■ゲスト声優は世界観にハマった芝居をしてくれた
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――今回、ゲスト声優としてユースケ・サンタマリアさん、指原莉乃さん、山里亮太さん(南海キャンディーズ)の3名が参加しています。アフレコ前に3名に細かい指示書をお渡ししたと聞きましたが、どんな内容だったのですか。
大塚:アニメの芝居のディレクションをしてきた立場から、どうやったらアフレコが上手くいくか、僕なりの考えをメモにしてお三方にお渡ししました。
みなさん、他の分野で素晴らしい実績を持っておられる方々ですが、いきなりプロの声優と同じことを要求されるのは、どれだけすごい人でも難しいと思うんです。
みなさん、こちらの要求にしっかり答えた芝居をしてくれて、キャラクターにも作品の世界観にもはまった芝居になったと思います。
やはりアニメの芝居は普通の芝居に比べて過剰なんです。
そもそも絵が過剰ですよね。伸びたり、縮んだりするわけですから、声もそれに合わせて過剰なものが要求されます。『ワンピース』は特にそういう傾向の強い作品です。
そういう世界にすぐに合わせるのは、どんな実績ある人でも難しく、芝居が浮いてしまいやすい。すると、観客もがっかりしますし、なによりご本人たちががっかりすると思うんです。
彼らの個性を良い意味で「異物」として扱い、長所とポテンシャルを作品にプラスになるように活用する。それが監督の仕事だと思っていますし、今回も意識したところです。
■『ワンピース』から一度離れた人でも絶対に楽しめる
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――映像面でとりわけ意識したことはありますか。
大塚:やはり20周年のお祭り感が大事ですから、とにかく賑やかにすることを意識しました。
作業が増えるから大変なのですが、物語に関わらないところにもたくさんキャラクターを配置しているので、そういうのを見つけるのも楽しいと思います。
原作は90巻を超えていますが、例えばどこかの10巻だけ読んだことがあるという人でも知っているキャラクターが絶対出てきますので、原作を全て追いかけていなかったとしても楽しめると思います。
もちろん、お馴染みの「麦わらの一味」に共闘メンバー、最悪の世代などが所せましと暴れまわるストーリーですので、すごく興奮できるはずです。
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――長期シリーズですが、全て追いかけていなかったとしても楽しめるわけですね。
大塚:ええ。「海賊の話で悪魔の実という不思議な力があるんだな」という最低限の知識があれば楽しめるように作っているつもりです。
もちろん、『ワンピース』を深く知っていればさらに深く楽しめるようにもしています。なので、気軽に友達を誘って観に行っていただけるとありがたいですね。
――今回監督として作品に深く関わられて、『ワンピース』の魅力の核は何だと思いましたか?
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大塚:やはり大事なのはキャラクターですね。ルフィが何を芯にして戦っているのかを抜きにしてはやはり何も語れない。
そこは尾田さんも大切にしているところだと思いますので、今回の映画でもお祭り感を大事にしつつ、ルフィらキャラクターたちの価値観や行動原理をしっかり描こうと思いました。
他のキャラクターに関しても、ストーリーの中で明確に役割があるかが重要で、そこがきちんとしていれば多少出番が少なくても納得してもらえると思うんです。
数多くのキャラクターが登場する映画になりましたが、お客さんに「このキャラをもっと観たい!」と思わせることはできたかなと思います。
そう思わせるのには、ちょっと足りないぐらいがちょうどいいんです。
――「もっと観たい!」という気持ちを持たせるわけですね。
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大塚:そうですね。2時間30分くらいやればもっと見せられるわけですが、そうするとお腹いっぱいになって「もうこれ以上はいいや」ってなってしまうと思うんです。
脚本、演出、絵コンテを作る際、与えられた条件、制約の中で”"もっと見たい!"と思わせられる絶妙なバランスに仕上げるのが監督のスキルなんです。
それを考えるのが、オールスター映画の醍醐味だし、自分の好きな分野でもあります。
――最後に、劇場版を楽しみにしているファンに向けてひと言お願いします。
大塚:尾田さん監修のもと、たくさんのキャラクターが活躍する、ファンの方々の期待に応えられる映画になっているはずです。
また、少し離れてしまったかつてのファンの人でも楽しめるものになっていますから、これをきっかけにもう一度『ワンピース』にハマっていただけたら嬉しいです。
ずっと観続けてきてくれた人にはさらに楽しめるものになっている自信があります。ぜひ友達を誘ってアニメ20周年のお祭りを楽しんで下さい!
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劇場版『ONE PIECESTAMPEDE』は、2019年8月9日より全国公開。
(C)尾田栄一郎/2019「ワンピース」製作委員会