■「陽菜は大して大人じゃない」(日笠)
――それぞれ演じるキャラクターに、共感できるところはありますか?
内田
高校生ってまだ分からないことも多くて、子どもで、成長段階でもあるので、周りが自分の知らないところでどんどん動いていくのを「どうにかならないかな」ってモヤモヤしているところとか、「自分も大人になりたい」と思っている思春期の感じは分かります。
周りは自分より年上の人ばかりですから余計にでしょうね。
――そういう時期って誰しも通りますもんね。
内田
何やっても嫌だとか、柊さん(萩原柊/陽菜と深い関係にある研究者)への嫌悪感だとか、観ているとそりゃあそうだよねって思います。普通に高校生なんですよね。
日笠
私はどうなんだろうな……。陽菜はすごく明るくて誰もが憧れる先生で、男性には人気で、仕事とそれ以外のオンオフをきちんと変えられるし明るい性格なんですけど、柊さんと出会ったことでモヤモヤグチャグチャしたんです。
自分でも知りたくなかったことを引き出されてしまったというか。
日笠
私自身は楽しいほうが好きで明るい人間だと思うんですよ。家でもこのまんまですし(笑)。
でも柊さんと会ったときのような、“頭では分かっていても心が追いつかない瞬間”は、誰しも経験があると思うんですよね。そのへんはわかりますね。
――では、そんな役を通して夏生と関わったおふたりに聞きたいのですが、夏生のことはどう見ていますか?
内田
瑠衣からすると、兄妹っぽいなと思います。
一度“そういうこと”はあったけど、男女の意識をするより先にひとつ屋根の下で暮らすことになってしまったので、家の中に「ひとり心を許せる人ができた」感じかなと。
そこまで心を許している描写が作中にたくさん出てくるわけではないですけど。
徐々に仲良くなっていくことで、「いいやつ」になってきましたね。私自身、演じていて好きっていうのはまだあまり……。
日笠
まだそこまでいってないのかもね。今は「思ったよりいいやつ」。
内田
そうですね。なんとなく好きという感じではない。
でも、夏生が他の人といるのを見るとモヤモヤするんです。彼氏ではないけど、「あれ、私は?」「私いろいろやってるのにな~」っていうのはあると思いますね(笑)。
今のところは陽菜姉のことが好きな夏生を応援している感じです。内田真礼目線で言うと。
――では日笠さんはどうでしょう?
日笠
先を知っているので、「お前この野郎!」みたいな感じはあります(笑)。この先アニメでどこまで描かれるかは分かりませんけど、アフレコしている段階ではものすごくピュアな子で、高校デビューで、フミヤとは双子みたいな感覚じゃなかろうかと(笑)。
内田
見た目は変わったんですけどね。
日笠
そうそうそう。だから男女関係はまだまだ子どもというか、それより前のひよっこちゃんなんでしょうね。
右往左往するし、もも(柏原もも/瑠衣のクラスメイト)について行っちゃうのもひよっこだからなんですよ。
内田
「付き合っちゃおうかな~。この子でいいかな~」。
日笠
「だってよくわかんないんだも~ん」。みたいなところはありますよね(笑)。
――女性目線で見るとイラッとするところですね。
日笠
そこがリアルですよね。陽菜の目線で観ると、子どもに見える部分はあるので「大人の世界は違うのよ」って言ったりするんですけど、陽菜も大して大人じゃないんです。
大人になり切れてないからハッキリもできないしグレーにも行けない。子どもに「子ども」って言っちゃうのって子どもじゃないですか。
――確かに。
日笠
それは、自分が子どもなのをどこかで分かっていて、大人になり切れてないモヤモヤを八つ当たりしているふうに見えていますね。
――今回姉妹役を務める内田さんと日笠さんですが、ふたりでいるとき姉妹っぽくなったりしますか?
内田
私自身お姉ちゃんなので、「お姉ちゃんお姉ちゃん!」って甘えたりできないんですよ。
私と日笠さんの関係で言うと、陽菜の明るさを日笠さんから感じるから、私はそのぶん瑠衣みたいに静かになりますね(笑)。
日笠
ときどき不思議に思うんですけど、私がお姉ちゃんになるときもあれば。真礼がお姉ちゃんになるときもあるんですよ。
この前、佳村はるかちゃん(もも役)と3人でご飯に行ったときは3姉妹感があったかもしれないです。
――入れ替わるところが姉妹っぽいですね。
日笠
あ、そうかもしれないですね。瑠衣も、得意な料理のことになれば陽菜よりお姉ちゃんになるときもあるし。できることが違いますからね。
内田
瑠衣にはできない人付き合いを、陽菜がやってくれますからね。
日笠
ちゃんと補い合っている感じしますよね。