声優YouTube戦国時代…響が運営する「HiBiKi StYle」の戦略とは?「箱推しのファンを増やす」 【仕掛け人×紡木吏佐】 | アニメ!アニメ!

声優YouTube戦国時代…響が運営する「HiBiKi StYle」の戦略とは?「箱推しのファンを増やす」 【仕掛け人×紡木吏佐】

声優事務所・響が運営するYouTubeチャンネル「HiBiKi StYle」より、同チャンネルの企画から制作まで手がける“仕掛け人” 戸高明友美さんと、所属声優であり多彩な出演動画でファンを魅了する紡木吏佐さんにインタビュー。

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声優YouTube戦国時代…響が運営する「HiBiKi StYle」の戦略とは?「箱推しのファンを増やす」 【仕掛け人×紡木吏佐】
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世はまさにYouTube戦国時代。

YouTuberは子どもの憧れの職業になり、最近は芸能人や大手企業も続々とチャンネル開設をはじめている。
その波は声優界にも押し寄せ、とくに新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令後は数々の人気声優のYouTubeデビューが相次いだ。

声優個人やユニットによるチャンネルが目立つなか、事務所発でインパクトを放っているチャンネルがある。

それが、声優事務所・響が運営するYouTubeチャンネル「HiBiKi StYle」だ。

同チャンネルは2017年8月1日にスタート。所属声優たちがゲーム実況やロケなどに挑戦しており、これまでの投稿数は約600本にのぼる。

HiBiKi StYleの魅力といえば、いい意味で「声優事務所のアカウントとは思えない」ほどフリーダムな企画動画。たとえば、所属声優・紡木吏佐さんが出演する動画には「やべーやつ」とファンからコメント欄で評価されるほど、のびのびと撮影に臨んでいる。


今回、同チャンネルの企画から制作まで手がける“仕掛け人” 戸高明友美さんと、所属声優であり多彩な出演動画でファンを魅了する 紡木吏佐さんにインタビュー。

声優事務所である響はなぜYouTubeに注力するのか。さらに事務所・所属声優・ファンにとってどのようなメリットがあるのだろうか――。

なお、記事は前後編に分け、前半は戸高さんにチャンネル運営全般と狙いについて、後半は紡木さんをメインに出演者目線でYouTubeと声優の関係について語ってもらった。
[取材・文=ハシビロコ、撮影=Fujita Ayumi]

■HiBiKi StYleで作品への新たな入り口を作りたい




    戸高明友美
    HiBiKi StYleの企画立案から映像制作の進行管理、YouTubeにアップロードされるまで全行程を担当。


――戸高さんは響のYouTubeアカウント担当として、具体的にはどのような作業を行っているのでしょうか?

戸高:企画立ち上げから動画公開まで全面的に担当しています。放送作家さんや広報を交えた企画会議、キャスティング、小道具の準備、ロケ地や撮影場所の手配、撮影、編集、監修依頼、Twitterでの告知など、作業範囲は多岐にわたります。

――おお、本当に全行程なのですね。

戸高:とある企画では、ケーキの土台をコツコツと自宅で作成しました(笑)。
ただ、会社の業務としてはYouTubeだけを担当しているわけではなく、イベント業務なども行っています。

――HiBiKi StYleは2017年8月1日にチャンネル開設されましたが、まずはその理由をお聞かせください。

戸高:まずは所属声優を入り口としてブシロードコンテンツを周知するためです。
HiBiKi StYleを開設した2017年当時は、まだ声優発信のYouTube動画が少ない時期で、新たな広報ツールとして開拓していこうと目を付けました。

当初はブシロードコンテンツのPRに重きを置いていたので、動画の傾向もゲーム実況や告知ものが多かったのですが、声優自身の個性にも焦点を当て始め、現在は「PR動画」と「バラエティー動画」の比率がなるべく1:1になるよう運営しています。

――配信動画はバラエティーに富んでいますが、とくに反響が大きかったものは?

戸高:現時点で再生数が一番多いのは「HiBiKi StYle 第104回 響声優に生電話してみた!愛美」です。


タイトル通りの生電話企画なのですが、声優のパーソナルな部分やプライベートをのぞいているかのような雰囲気が出ている動画は反響が大きいですね。

ほかにも「秘蔵映像!!元プロレスラー声優がリングで大暴れ!?【HiBiKi StYle 第512回】#相羽あいな」も好評でした。


もともと相羽さんの生誕祭用に作った映像だったのですが、イベントでファンの反応がとてもよかったのでHiBiKi StYleでもオーディオコメンタリーを入れて公開しました。

同じく相羽さんのお化け屋敷シリーズも人気です。


相羽さんが素の状態で怖がって叫んでいる様子が、そのまま動画になっています(笑)。

――動画企画はどのように決めているのでしょうか?

戸高:事務所のチャンネルなので、響所属の声優がバランスよく出演機会を得られるように心がけていて、出演声優を決めたうえで企画を練っていくことが多いです。

もしくはPRに重きを置いて、ブシロードコンテンツに寄せて企画を立てることもあります。所属声優がアプリ『バンドリ! ガールズバンドパーティ!(ガルパ)』をプレイする、「ガルパで遊ぼう!」シリーズはまさにそうですね。


とはいえ、告知ばかりでは声優自身のよさを伝えきれないこともあるので、パーソナルな部分が出るような内容も盛り込んでいます。
たとえば、相羽さんがCDを出した際は、単純にアルバムの告知をするのではなく、「ミニゲームをクリアできたら宣伝できる」というチャレンジ企画にしました。


あとは、声優本人からの持ち込み企画もありますね。とくに「#おうち時間」シリーズは企画と撮影を声優本人に任せたので、かなり個性が出ました。

「#おうち時間」でエンタメを絶やさぬよう



――「#おうち時間」シリーズは、所属声優さんそれぞれが個性を発揮されていたし、更新頻度も高めで毎日新作動画を配信されていました。

戸高:新型コロナウイルス感染拡大防止のために、おうちで過ごす時間が増えましたが、そんな時期に少しでもエンタメを供給したいという想いからスタートしたのが「#おうち時間」シリーズです。


当初は更新頻度を下げてストック動画をアップする方法を考えていましたが、ブシロードが「エンタメを途切れさせないよう発信し続ける」ことを重要視していたため、新しい動画を用意しました。
また、ブシロードムーブ(声優事務所響)の中尾祐子社長からも「今こそHiBiKi StYleにがんばってほしい」と背中を押されたので「もうなんとかつくるしかないぞ」と(笑)。

――緊急事態宣言中のため、対面での制作は難しいと思いますが、どのようにつくっていったのでしょう?

戸高:企画自体は緊急事態宣言発令前に決まっていたものが多かったのですが、集まって撮影することができなくなり、改めて企画を練りなおしました。「#おうち時間」は私が作成した動画撮影マニュアルや台本をもとに、出演者自身で撮影をしてもらいました。

男性声優陣は動画撮影にもともと興味があった人も多くて、真野拓実さんは「自分でゲーム実況動画を作りたい!」と編集作業も自ら担当しています。


また、声優からの持ち込み企画も多くて、料理動画やペット紹介動画、メイク動画などたくさんの企画が送られてきたので、毎日1本ずつの頻度で新たな動画を公開できました。

■声優事務所がYouTubeチャンネルを運営する理由



――声優個人のYouTubeアカウントが急増していますが、声優事務所というグループならではの強みはありますか?

戸高:まずは所属声優全体で、安定して動画本数を出せることでしょうか。声優個人チャンネルの場合、毎日1本動画を作ってアップするのは大変ですが、事務所全体でチャンネルを運営していれば、各役者が月に1本動画に出演するだけでもストックを確保できます。

次に役者を組み合わせることによって相互サポートができることです。
たとえば、紡木吏佐さんと遠野ひかるさんのコンビ「とのつむ」は、2人だからこそ生み出せるおもしろさが人気です。



紡木吏佐さん。本記事の後半パートであらためてお話いただきます。
さらに新人声優がデビューするときは、佐々木未来さんと組ませて「未来の部屋」という企画に出てもらいます。



佐々木さんは人の言葉を引き出すことがうまいので、初出演で緊張している新人でも話しやすいんです。先輩たちが「未来の部屋」に出たときの動画も参考にできるので、新人声優も準備がしやすいと思います。

――声優事務所としてYouTubeチャンネルを持つメリットはどこにありますか?

戸高:「響箱推し」のファンを増やせることです。特定の所属声優のファンという方だけでなく、「響の声優が好き」と事務所全体で応援してくださるファンの存在はとても大きいです。
響としては、所属声優同士でファンを取り合うのではなく、ファンを共有したいと思っているんです。

私は響所属声優全員のイベント運営も手がけていて常連さんとの距離も近いのですが、イベントに合わせで動画をアップして「待ち時間のうちに見てください」と声をかけることがあります。すると「HiBiKi StYle、見てますよ」、「響箱推しです」と言ってもらえることも多くてとても嬉しいです。

――声優さん個人にとっては、YouTube番組に出演することにどんなメリットがありますか?

戸高:まずは声優としてのメリットは、動画によって知名度が上がること。次にその声優の人柄や魅力をダイレクトに伝えられることですね。

あえて同じテーマの企画に挑戦してもらうと個性がより際立ち「この声優はこんな人」とはっきりとイメージを持ってもらいやすい。
たとえばホラーゲーム実況をさせると、愛美さんは特に驚くこともなくで淡々とプレイしますが、同じゲームを相羽さんにやってもらうと絶叫するんです。自然と差別化される形ですね。

紡木さんも同席して興味深げに話を聞いていた。
――他方、ファンにとってはどのようなところがメリットになるのでしょう?

戸高:ブシロードコンテンツの裏側が見えることでしょうか。響所属声優はブシロード作品への出演者が多いので、『ガルパ』(バンドリ! ガールズバンドパーティ!)をプレイすると共演者に関する話題が出ることも多く、コメント欄でも喜びの声が寄せられました。

■基準はおもしろいかどうか


――企画を決めるときの判断基準はありますか。たとえば、再生回数をとにかく狙うなど。

戸高:再生回数も大切ですが、「毎日が、新しい。毎日が、楽しい。」がHiBiKi StYleのテーマなので、視聴者に楽しんでもらえる内容が第一です。
ルールは守りつつ、視聴者も役者もスタッフも、かかわった人すべてにプラスの要素があるような動画を目指しています。

言ってしまうと、基準はシンプルに「おもしろいかどうか」ですね。

ゲーム実況でも、腕に低周波を流してビリビリさせるなど、バラエティー感を出しつつ作品をもっと好きになれる動画を作っています。


――なるほど。チャレンジングな企画も多いですが、逆に「これはやらない」と決めているものは?

戸高:基本的なことですが、出演した声優が悪く見えるような企画はやらないですね。また見た人が不快な気持ちになる企画や、再生数を稼ぐためにモラルに欠けたこともやりません。

――企画を考える際、コメント欄を参考にすることはありますか。

戸高:ファンの方のコメントが企画の参考になることは多いですね。
たとえばカードゲームの開封動画を出したときは私自身がカードゲームに詳しくなかったので、どう楽しんでくれるのか不安に思っていました。でも、「かわいい女の子がカードゲームのパッケージを開けて盛り上がっている姿を見ているだけで幸せ」とのコメントを見て「そうなんだ!」と驚きました(笑)。


細かいところだと、料理動画では作ってほしいレシピをコメントしてくれるファンもいますし、ゲーム実況動画ではおすすめゲームを紹介してくれるので、生の声は大事にしたいです。

また、コメントの傾向からファンが求める役者像が浮かび上がってきておもしろいです。
とのつむの場合は、遠野さんがしっかりまとめて、紡木さんがハイテンションで盛り上げる、という関係性が好きだと言ってくれる方が多い。だからこそ2人が楽しくなれるような企画を考えよう、と思いました。

ただ、コメントを気にしすぎると方向性がブレてしまうので、HiBiKi StYleの軸である「コンテンツと声優の魅力を伝えること」は崩さないようにしています。

■HiBiKi StYleが目指す姿


――声優YouTuberが群雄割拠する時代になりつつありますが、そのなかでHiBiKi StYleの今後の展望をお聞かせください。

戸高:所属声優が今だからこそ持っているリアルな面を発信したいと思っています。楽しく、新しい一面をリアルタイムでどんどん知ってもらえるようなチャンネルであり続けたいです。
また、響はブシロードコンテンツとのつながりが強いので、「バンドリちゃんねる☆」や「ARGONAVIS ch.」など、作品ごとのチャンネルとも共存していきたいです。

数値的な目標としては、年内にチャンネル登録者数20万人を目指しています(2020年6月16日時点の登録者数は12.2万人)。
エンタメが縮小されがちな昨今だからこそ、生きるうえでの活力になるようなコンテンツを作っていきたいです。

事務所にいると、声優たちが日々成長していることが伝わってくるんです。とのつむの動画も、当初に比べると会話のテンポ感が段違いに向上していて「こんなコメントを言えるようになって感慨深い……!」と思ってしまいました。もはや親目線です(笑)。

今後も声優や作品、そしてファンにとってプラスになる「楽しいもの」を日々提供していきますので、楽しみにしていただけると嬉しいです。




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《ハシビロコ》

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