場面カット
しかし壮絶な戦いの中、士郎は何度も命を落としかける。家で帰りを待つ桜は、怪我を重ねる士郎の姿に心を痛めていた。
第1章のラストには、雪が降る寒い夜、サンダル姿で玄関前にたたずむ桜の姿が。足や鼻が赤くかじかんでおり、長時間待っていたことがわかる。
自己犠牲の精神が強い士郎に「もっと自分を大事にしてください」と怒る桜。しかし士郎は、桜をはじめとする大切な人々を守るためならば、たとえサーヴァントを失っても戦い続けると決めていた。
注目シーン:土蔵で語らう桜と士郎
「HF」における桜と士郎の立ち位置がよくわかるシーン。この物語では桜が「悪い子」であり、正義を貫こうとする士郎とは対極にあることが暗示されている。
聖杯戦争がはじまり、危険が増していく冬木市での日常。士郎は桜を近くで守るために一緒に暮らそうと提案した。
ある夜、土蔵で魔術の修行に励む士郎のもとに、桜がやってくる。
ストーブの灯りが温かく2人を照らす中、桜は士郎を初めて知ったときの思い出を語り始めた。その後「正義の味方になりたい」と夢を口にした士郎から、桜はときおりまぶしそうに目をそらす。
やがてストーブが消え、土蔵は暗闇に包まれた。桜は思いつめたように「もし、私が悪い人になったら、先輩は許せませんか?」と質問する。
突拍子もない問いだったが、士郎は真剣に「桜が悪いことをしたら怒る。誰よりも叱る」 と答えた。
すると桜は心から安堵したように目を閉じる。物語が進むにつれ、士郎は桜の言葉の真意を思い知ることとなった。
■決意とゆがみの物語『Fate/stay night [Heaven's Feel]II.lost butterfly』
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劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]II.lost butterfly』キービジュアル
第2章の『Fate/stay night [Heaven's Feel]II.lost butterfly』は第1章を上回る109万人を動員、興行収入は16.7億円にのぼった。
第2章では、聖杯戦争に生じたゆがみが大きくなっていく。
原因は桜の祖父である間桐臓硯(CV:津嘉山正種)。臓硯は第1章で真アサシン(CV:稲田徹)を召喚し、サーヴァントたちを謎の影に食らわせていた。士郎も臓硯の策略によって、第1章のラストでセイバーを失ってしまう。
![劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]」II.lost butterfly』(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC](https://animeanime.jp/imgs/zoom/351445.jpg)
劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]II.lost butterfly』場面カット(遠坂凛)
戦う術がなくなったはずの士郎だが、共闘関係を結んだ魔術師・遠坂凛(CV:植田佳奈)やイリヤスフィール・フォン・アインツベルン(CV:門脇舞以)とともに聖杯戦争にかかわることを選ぶ。
戦いの中で腕を失った士郎は、凛のサーヴァント・アーチャー(CV:諏訪部順一)から左腕を移植された。
士郎にこれ以上危険な目に遭ってほしくないと思う桜だったが、彼女にも聖杯戦争にまつわる残酷な運命がある。
桜はもともと間桐の生まれではなく、凛と同じ遠坂家の人間。しかし魔術師として優れた素質を持っていたため間桐が養子として引き取ることを望み、遠坂はそれに応じた。
臓硯は桜を間桐の魔術師として育て上げるべく、精神や肉体に苦痛を伴う手段をとる。義兄の慎二(CV:神谷浩史)は魔術の才能がないと見限られていたため、桜に強い憎しみを抱き、ときに暴力で接していた。そのため、桜にとって心安らげる場所は衛宮邸だけ。
![劇場版『「Fate/stay night [Heaven's Feel]」II.lost butterfly』 場面写真(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC](https://animeanime.jp/imgs/zoom/351447.jpg)
劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]II.lost butterfly』場面カット(間桐臓硯)
聖杯戦争が進行するにつれ、なぜか悪化していく桜の体調。ときおり影にノイズが混じる描写もあり、不穏な気配を感じさせる。
ある夜、臓硯と対峙した士郎は桜の過去や体調不良の原因を知らされた。桜の中に潜む汚染された聖杯。聖杯戦争をゆがませている要因は、桜の存在そのものだった。
桜をこのまま生かしておけば、多くの人々が犠牲になる。「正義の味方」でありたいと願う士郎は、世界を守るか桜を守るか、究極の二択を迫られた。
一度は桜の命を奪おうと心を殺した士郎だが、自分が本当に守りたかったものに気づく。「春になったら2人で桜を見に行こう」と約束し、世界を裏切ることを選ぶ。
![劇場版『「Fate/stay night [Heaven's Feel]」II.lost butterfly』 場面写真(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC](https://animeanime.jp/imgs/zoom/351446.jpg)
劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]II.lost butterfly』場面カット
一方桜は、士郎を守るために自らの運命と向き合おうとする。
意を決して間桐家に足を運んだものの、慎二の言動が原因で感情が爆発。サーヴァントたちを飲み込んでいたものと同じ影が身の内から生じ、黒聖杯へと姿を変えた。
注目シーン:レイン
![劇場版『「Fate/stay night [Heaven's Feel]」II.lost butterfly』 場面写真(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC](https://animeanime.jp/imgs/zoom/351443.jpg)
劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]II.lost butterfly』場面カット(衛宮士郎)
士郎が桜だけの正義の味方になると決意するシーン。
士郎を傷つけまいと姿を消した桜だが、「帰ろう」と普段と同じように声をかけられる。
自身が魔術師であることや、自分の身を守るために士郎を利用していたことなど、隠していたことを打ち明け、距離をとろうとする桜。しかし士郎は一歩も立ち止まらず、桜へと近づいていく。
雨が降りしきる中、士郎が歩みを進める場面はスローモーションのように描かれ、無数の雨粒が幻想的な雰囲気を醸し出す。
「俺が桜の代わりに桜を許し続ける」と士郎が口にしたとき、時の速さは現実へと戻る。「ここが、桜の家だ」と士郎は衛宮邸の鍵を差し出すが、桜は自身の過去を理由に提案を断ろうとする。
すると、勢いよく桜を抱きしめる士郎。どんなことがあっても桜を守ると誓うこのシーンは、第2章でとくに印象的に描かれた。
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