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セガサターンで幕開けを飾り、ドリームキャストにPS2と時代に合わせてプラットフォームを変え、躍進を続けてきた『サクラ大戦』シリーズ。その活躍は、ナンバリングだけでも5作品を数え、ゲームに留まらない広がりも見せました。
アニメやラジオ、コミカライズにドラマCDと、その展開は実に多彩ですが、その中でも特徴的なのは、歌謡ショウを始めとする公演の実施。昨今盛り上がりを見せている、2.5次元ミュージカルの走りとも言えるでしょう。しかもサクラ大戦の歌謡ショウは、ゲーム内で声を演じている声優陣が舞台上で担当キャラを演じており、2次元と3次元を限りなく近づける試みも大きな特徴的です。
このように刺激的な展開が続いたのは、ゲーム自体の人気があってこそ。ユーザーからの根強い支持と、制作側のたゆまぬ挑戦が結びつき、『サクラ大戦』はひとつの時代を作り上げました。
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そんな伝説的な名シリーズも、2005年7月発売の『サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~』を最後に、ナンバリング作品はしばらく停滞する形となります。しかし、作中の時代を大胆に進め、主要キャラクターも一新した『新サクラ大戦』が、14年の沈黙を破って登場します。
新たな期待作の発売日は、2019年12月12日。そして今回は、リリースに先駆けて『新サクラ大戦』を遊ぶ幸運に恵まれました。このプレイレポを通じて、『新サクラ大戦』の魅力や特徴に迫りたいと思います。
◆体験版と製品版は大違い! 比較しながら『新サクラ大戦』第一話に迫る
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今回のプレイに先駆けて、現在配信中の『新サクラ大戦』体験版を一足先にプレイしました。体験版の構成は、製品版とは異なる特別なバージョンです。が、体験版に盛り込まれていた内容は、『新サクラ大戦』第一話の中にも数多く含まれているはず。そこで今回はまず、本編の第一話と体験版の中身を比較したいと思います。体験版をプレイ済みの方は、その違いをとくとご覧あれ。
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ゲームを開始すると、まずは本作のオープニングムービーが展開。体験版にはなかった要素が早速登場します。とはいえ、この映像自体は既に、セガのYouTubeチャンネルなどで公開済み。お約束ながら嬉しい演出ですが、この程度の違いでは驚くまでには至りません。
──などと余裕ぶっていたら、web版にはなかったカットが! 不意打ちの演出に、あっさり度肝を抜かされてしまいます。
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サプライズの驚きを引きずりながらゲームを始めると、まずは本作のヒロイン「天宮さくら」の幼き日に、彼女を助ける真宮寺さくらを描いたシーンが挿入。こちらも、体験版に収録されてなかった場面です。
降魔に襲われたさくらを助け、颯爽と刀を振るう真宮寺。その振る舞いに憧れたさくらは、真宮寺のようになりたいと願い、その動機が帝国華撃団・花組への入団に繋がったようです。
体験版の範囲では、花組への入団は自分の夢だったとさくらが語っていますが、それは手段のひとつに過ぎず、本当の夢は真宮寺のような女性になること。体験版では見えなかった重要な部分が、序盤からしっかりと盛り込まれています。
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その後、主人公である「神山 誠十郎」の到着、蒸気飛行船駅での降魔との遭遇などが描かれ、帝都を実質的に守っているのは上海華撃団であることも語られます。この辺りも、体験版には一切なかったシーンです。
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続いては劇場前にて、天宮さくらとの初遭遇。といっても、神山とさくらは旧知の仲。10年ぶりの再会なのでお互い驚きますが、ここは体験版に収録されていた場面なので、こちらは落ち着いた気持ちで見られる──と思いきや、ピンと来ない神山に対して、箒を剣に見立てた動きで自身を証明するさくら、といったシーンが。
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さらに、大帝国劇場の支配人を務める「神崎 すみれ」も登場。そこから、帝国華撃団や花組に関する情報が明かされ、神山の置かれている状況が少しずつ浮き彫りになります。
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劇場を案内される最中にさくらが夢を語るシーン自体は体験版にもありましたが、真宮寺への憧れが根底にあることを知った今は、帝国華撃団への入隊がゴールではないことが分かります。
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さくらの過去や上海華撃団の活躍、すみれとの初対面など、序盤だけでも体験版にはなかった場面が連発。また、体験版にそのまま収録されていましたシーンでも、その前後に初見の会話が登場したりと、全体的にボリューミーな手応え。体験版はあくまで要点だけの紹介だったと、改めて感じます。
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そして情報が増えたことで、体験版で見たシーンへの理解度も深まります。それは、前述の“さくらの夢”もそうですし、クラリスが「今の花組は、かつての花組とは違う落ちこぼれ部隊だ」と告げる発言も、いっそう重く聞こえました。帝都の守りを上海華撃団に頼っている現状を踏まえれば、歯がゆさを感じるのも無理のない話です。
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また逆に、体験版にあった「望月 あざみ」や「アナスタシア・パルマ」との出会いは、この第一話には見られませんでした。後に分かることですが、彼女たちが登場するのは第二話。情報量が多すぎるとプレイヤーの負荷が増すので、詰め込みすぎないバランスを取っているのでしょう。
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彼女たちについて触れない分、体験版では描かれなかったストーリー展開がここから本格化。『サクラ大戦』の特徴のひとつは、帝都を守るというゲーム全体を通した大きな目的がある一方で、各話で完結する起承転結があること。そしてこのスタイルは、『新サクラ大戦』にも受け継がれています。
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今の花組は舞台の出来映えも酷く、予算も充分ではないため機体の整備もままなりません。上層部からは解散の圧力がかけられており、状況を打破するには「世界華撃団大戦」で優勝するしかない──と、第一話から窮地を感じる展開です。
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上海華撃団のメンバーにも見下され、団員の士気も上がらず。一人張り切るさくらも、叶えたい夢に手が届かず、もどかしさを覚えるばかり。
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そんなさくらの力になりたいと思いながら、厳しい現実について「仕方ない」とも考える神山。その理由も作中で明かされ、それぞれの想いが交錯する中、降魔襲来による初出撃を迎えます。
ここまで体験版と比較しながらプレイした感触としては、ひとつひとつのドラマが丁寧に描かれていると実感しています。なぜその発言をするのか。その理由や断片が事前に、場合によっては後に語られており、こうした積み重ねがキャラクター性や物語の味わいを深めてくれます。
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現時点では、隊員のクラリスや初穂については、まだ顔見せ程度。ですが、大人しそうに見えるクラリスが「落ちこぼれ部隊だ」とまで卑下する理由が第二話で見えてきたりと、各話でそれぞれにスポットが当たるのも『サクラ大戦』らしいポイントのひとつ。その構成も、本作に受け継がれています。
それぞれの話が「30分のアニメ」を見ているような感覚で進み、エンディングに到達した時は、1クール全てを見終わった充実感が味わえる『サクラ大戦』。きっとこの『新サクラ大戦』でも同じように、そして新たな刺激を堪能できる予感を覚えたプレイ体験でした。
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ちなみに、30分アニメのような感覚と例えましたが、プレイ時間は30分程度ではなく、第一話だけでもざっと2時間ほど。ボイスがある部分はキャンセルせず最後まで聴いた上でのプレイですが、全体のボリュームはかなりのものになりそうです。
「色々盛り込む一話目だから長いのでは?」と思われるかもしれませんが、第二話は一話以上のプレイ時間だったことも付け加えておきます。『新サクラ大戦』、嬉しい悲鳴が上がりそうな濃度の予感…。
◆「コミュニケーションモード」はこっちの胸もドキドキ!? 選択肢も実に悩ましい!
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第一話の物語を深く掘ることで、体験版だけでは見えなかった部分が多いことや、『新サクラ大戦』がシリーズの魅力をしっかりと受け継いでいる点などが分かりましたが、ここからはゲームシステムについて触れたいと思います。
シリーズの特徴を継承するだけでなく、大きく変わった部分もあり、その最たるものはバトルパート。これまでのシミュレーションではなく、プレイヤーが機体を直接操作するアクションが展開します。
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バトルパートは体験版でもある程度味わえるため、前述のプレイレポでも紹介させていただきましたが、その楽しさはもちろん製品版でも健在。外観からイメージする「機体の重さ」を感じられる手触りは、『サクラ大戦』らしさに溢れたアクションです。
それでいて、ダッシュや回避を駆使すれば、移動と戦闘のテンポは良好。ジャストのタイミングで回避すると自分以外の動きが極端に遅くなり、一方的に攻撃を食らわせる爽快感がたまりません。
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体験版では2機のみの操作でしたが、製品版ではその他の隊員の機体も操作可能。神山の機体に加え、一話はさくらが乗る霊子甲冑、二話ではクラリスの霊子戦闘機に切り替えることができます。機体はそれぞれで異なる攻撃方法を持っており、神山機は二刀で周囲の敵をなぎ倒す近接型。クラリス機は、遠距離攻撃を得意としており、機体の使い分けも勝利の鍵となりそうです。
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必殺技も機体ごとに違いがあり、搭乗者の個性が反映されています。それぞれの機体を自分の手で動かせるのは、これまでの『サクラ大戦』にはない楽しさです。
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また、劇場内などが3D化されたため、アドベンチャーパートにも変化が。建物や屋外の移動は、マップ上のポイントを指定する従来のやり方ではなく、立体的に描かれた世界を神山が直接移動します。R2を押しながら移動するとダッシュするので、実際にプレイする上ではダッシュ移動が基本です。
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そして「移動」が加わったことで、新たな形のイベントも登場しました。一部のイベントに制限時間が設けられ、その間に決められたミッション(迷子になった子供を捜す、など)を果たさなければなりません。見事クリアすれば、ヒロインの信頼度が上がるといった嬉しいボーナスも。
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そしてアドベンチャーパート時に発生する「コミュニケーションモード」も、見逃せない要素のひとつ。キャラクターの様々なポイントや部屋のオブジェクトに対して、カーソルを合わせてチェックすると、対象のキャラとコミュニケーションを取ることができます。
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今回のプレイでは第二話で、さくら相手にコミュニケーションモードが発動。落ち込む彼女を励ますためにカーソルを合わせると・・・胸付近でカーソルに変化が!?
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目的を忘れてつい選択しまうと、さくらに厳しい目で睨まれてしまい、「反省してください!」と一喝。すみません・・・!
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そんな邪なアクションばかりでなく、ちゃんと励ますことでふたりの距離は徐々に縮まります。至近距離だと、その笑顔がいつも以上に眩しいばかり。このモードも、アクションや選択肢次第で信頼度が上がるので、隊長としてしっかりと接しましょう。
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・・・とはいえ、「キスしてみる」といった選択肢を選んでみたい気持ちも分かります! (一部の)読者の期待に応えるため、その選択を選んだ場面も紹介。この時は、残念ながらキスには至りませんでしたが、ちょっと揺れるさくらの心境や仕草は可愛らしく、選んだ甲斐がありました。とはいえ、信頼度に影響する場合もあるので、チャレンジする時はご注意を!
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この“選択肢の悩ましさ”も『サクラ大戦』の特徴であり、これまでの要素と同じく『新サクラ大戦』に盛り込まれています。例えば、大浴場を掃除している初穂に道具を届ける際に、声をかけてから入るかどうかの選択を迫られます。全うに考えれば、先に一声かけるべきです、が・・・。
そのまま入ると、入浴していた初穂とバッタリ! 更なる選択肢次第では「立ち去りがたい俺の気持ちも察してくれ」と、正直すぎる神山の本音も飛び出すなど、意外な一面(?)が窺える時もあります。
もちろん、こういった行為は信頼度に影響しやすいもの。関係性を考えれば、常識的な紳士として振る舞うのが一番でしょう。しかし、一歩踏み出すことで、こういうシーンを拝めるのならば・・・『新サクラ大戦』の選択肢も、実に悩ましい。
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『新サクラ大戦』は過去作と同様に、時間制限付きの選択肢「LIPS」が搭載されているので、悩んでしまう選択を突きつけられても、決断は急がなければなりません。信頼度的には外れでも、イベント的な意味での“外れ”はない選択肢。そのどれを選ぶのか、限られた時間で決断を下すのも楽しいひとときです。
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信頼を勝ち取るか、意外な一面を覗き見るかで悩む「LIPS」。広がりを見せる「サブイベント」。見ている側もドキドキしてしまう「コミュニケーションモード」。ストーリー以外にも、様々な魅力がアドベンチャーパートに詰まっています。
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『新サクラ大戦』の魅力とプレイ感について、駆け足ながら触れてみました。ですがこの他にも、コレクター心をくすぐる「ブロマイド集め」、本格的なこいこいが気軽に楽しめる「世界こいこい大戦」、各国の華撃団と競い合う「世界華撃団大戦」など、気になる要素は盛り沢山です。
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ストーリーやバトルだけでなく、遊び心もふんだんに盛り込まれている『新サクラ大戦』。そこには確かに太正浪漫の血脈が宿っており、それでいてまったく新しい『サクラ大戦』でもありました。シリーズファンと初めて遊ぶ方、そのいずれも楽しめる刺激的な作品として、これから羽ばたくことでしょう。