悪ガキだったからこそわかる子ども心
――爆豪が活真くんの姉・真幌ちゃんに懐かれていくことも印象的でした。
岡本:真幌ちゃんは最初かっちゃんのことを警戒していましたが、途中から「爆豪!」って呼ぶほどに打ち解けていました。
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――爆豪は子どもと接するとき、どんなことを考えているのでしょうか。
岡本:完全に子ども扱いをしていますが、自分がかつて悪ガキだったからこそ、真幌ちゃんのように素直になれない子どもへの理解はある気がします。
ただ、今は接し方が自己流なので力で押さえつけてしまうこともありますが……。これから成長していくと、子どもに対しても、もっとうまい接し方ができるようになりそうです。
今回は劇場版だからこその優しさと、かっちゃんの成長がかみ合った気がします。
ツンデレにも見えるんですけど、本人の中では大人になった証拠というか。経験をどんどん積んでいったからこそできた接し方だと思います。だから優しく見えているのかな。
台本をもらって「終わったな……」と思った
――TVアニメシリーズも放送中のタイミングの劇場公開となりますが、劇場版のアフレコ収録はいつ行ったのでしょうか?
山下:TVアニメシリーズ第4期終盤のアフレコをしている時期でした。劇場版の時系列はTVアニメシリーズ第4期よりもあとなので、原作を頼りにデクたちのイメージをふくらませました。
――12月5日の完成披露試写会では、岡本さんが「アフレコに10時間かかった」とおっしゃっていました。
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岡本:いやー、長丁場でした。精神的にも体力的にもキツイ部分はありました。
山下:10時間集中し続けることって、普段はあまりないので……。その間ずっと気持ちを維持しないといけないんです。
――しかも終盤のアクションシーンではかなり叫んでいますからね。
岡本:アクションシーンに関しては、絵が完成していなかったので正直アフレコ時点でわからないことが多かったんです。だから後日、再アフレコをして、まんべんなく録り直しました。
山下:仮映像でのアフレコは予想でしかなかったので、完成した映像を見てその迫力にびっくりしました。
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――爆豪はずっと叫んでいるので、アフレコも相当大変だったと思います。
岡本:台本を読んだ時点で「喉が終わったな」と思いました。だからアフレコ当日も「声がなくなったらどうしよう……」と思いながら行ったんです。
でも、無事に演じ切れたのでホッとしました。これも運やコンディションに恵まれたからこそだと思います。
個人的には、アフレコ後にキャスト4人とディレクターさんと一緒に焼き肉を行けて満足でした(笑)。
――やっぱりそこは好物の肉なんですね(笑)。
岡本:疲れた喉に染み渡りました(笑)。
山下:肉を食べてからのほうが、声がよく出たくらい(笑)。
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■苦労した共闘シーン
――作中でデクと爆豪が共闘するシーンはファン的に嬉しいポイントでした。
山下:アフレコ終盤に録ったシーンだったので、集中力を保つのが大変でした。一般的に最後に録るシーンって、クライマックスだから良いシーンが多いんですよね。
岡本:ラストバトル前にかっちゃんとデクが手を伸ばしあうシーンは、苦労して何回か録り直しました。距離感が難しくて、最初は声を近くに投げてしまったんです。
山下:僕もそうでした。それで「もう少し遠くに向かって声を届けてほしい」と音響監督の三間(雅文)さんからディレクションがありました。
だから録り直すときは「もっと手を伸ばそう!」と意識しましたね。実際に手は届かないかもしれないけど、届かせるような気持ちで演じました。
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――完成した劇場版を見たときのご感想はいかがでしたか?
山下:かっちゃんとデクが手を伸ばし合うシーンは、思っていたよりもふたりの間に距離がありました。撮り直したことで映像と声がハマったので、いいシーンになったと思います。
岡本:あと、ラストバトルでの共闘はやっぱり興奮しました。
山下:僕も絵の迫力がすごくてびっくりしました。
――劇場版のキャッチコピーにも使われていたふたりのセリフ「助けて勝つ」「勝って助ける」を思い出すシーンでしたね。
山下:過程は違えど、結果は同じなんですよね。
――ところで山下さんと岡本さん自身、デクや爆豪のように切磋琢磨しあっていることはありますか?
岡本:『ポケモン』です。でも遊び方が全然違うんです。
山下:僕はひたすらポケモンをゲットしているんです
岡本:でも僕は対戦ばっかりしている。
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――バトル重視なのは、爆豪に似ているのかもしれませんね。
岡本:そうなんです、子どもの頃からずっとバトルをしていました。負けた相手に綿密に対策をして挑みます(笑)。→次のページ:雄英に来たらよかったのに