
入学・入社シーズン真っただ中の今日この頃、社会人としてのスタートを切った新入社員さんや、これから入学式を控える、もしくはすでに迎えた学生さんたちなども多いでしょう。そして、先の見えない新生活に不安を覚えている方たちも、きっとたくさんいるはずです。
これからいったい何が待ち受けているのか……。そんな不安を抱えるピカピカの1年生たちに、私はまずゲームで新たな世界を体験することをおすすめしたい。未知の体験で世界を広げ、新生活に臆せず挑める余裕を持っていただきたいからです。そんなわけで、この時期だからこそプレイしたい、風変わりな業界を体験できそうなゲーム7作品を、筆者の独断と偏見で選出しました。「迷わず行けよ!行けば分かるさ!」の精神でご紹介したいと思います。
『Car Mechanic Simulator 2018』

デベロッパー:Red Dot Games
パブリッシャー:PlayWay
発売日:2017年7月28日
機種:PC
ゲームやアニメ、映画などでよく見る自動車整備士たち。ツナギを機械油で汚したワイルドなイメージがある彼らは、必要とされる知識の専門性の高さから、身近なようでいて遠い職業と言えるかもしれません。そんな自動車整備の世界の隅から隅までを、油汚れを気にせずに体験できるのが、この『Car Mechanic Simulator 2018』です。
本作は車の修理から始まり、塗装、チューニング、実際にコースを車でドライブすることまで出来る、自動車整備シムシリーズ最新作。登場車種は40台以上、パーツは1000種類以上にもおよび、DLCで車種やパーツのさらなる追加も可能です。
また、公認ライセンスによって、マツダやベントレー、メルセデス・ベンツといった有名ブランドも登場し、細かなパーツの組み立て工程の再現なども併せて、カーマニアにはたまらない作品と言えるでしょう。

機械いじりだけでなく、オークションで修理した車を売却したり、新車を購入したりといったビジネス要素も存在している本作。車好きならば、まったく関係のない分野の方はもちろん、実際に自動車関係のお仕事をされている方も満足できる、マニアックな一本となっています。
『Mad Games Tycoon』

デベロッパー:Eggcode
パブリッシャー:Eggcode
発売日:2016年9月13日
機種:PC
好きが高じて作る側に回るという話はそれほど珍しいものではありませんが、そのためには様々な知識や労力が必要となってきます。私も含め、皆さんが日夜楽しんでいるゲームも、実際に作るとなると大変な苦労を重ねているはずです。ですが『Mad Games Tycoon』なら、そんなゲーム開発をお手軽に楽しむことが可能です。
本作はゲーム開発企業の運営シム。開発室、サーバー室、会議室といったオフィスの間取りから、デザイナーやサウンドエンジニアといったスタッフの雇用を自由に決定できます。
シンプルなアクションゲームから大規模MMOまで開発できるジャンルは幅広く、またゲームだけではなく、ゲームエンジンやコンソール機の開発も可能。作品の発売後は内容によってスコアがつけられるという、開発者にとっては恐怖の展開も待ち受けています……。

なお、この手の作品としてはありがたいことに、UIが日本語に対応しています。1980年代からスタートして、時代が進むにつれてどこかで聞き覚えのあるようなメーカーやハードなども登場するなど、業界そのものを振り返るような側面もあるので、ゲームの歴史に思いを馳せながらプレイするのも面白いですね。
『House Flipper』

デベロッパー:Empyrean
パブリッシャー:PlayWay、Frozen District
発売日:2018年5月17日
機種:PC
突然ですが、皆さんは将来どんな家に住んでみたいですか?開放的なリビング、機能的なキッチン、広々とした寝室など、1人1人に様々な理想があると思います。ですが悲しいかな、新入生・新社会人にはそんな夢を叶えることはまだまだ先のお話。そこでこの『House Flipper』をプレイして、形だけでも実現してみるのはいかがでしょうか。
荒れ果てた家を掃除、修復、リフォームしていく本作では、ハンマーで壁をぶち抜いたり、家具のレイアウトを変更して、自由に内装を決めることができます。また、顧客からの要望を聞いて内装に手を加えたり、買った家をリフォームしてからオークションにかけて売却することで、お金を稼いでいきます。このほか、自分好みにリフォームした家を、事務所として使用することも可能となっています。

このほか、核シェルターのある家、保存食やガスマスク、2段ベッドといったアイテムが追加される「Apocalypse Flipper DLC」や、本格的なガーデニング要素が登場する「Garden Flipper DLC」(5月16日に配信予定)などのDLCが存在し、今後の展開にも期待できます。インテリア好きな方には、見逃せない作品となっているでしょう。なお、Game*Sparkでは2018年5月時点でのプレイレポートを掲載しています。詳細な内容についてはこちらをご参照ください。
『Mother Simulator』

デベロッパー:Steppe Hare Studio
パブリッシャー:Steppe Hare Studio
発売日:2018年3月20日
機種:PC
皆さんが晴れて新入学・入社を果たしたのも、親御さんたちが夜泣きをあやして、お乳をあげて、おむつを替えてという苦労を積み重ね、育ててくれたからこそ。しかし「親の心子知らず」とはよく言ったもので、そうした苦労は育てられた側には、いまいち伝わりづらいものですね。そこでおすすめしたいのが、わが子を守り育てるという、人生において最も重要な仕事の一つを体験できる『Mother Simulator』です。
本作はタイトルの通り、お母さんとなって赤ちゃんのお世話をする育児シミュレーター。次々に繰り出される赤ちゃんの要求に、制限時間内に次々と対応していきます。
至極当たり前の話ですが、おしゃぶりや哺乳瓶はきれいに洗浄しなければなりませんし、おむつを替えるときはベビーパウダーを使わなければなりません。さらにお母さんも人間ですから、食事や睡眠をとる必要があります。使用済みのおむつをごみ箱に投げ捨てたり、物は片づけないで出しっぱなしにする、水道は常に全開にしておくなど、作業の効率化がママ業遂行のカギとなります。

本作で正確なタイムマネジメントと素早い反応速度、精密なエイム力などが求められる過酷な現場を経験すれば、きっと将来の育児の役に立つはず。さらに親御さんたちに対する感謝と尊敬の念も、より一層強まることでしょう。なお、本作も2018年5月にプレイレポートが掲載されているので、気になる方はこちらをチェックしてみてください。
『theHunter: Call of the Wild』

デベロッパー:Expansive Worlds
パブリッシャー:Avalanche Studios
発売日:2017年10月2日(PS4/Xbox One)、2017年2月16日(PC)
機種:PS4/Xbox One/PC(全機種で日本語未対応)
大自然の中に足を踏み入れて動物を相手にする猟師には、猟銃や狩猟免許のほか、様々な知識や経験など高い専門性が求められます。厳しい自然環境の中、時には命の危険にさらされる可能性もある仕事ですが、この『theHunter: Call of the Wild』をプレイすれば、室内で安全に猟師体験を送ることが可能です。
シングルプレイだけでなく最大8人でのマルチプレイも可能な本作は、広大なオープンワールドを舞台に、シカやイノシシ、クマといった動物から、様々な種類の鳥や昆虫などが登場する、ハンティングシミュレーターです。
猟銃はスコープや弾薬の種類をカスタマイズでき、様々なスキル、装備をアンロックする育成要素も存在。 シミュレートされた弾道、臨場感のある音響、風で自分の匂いが運ばれていくシステムなどで、没入感の高いリアルな自然環境で狩りを楽しむことができます。

美しく再現された豊かな自然の中で、緊張感のあるハンティングに挑める本作ですが、ウォーキングシミュレーターとして散策するだけでも楽しめることでしょう。新しい生活に疲れたときの気分転換にも、おすすめの一本となっています。
『Mount & Blade: Warband』

デベロッパー:TaleWorlds Entertainment
パブリッシャー:TaleWorlds Entertainment
発売日:2010年3月31日
機種:PC
不慣れな新生活では、新しい上下関係や仕事、難しい勉強など、様々な困難に直面してしまい、イライラやモヤモヤで気分が沈んでしまうこともあるでしょう。さらにたまっていたストレスが爆発してしまえば、心だけでなく体にまで悪影響を及ぼす原因になりかねません……そんなことになる前に、この『Mount & Blade: Warband』をプレイしましょう。乱世をたくましく生きる戦士となって、ストレス社会に立ち向かう心を養いましょう。
本作は、中世をモチーフにした架空の地「カルラディア」を舞台にした、戦略アクションRPG。2008年9月にリリースされた『Mount & Blade』の拡張版であり、リリースから9年が経った今も、豊富なModや自由度の高いゲームプレイで人気を誇る作品です。
プレイヤーは一軍の軍団長として配下の兵を率いて、国家間の覇権争いの中を戦い抜きます。戦闘では兵士の1人となり、剣やメイス、弓など様々な武器を使って白兵戦に参加。一方、家臣として出世すれば領地の運営を任されるほか、貴族の娘と結婚することで一族に入ることができたりと、本格的なSLG要素も存在しています。

現代社会において「戦士」の需要はすっかり消え去ってしまいましたが、乱世を戦い抜いた経験は、新生活にとっても決して無駄にはならないはずです。さらに、むしゃくしゃして大暴れしたくなった時にもぴったりの作品となっていますので、気になった方はぜひ挑戦してみてください。
『7 Billion Humans』

デベロッパー:Tomorrow Corporation
パブリッシャー:Tomorrow Corporation
発売日:2018年10月25日(ニンテンドースイッチ)、2018年8月24日(PC)、2018年12月6日(iOS)
機種:ニンテンドースイッチ/PC/iOS
ここまで、いろいろな業界を垣間見える作品を紹介してきました。しかし人間が社会の中で生きていく以上、その社会を構成する「パーツとしての生き方」について考えねばならないことだってあるのです。そこで最後に紹介したいのが、この『7 Billion Humans』。社会の歯車の一つとなって働く人々の姿を学べる、ちょっと世知辛いかもしれない作品です。
本作は従業員に決まった行動をプログラムしてから動かし、課題を解いていくプログラミングパズルゲーム。2015年10月にリリースされた、1人の社員をプログラムしていく前作『Human Resource Machine』とは違い、大勢の社員を一度に動かしていくことになります。
60以上ものステージが登場し、新たなプログラミング言語や、「ヒント」「スキップ」システムなどが搭載されるなど新機能が追加。もちろんプログラミングに関する基本的な解説も備えており、プログラミング未経験者でも安心してプレイが可能です。

社畜シミュレーターとでも呼べそうな本作ですが、ゲーム中でプログラムに従い健気に働く従業員たちの姿はどこかユーモラスで、哀愁など微塵も感じさせません。どんな生活が待っていたとしても、彼らのように飄々とした態度で過ごしていきたいものですね。
一見自分とは縁がなさそうな世界でも、自由に体験ができるのがゲームの魅力。今回紹介した以外にも、ニッチな業界を描いた魅力あふれるゲームはまだまだ山ほどありますし、これからもたくさん増えていくでしょう。新生活を迎える若者たちには、ぜひとも様々な業界を体験して見聞を広め、活躍していってもらいたいと思います。