「アニメ!アニメ!」では、5人全員に初となるインタビューを実施。先日公開した5人での座談会の次は、一人ひとりにスポットを当て、デビューのきっかけ、オーディションでの出来事などを聞きつつパーソナルに迫っていく。
ミュージックレイン3期生インタビュー連載
第1弾:ミュージックレイン3期生が遂にデビュー! 5人の素顔、声優としての展望に迫る座談会【独占インタビュー】
第2弾:ミュージックレイン3期生・相川奏多「チャンスがあるならやるしかない!」【インタビュー】
第2弾:ミュージックレイン3期生・相川奏多「チャンスがあるならやるしかない!」【インタビュー】
2人目は橘 美來。
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千葉県出身の19歳。一見すると大人びた印象で、5人の中では2番目に年長だが、明るく親しみやすい口調で話してくれた。
[取材・構成=松本まゆげ]
■アニメとアイドルに惹きつけられた子ども時代
――橘さんは、どのように声優に興味を持つようになったのでしょうか?
橘:もともとアニメやゲームが好きで、あるときから声優さんの真似事をするようになったんです。ミュージックレインの先輩でもある豊崎愛生さんは特に好きで、『けいおん!』の平沢唯ちゃんや『とある科学の超電磁砲』の初春飾利ちゃんのお芝居をよく真似していました。
そこから、「お芝居って楽しいな」とより一層声優に興味がわきました。
――じゃあ、将来の夢は最初から声優だった?
橘:それが、そういうわけでもなく……。アニメにハマる前はアイドル一筋だったんです。小学校低学年のときは、モーニング娘。やミニモニ。が好きで、家にあるDVDやMDで観たり聴いたりしていました。
――リアルタイム世代ではないですよね?
橘:母親か父親が好きだったんだと思いますが、とにかく家にあったんですよ。その後はAKB48を好きになって「フライングゲット」や「会いたかった」の振り付けをよく真似していました。
それから数年経って小学校高学年になったら、深夜帯のアニメを観るようになったんです。
アニメ好きの友だちがいたのも大きいですが、一番はひとつ上の姉の影響。姉も友だちの影響なのかアニメを観るようになっていた頃で、「お姉ちゃんが観るなら私も!」と追いかけていたら私のほうがズブズブとハマってしまいました。
――その頃特に好きだったのは、先ほどお話にあった『けいおん!』ですか?
橘:はい。『けいおん!』シリーズはDVDで観ました。リアルタイムで触れていて好きだったのは『妖狐×僕SS』です。あとは『FAIRY TAIL』も。父が「週刊少年サンデー」と「週刊少年マガジン」を毎週欠かさず買っていたので、馴染みのある作品のアニメはよく観ていました。
アニメをさらに観るようになったのは、中学入学後の友だちの影響も大きかったと思います。出席番号順に席が並んでいたんですけど、私のまわりは偶然にもアニメ好きばかりだったんですよ。そんな環境だったからハマる一方でした。
■嬉しさの中に心配もあった合格の瞬間
――そうしてアニメにハマっていった橘さんですが、将来の夢として、声優の道を目指すようになったのはいつごろでしょう?
橘:高校3年生になって進路を決めるときです。親に話をして声優の専門学校に進もうと決めたんです。ほかに大学で学びたいと心から思えるものも無かったですし、昔から声優への憧れも強くあったので。
それで、専門学校からAO入試で合格をいただいて、学校の方ともやり取りを始めていたんですが、そんなときにミュージックレインのオーディションが告知されたんです。
――そんなタイミングだったんですね。
橘:正直、「受けてみようかな、どうしようかな……」と迷っていました。そうしたら、友だちから「受けないの?」って言われたんです。その言葉に背中を押されて。
――送ってみようと。
橘:はい。「どうしよう、どうしよう」と悩みながらも締め切りの最終日にWEBで応募しました。送るだけ送ってみようって。あのとき友だちがああ言ってくれなかったら、受けていなかったと思います。
――そうして審査が始まったんですね。ちなみに、これまで演技や歌への経験は?
橘:高校生の時に演劇同好会に入っていました。ちゃんとした指導者がいたわけではなくて、独学に近いものではあったんですけど、お芝居は好きなんです。それにダンスも歌も好きです。
それに、歌は合唱コンクールでソロパートを歌ったこともあったりして、自信があるとは言いませんが、苦手意識がある、というほどではありませんでした。
――では、「いける」と思いました?
橘:いえいえ、全然そんなことはなかったです! 1次の書類審査で落ちると思っていたくらいなので、2次に進めてビックリしました。
そこからは、気持ちを「楽しむ」方向に切り替えて、挑みました。「豊崎さんがいる事務所のオーディションを受けられるなんて!」という気持ちで。
――オーディション自体は、はじめてでしたか?
橘:はじめてです。まわりには、オーディション対策万全な方が何人もいて、「すごい人がたくさんいる」ということは痛いほどわかっていました。
「もしかしたら受かるかも?」と期待しながら行くんですけど、会場についたらそういう人ばかりだから、正直怯んでしまいました。
だけど、私もきちんと準備して臨んでいたし、何より楽しもうという気持ちが大事だと思ったんです。そこは忘れないように、挑んでいました。
――具体的には、どんなことをアピールしたんですか?
橘:それが……ごめんなさい、全然覚えていないんです……(笑)。
ただ、演劇同好会では部長をやっていたんです。3年生が私一人しかいないから自動的に就任するシステムだったんですけど(笑)、そういう経験もしましたし、やっぱり舞台を作り上げることやお芝居が大好きだなって思ったんです。
それに、歌もダンスも好きだし声優も好き。だから、憧れている人のようになりたくて受けましたと伝えていたと思います。
実は、高校時代、学校をあまり好きになれなかったんです。そういうときに、元気をもらえて「学校に行かなきゃ」という気持ちにさせてくれたのがアニメやゲームなんです。本当に、すごくキラキラして見えたんですよ。
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――そういう気持ちって、素直なものであればあるほど伝わりますよね。
橘:よく聞く話だなとは思いますし、ありきたりなことしか言えていないなって思ったんですけど、一回立ち止まって考えたとき「私にとってアニメや声優ってそういう存在だよな」って再確認したんですよね。その思いは真摯に伝えようと思いました。
――そうして、見事に受かりました。どんなタイミングで知ったんですか?
橘:合格者にのみ連絡が行くことになっていたのですが、しばらく連絡がなかったので、「やっぱり落ちたんだな」と思っていたんです。そんなとき、家についてから着信があったことに気付いて、電話番号を調べたら事務所からだったので「かけ直したほうが良いのかな? 待っていたほうが良いのかな!?」と母親に確認したのを覚えています。結局どうしたのかは忘れてしまいましたが……。
――ともあれ、そこで「受かりました」と聞いたんですね。
橘:はい。母にその場で「受かったよ!!」と報告しました。だけど、この合格通知が来る前に合宿をしていたので、合格した全員と顔を合わせていたんですよ。
そのときにみんな素敵な人達だなって思っていたので、「みんなは受かったのかな」「誰が受かって誰がダメだったんだろう」「なんで私が受かったんだろう、私でいいのかな」といろいろ考えてしまいました。
――自分のことだけでなく、みんなのことも考えていたんですね。
橘:3泊4日の合宿で、みんなのことをすごく好きになれたから余計にそう思いました。
もちろん、受かって嬉しい気持ちもありました。だって、憧れの人が所属していて歌もダンスも出来てライブまでできる可能性がある事務所なので。言ってしまえば、私にとって第1志望みたいな場所なんです。
――確かに。では、受かったと報告してからお祝いはしましたか?
橘:家族とご飯を食べに行きました。すごく喜んでくれましたし、「やりたいことができるなら頑張りなさい」と背中を押してくれて、すごくありがたかったです。
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