そこで今回は、プロデューサー兼出演者である漫才コンビ・天津の向清太朗さんと、レギュラー出演者であるエヴァ芸人・桜稲垣早希さんへのインタビューを実施。おふたりのアニメ愛やそのルーツ、さらに「アニ×ワラ」にかける意気込みまでをたっぷりと聞いてみた。
[取材・構成=馬波レイ]
【向清太朗】1980年広島県出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。木村卓寛さんとの漫才コンビ・天津として活躍。マンガ・アニメ好きとして知られ、アニメ関連のMCやラジオパーソナリティとしても活躍。特に好きなのは(いわゆるきらら系)4コママンガで、自宅には“4コマ雑誌部屋”があるほどだそう。
【桜稲垣早希】1983年兵庫県出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。学生時代より女優を目指して活動し、吉本総合芸能学院(NSC)のタレントコースに入学するも、なぜかお笑い芸人の道へ。アスカのコスプレ姿で“ブログ旅”を繰り広げたバラエティー番組『ロケみつ』でブレイクを果たす。現在は拠点を東京に移して活動中。
【桜稲垣早希】1983年兵庫県出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。学生時代より女優を目指して活動し、吉本総合芸能学院(NSC)のタレントコースに入学するも、なぜかお笑い芸人の道へ。アスカのコスプレ姿で“ブログ旅”を繰り広げたバラエティー番組『ロケみつ』でブレイクを果たす。現在は拠点を東京に移して活動中。
ふたりがアニメが好きになったきっかけは?
――おふたりは大のアニメ好きということですが、現在ハマっているアニメ作品やコンテンツはなんでしょう?
天津 向清太朗さん(以下、向)
『あそびあそばせ』ですね。もともと原作が大好きなんですけど、女の子が可愛く描けているうえに、ギャグが骨太で、かつ顔で落とす。そういった系譜の最終型だと思っています。なにしろむちゃくちゃふざけてますから(笑)。
オープニングで「キャッキャウフフ」な日常系と思わせておいて、ド直球のギャグという設定の妙もすばらしい。
それって僕ら芸人でいうコントのやり方ですし、会話のテンポや緩急は漫才に近い。顔で落とすのは落語だと思っています。お笑いの要素が詰まっているので、面白いし勉強になるので見ています。
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――おお、笑いのプロならではの分析! 稲垣さんはいかがでしょう?
桜 稲垣早希さん(以下、稲垣)
私はまったくお笑いのこととかを考えずヨダレを垂らしながら脳天気に見ているんですけど(笑)、いま大好きなのは『はたらく細胞』です。あんな絶妙なラブコメが、私の体内で起こっていると思うとドキドキしちゃう。
クールな白血球さんが赤血球ちゃんを「仕事ですから」って守るのもステキやし、血小板ちゃんたちのかわいさもあるしで、あの中に入って生活したいと思っちゃいます。
――先々で気になっている作品はなんでしょう? アスカのものまねをされている稲垣さん的には『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の最新作が気になるのではないでしょうか?
稲垣
(前のめりで)ねぇ! 弐号機半分、八号機半分のアレ(※予告編に登場しているエヴァンゲリオンの機体)はなんなんやろ!? とビックリです。最初は『未来のミライ』の上映館でのみの予告上映だって聞きつけて、急いで劇場に見に行ったら直後にネット配信されて「はやっ!」って(笑)。
セカンドインパクトの2015年に何かあるかと思いきや、ようやく2020年公開が決定して。私の予想では、半分Qの続きをやって、あと半分は綾波がパンをくわえて走ってくるアレみたいのを作ると思っているんですよ!
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向
熱くなり過ぎて横の僕に腕当たりそうなってるわい(笑)。
稲垣
何かの記事で庵野監督は、『エヴァ』を『ガンダム』シリーズみたく自分の手を離れても永遠にいろんなふうに展開していくようにしていきたいと語っていたんです。
そうなったらいいなと思う反面、『ガンダム』よりも複雑やと思うので、操れる人が出てくるのかが気になります。
――やはり『エヴァンゲリオン』にはひとかどならぬ思い入れが?
稲垣
そうですね、『エヴァ』がなかったらエヴァ芸人をやっていなかったと思うし。
中学生のときに再放送を見てシンジとアスカの人間性にガッツリ影響を受けたので。お笑いをやるつもりがなくてよしもとに入ってからは、もともとやっていたエヴァものまねが武器になったので、いまここにいられるのは、本当に『エヴァ』のおかげですね。
――稲垣さんはアスカ役の宮村優子さんとはプライベートでも交流がありますね。
稲垣
本当に良くしていただいて。現在はシングルマザーとして凛々しく独り立ちされていつつ、ものすごく優しい人間らしい面もあって、「この人以外にアスカ役はないなあ」って……ニセモノの私が一番思っています(笑)。
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――向さんがこの先気になっているタイトルは?
向
これはもう、『ひとりぼっちの◯◯生活』ですね。カツヲさんによる4コママンガなんですけど、1話を読んだときからずっと「アニメ化したほうがいい!」と周囲にふれまくっていたんです。
キャラクターの名前もちょっとひねってあって『ハイスクール奇面組』みたいですしね。そこをアニメで可愛さが出せたら最高だなと、声を大にして言いたいです。
この後のアニメ作品だと、『RELEASE THE SPYCE』や『えんどろ~!』も気になっています。好きなものが並行して追える楽しみさがありますね。
――ご自身の人生を変えた一作ってありますか?
向
それはもう『きんぎょ注意報!』ですね。わぴこちゃんに惚れてブラウン管のテレビにキスをして母親に「ああ、この子は終わったな」と思われたくらいです。
あとは『少女革命ウテナ』です。“世界を革命するため”にお笑いの世界に入ったところもありますから。メールアドレスもいまだにそのフレーズを使っているくらい。
臆病な自分から芸人になって殻を破りたいと思う時期があったので、いま芸人ができているのもアニメと出会えたからですね。
――アニメファンであることを芸にされようと思った瞬間というのは?
向
大阪にいた当時にキャラを強めに出す漫才番組があって、そのオーディションに受かるためにオタクキャラを生み出したんです。
当時は「○○氏~」みたいなアナログなオタク像を演じていたんですが、アニメファンに刺さるんだなと思ったのは『ぱにぽにだっしゅ!』3期オープニング「少女Q」のベッキーのモノマネをしたときでしたね。劇場ではスべるんですけど、ネットでは「向、ベッキーのマネしてなかった?」とオタクは気づいてくれるんです。
その気づきがあったので、こっち方面を芸にしてもいいんだと舵を切れたと。アニメもお笑いも、そのジャンルに熱くなれるというという意味では共通点があるんじゃないかと思っています。
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――稲垣さんはやはり『新世紀エヴァンゲリオン』ですか。
稲垣
はい。『エヴァ』は夜中の再放送で見たんですけど、オープニング映像のスピード感や、第九話での音楽に乗せて見せる戦闘に「なんだこれー!」と興奮して一気にハマりました。
それ以前は、兄の影響で「少年ジャンプ」をずっと読んでいて、特に『るろうに剣心』が大好きで、天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)をやりたいがために剣道部に入って、顔面を腫らして病因送りになったりしていました(笑)。
『ご近所物語』が好きやったらミシンを買って自分で作った服を着たりとか、そんなふうにいい意味でアニメに振り回されながら生きてきました。
――ちなみに、現在のアニメ視聴スタイルはどんな感じでしょう?
向
リアルタイム視聴は無理なので、スマホで動画配信サービスを使って見るのが主体ですね。家では1週間のTV番組を録画できるレコーダーが動いているのですが、やはり配信がラクですね。
こうなる以前は追っかけきれずに(視聴を)止めることもあったのですが、いまは場所を選ばず見られますから。
稲垣
私も配信サービスでの視聴がほとんどですけど、全話ためて見る派なんです。1週間ぶんを並行して見ると、それやとごっちゃになるし世界観に集中できないし……。なので、最終話までネタバレを回避する能力が高まりました(笑)。
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