天才的かつ奇想天外な発明品を使って部活の後輩・田中を振り向かせようと奮闘する上野さんと、それをバックアップしようとするもう1人の後輩・山下。そんなとある中学校の科学部で巻き起こる日常のドタバタを描いたコメディだ。
3回にわたってお届けする本作のメインキャストインタビュー。最後となる第3弾は、山下役・影山 灯さんのインタビューをお届けする。先輩2人のために奔走する無口な後輩に抱いている印象やいかに?
[取材・構成=御杉重朗、撮影=スギゾー]
『上野さんは不器用』
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■科学部員で最年少、だけど一番大人?
――演じられている山下について、紹介をお願いします。
影山
科学部の中では一番後輩の1年生で、上野さんの田中に対する気持ちが成就することを心から応援している子です。
田中とは正反対に人の気持ちを察する能力が高くて、自分がちょっと邪魔になっちゃうかな、という場面ではおとなしく本を読んでいたり、ツッコむべきところでは激しくツッコんだり、上野さんの背中を押したり、お話のスパイス的な役回りなのかなと思っています。
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――科学部の中では常識的な感性を持っているようにも思います。
影山
先輩に対する礼儀とかはないですけど(笑)。
よく変な本を読んでいたりしますし、変わった子ではあるんですけど、すごく空気が読める、人の気持ちがわかる子ですね。
――山下を演じるうえで特に意識しているのはどんなことですか?
影山
先ほども言ったように、空気が読める分、言葉数は少なめだったりするんですけど、その中でどう存在感を出すかをいろいろと考えました。
作品のゆるい空気感は大事にしつつ、山下のローテンションなところとギャグとして美味しい部分のバランス感を常に意識しつつやっています。
――後輩だけど一番大人かもしれないですね。
影山
精神的にはそうかもしれないですね。きっと経験はないはずなんですけど、恋愛とかの知識も豊富なんじゃないかな……本を読んだりして得た知識だけは(笑)。
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――田中役の田中あいみさんとはこれまでにも共演がありましたが、本作での共演であらためて抱いた印象などはありますか?
影山
あいるー(田中あいみ)と長く共演した以前の作品でもボーイッシュな一面は見られたんですが、この作品では完全な男の子役で、私、あいるーの男の子ボイスが大好きなんですよ。
だから、隣で聞いていてすごく役得だなと思いながら堪能していました(笑)。
それでいて普通の男の子じゃないじゃないですか。すごく飄々としていて、聞いていて感情を動かされるんです。
本当にイラッとさせられるところが面白くて、もちろん褒めているんですよ、すごく(笑)。
――芹澤優さんに関してはいかがですか?
影山
上野さんはテンションが高く、叫ぶセリフが多いから、お家で何回も練習するのは難しいと思うんですよ。
それを現場でバチっと決めるのが格好いいですし、休憩中も台本に向かって練習していたりする姿勢はストイックというか、真摯に向き合っているんだなと共感と共にすごく刺激もされます。
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