さらに同時上映の『サンタ・カンパニー』ではイケメン天使役を担当。音楽面でも演技面でも、その才能を発揮しています。
本稿では試写会直後の天月さんを直撃し、主題歌の制作秘話やクリスマスにまつわるエピソードなどを伺いました。ファンには嬉しい「アイビー」歌い方指南も!
■世界が開いていくような曲にしたかった
――先ほど『コルボッコロ』の試写がありました。天月さんも完成した映像を見るのは初めてとうかがいました。
天月:はい。僕自身、曲と映像を同時に見るのは初めてで。ラストで「アイビー」が流れたときに「この曲を作ってよかったなあ」と思いました。
――曲調はバラードかと思いきや、サビにかけて疾走感が生まれる意外性があります。曲の構成は監督から要望があったのでしょうか?
天月:いくつかキーワードやイメージの楽曲をいただいた中で自分で「こういう構成にしよう」と決めて作りました。劇場で聴く曲だったので、サビにかけて世界が開けていくような構成にしたかったんです。
――Bメロには合唱パートもあり、世界の広がりが伝わってきました。
天月:世界観の後押しや、勢いづいていく感じを出したくて。演奏や合唱はバンドメンバーと集まってスタジオで録りました。
――歌詞の中には、「神様」や「空」など作品の世界観を思わせる言葉が散りばめられています。これは意識して入れようと思ったのでしょうか。
天月:曲を作る前に今回の劇場版のもととなった『コルボッコロ』のOVAを見させていただいたので、作品のテーマは最初からわかっていました。
そのうえで自分の中で決まっていたイメージを含めて書いてみたら、結果的にリンクしていて。「要所要所でリンクしてよかったなあ」と思います。
――「アイビー」を歌うとき、とくに心がけた部分はありますか?
天月:緩急のある曲だったので、Aメロで優しさを出そうと意識しました。
あとはサビで語尾を伸ばす部分があるので、そこは歌い切る力強さを出そうと。気持ちとしては、サビで力を使い切っちゃいますね。あ、実際には使い切らないようにしますよ(笑)。
――『コルボッコロ』を意識して、曲に盛り込もうと思ったテーマはありますか?
天月:信じる気持ちや誠実さを、曲にも入れたいと思いました。この作品は未来を自分で切り開いていく物語だと思うので。周りから何を言われても貫きたい思いがある。そんなテーマが伝わる曲を作ろうと思いました。
タイトルの「アイビー」は花の名前で、花言葉に「誠実」、「不滅」という意味もあるんです。この2点は曲を作るときにもすごく意識しましたね。
――歌詞の中で、とくに気に入っているフレーズを教えていただけますか?
天月:うーん……自分で読み上げるのは恥ずかしいですね(笑)。
僕は基本的に、曲はサビで言いたいことを言って、AメロBメロなどで肉付けをしていくものだと思っていて。
自分に秀でたものがなくとも、それでもこの気持ちは止められない。そこをサビで描きたかったので、サビ後半にかけての勢いは気に入っていますね。
たとえば「空が飛べなくたって 魔法が使えなくたって」は空想的なフレーズかもしれませんが、人間が前に進んでいく原動力となる気持ちは、ファンタジーでも現実でも変わりはありません。
――いつも歌詞はサビから作っているのでしょうか。
天月:曲によりますね。サビから作る曲もありますが、今回の「アイビー」はAメロ、サビ、Bメロの順に作っていきました。
■「アイビー」歌い方のコツは?
――「アイビー」を歌ってみたいファンに向けて、歌うときのコツを教えていただけますか?
天月:僕の曲って全部難しいんですよね(笑)。作っていても難しいと思うし。リズムはもちろん、キーも普通の男性が歌うには高いと思います。
「アイビー」に関しては、Aメロは静かな曲調なので、歌詞を音に乗せることを意識して、各フレーズをきれいに歌ってもらえたらと思います。
Bメロからは音もリズムも上がっていくので、勢いをつけて。でもまだサビが待っているので、やりすぎないようにするといいと思います。サビでフルスロットルをかけられるように、体力を残しておいてください。
――ありがとうございます! カラオケで歌うときに意識してみます。天月さん自身「歌ってみた」動画の投稿をされており、カバーも積極的にされていますね。どんな基準で曲を選んでいるのでしょうか?
天月:好きな曲ですね。ボカロもJPOPも大好きで、人気曲のランキングをずっと見ています。
――今後歌ってみたい曲はありますか?
天月:うーん。その時々で、「あ、この曲いいな」と思ったものをすぐ歌っちゃうので……。次にどんな曲を歌うかは、実はあまり考えていないです。
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