■あの伝説のシーンを再録!? アフレコ・劇伴裏話
――アフレコ現場はどういった雰囲気でしたか? 声を務められたキティちゃんや、古谷徹さんの様子など。
イム:今回の作品は特別版ということでファーストガンダムとはセリフを少し変えていたんですが、古谷さんは「ここ変えてありますよね? 元のにしましょうか?」と気付かれて、全部オリジナル版に直して演じてくださったんです。凄いなと思いました。
――名セリフは全部頭の中に入ってるんですね。
イム:「全部バレてる」と思いました(笑)。音響監督も『機動戦士Zガンダム』以降ガンダムシリーズ作品を数多く手がけている藤野貞義さんだったので、「こっち(オリジナル)の方がいいと思うよ」とアレンジしてくれました。
またそういった相談の流れで、第1話でキティちゃんが見ているTVの中のシーンでは、ララァが亡くなった直後のセリフだけ録り直しをしています。
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――あの泣きの演技は新録だったんですね!
イム:はい。愛しい人を失った悲しみの演技が、1カットの収録のためだけにパッと出てきました。昔の映像に合わせる演技としても全く違和感がなく、その表現力には本当に驚きます。
――キティちゃんの収録はいかがでしたか? こういう作品の収録はレアケースだったと思いますが。
イム:キティちゃんは、アニメーションに声を当てるのは慣れていないようで、戸惑われていましたね。最初はもっと真剣な感じで、特に戦場ではアムロに対しても“キティ先輩”という感じの落ち着いた演技だったのですが、藤野さんから「いつものキティちゃんでいいと思うよ」とディレクションがあって、完成版のようになりました。
――キティ先輩、確かにキャラクターとしては5年先輩ですもんね。
イム:特に第3話のアムロと対峙するシーンは物語の肝になる部分なので悩んだのですが、リハーサルではオリジナルのララァのイメージに寄せた真剣な感じで演じられていたので、印象が大きく変わりました。
本作はガンダムとキティちゃんのコラボだからキティちゃんらしさを出すべきだし、「どこに行ってもブレないキティちゃん」らしさを出せていいものに仕上がったと思います。
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――楽曲面でも、そのシーンでは『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』で印象的だった「ビギニング」を使われていますね。
イム:実はそこにも苦労がありまして……。
――というのは?
イム:今回1話あたり2分程度×3本というフォーマットだったのですが、「ビギニング」は本来、たっぷり聴かせる曲なんですよね。その良さを活かそうとするとどうしても2分には収まらない。
――確かに、名曲が変なところで切られてしまうとファンのテンションが下がってしまいかねません。そこでどういう工夫をされたんですか?
イム:他の曲を使うことなども考えたのですが、結局作品自体の尺を伸ばしてもらいました。だから第3話は他2話より少し長いんです。
――なるほど、歌詞が最後まで切られず流れることで余韻のある終わり方になっていますね。改めて意識して聞かないと、最後がかなりタイトなのにも気が付きませんね。
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■アムロとキティ、その後の2人は?
――一見奇抜なコラボ作品という印象だった本作ですが、多くの人が協力し意見を出し合うことで完成したハイクオリティアニメだということが分かりました。
谷口:今回のプロジェクトではクリエイティブ面でも様々な人や企業を巻き込んでコラボレーションできたのが本当によかったです。
懐の深いサンリオさんだからこそのコラボ作品でもあるので、その成果をぜひ繰り返し見て確認していただきたいです。
山田:これまでサンリオキャラでコラボ映像というと1話完結のものがほとんどだったので、全3話でストーリー性のある作品にできたのが新鮮でした。ぜひまた1話目から通しで見ていただきたいですね。
――最後の質問です。アムロとキティちゃんはこの後ア・バオア・クーに乗り込むわけですが、もしこの続編が作られるとしたらどんな話になるでしょう?
谷口:うーん……身も蓋もないですが、続けようがないような気がします。だってキティちゃんが活躍したら、みんな平和になって歴史が変わっちゃいそう(笑)。でも作らせていただける機会があるならぜひ作りたいです。
山田:じゃあ5年後のハローキティ50周年と、ガンダム45周年の際にまたぜひ!
谷口:それはぜひ! でもその時はまた別のキャラクターとコラボしてるんじゃないですか?(笑)
山田:じゃあそのときは3キャラクターみんなで仲良くでいきましょう。サンリオは「みんなで仲良く!」の精神なので!
イム:そうですね、それがいいですね!
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なお、対決プロジェクトの新章「2020年 愛と平和のガンダム&ハローキティプロジェクト」も始動。戦いのない平和な世界を願うガンダムとハローキティは“LOVE&PEACE”というテーマを掲げ、各種コラボやTwitterでのキャンペーンなどで“みんななかよく”の平和な世界を共創していく。今後の展開については、公式サイトやTwitterにて情報が発信される予定だ。
(C)創通・サンライズ (C)'76,'20 SANRIO 著作 (株)サンリオ