■若手アニメーター提案による渾身のシーンとは?
――若手の方の成長を感じた瞬間などありましたか?
山下P
会社にいない時間、机の前にいない時間をどう使うかということを意識してくれるようになったことですね。
西山監督
主人公のひろきがポテトチップスの袋を開けそこなってぶちまけてしまうシーンでは、そのシーンを担当した若手が実際にポテトチップスをたくさん買ってきて床にシートを敷き、他の人に撮影をしてもらいながら何度も開けて研究していましたね。
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西山監督
別の若手がやってくれた猫のシーンなどは、その若手は猫が好きなので、コンテには指定していなかった動きを細かく付けてくれました。
みんないろいろ考えてきてくれるからこっちもありがたかったですね。考えてきてくれた芝居は極力採用しました。
――若手の方が自発的に研究したり動きをつけるようになったのは素晴らしいですね。
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■多くの方に「あにめたまご」を活かしてほしい
――最後に、本プロジェクトを終えての感想を教えてください。
西山監督
僕は作画だけ行うプロダクション出身で、日本のアニメーターの多くがそういった会社で作画だけを専門的に行っています。
ですが、作画だけしていると作画のことしか分からなくなってしまうんです。実際にはアニメには企画や仕上げ、撮影や収録など、いろんな工程があって様々な人が携わっています。
今回若手の方々には、自分たちが普段やっている作画という工程がアニメ制作の中のどの部分に位置しているのか、どういった意味を持っているのかを知ってもらいたくて、アフレコやダビングにも見学に来てもらいました。
そういった機会を多くの方が「あにめたまご」を通じて得られたのは特によかったと思います。
山下P
「あにめたまご」は文化庁さん、動画協会さんなど、多くの人がアニメ愛のもとにチャンスをくれる場です。今後もぜひ多くの方にエントリーしてこの機会を活かしていただきたいですね。
作品については、西山監督の“家族”の捉え方が表現されています。肩の力を抜いて見てほしいなと思います。
西山監督
見る方の年齢や立場によってそれぞれ感じられることがあると思うので、ぜひみなさんそれぞれの観点から楽しんでください。
――ありがとうございました。
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