「コナン ゼロの執行人」なぜ"安室の女"になってしまうのか? "100億の男"にしたい安室透の魅力とは 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「コナン ゼロの執行人」なぜ"安室の女"になってしまうのか? "100億の男"にしたい安室透の魅力とは

2018年4月より公開された劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』が大ヒットを記録している。なぜ人はここまで「安室透の女」になってしまうのか?その謎を、映画館に通いながら解き明かしてみた。

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『名探偵コナン ゼロの執行人』メインカット(C)2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
『名探偵コナン ゼロの執行人』メインカット(C)2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会 全 1 枚 拡大写真

◆まさに安室透のPV? 彼の魅力が存分に味わえる、劇場版の秀逸な構成


基本的に劇場版「名探偵コナン」シリーズは、「江戸川コナン」、「劇場版のメインとなるキャラ」、そして「ヒロインの毛利蘭や阿笠博士などのレギュラーキャラ」の3つのバランスで成り立っている。ゲストキャラクターももちろんキモだが、基本的に全編を通してこのトライアングルが絶妙なバランスを保って、子どもから大人まで楽しめる面白さを作っているのだ。
しかし、今回はメインキャラである安室透のカッコよすぎる活躍により、「安室透の女」という化学反応が起こっている。

安室透は確かに『ゼロの執行人』のメインキャラだが、今作で飛び抜けて登場シーンが多いわけではない。正確に測ったわけではないが、毛利蘭や少年探偵団らレギュラーキャラたちと比べても、そこまで大きな差はないだろう。
そして本人はカッコいいだけでなく、どこか底知れない怖い雰囲気も持つ男性として描かれている。特に今作の劇場版で初めて安室に触れる観客は、そうした認識を持つのではないだろうか。

しかし、最後には安室透の虜になる。これにはSNSの影響も大きくあると考えていて、実際にSNSでの安室透の盛り上がりを見て鑑賞した人たちは多くいる。
事前知識がない人は、後半あたりでだいたい彼のことを分かった気になるだろう。しかし、分かった気になってからの終盤がとんでもない威力を持つ。彼が見せたことのない顔ととびきりの甘い台詞で、人々のハートを射止めるのだ。

カーアクションのシーンから、エンディングに辿り着くまでの盛り上がり。それが本当に素晴らしい。音楽用語に「クレッシェンド」という「だんだん強く」という記号があるが、まさに最後の10分ほどは安室透の魅力がクレッシェンドしていく。まるで大晦日に演奏される「第九」の盛り上がりのよう。
そして死ぬほどカッコいいメインテーマが終わりクライマックスを迎え、「おめでとう、あなたは安室透の女として執行されました」と福山雅治のエンディングで祝われるのだ。執行されたと言うのは、ファンによる「視聴した」「安室さんに心を奪われた」的なことで使われているのだが、とにかくこんな構成、抗えるわけがない。

◆『名探偵コナン』で光る安室透という存在
最後に話しておきたいことがある。コナンは基本的に高校生以下が中心の子どもたちの物語だ。毛利小五郎など周囲には大人もいるが、コナンが捜査のために利用していることが多く、コナンと肩を並べて行動したり対立するのは、基本的に少年探偵団たちや服部、怪盗キッドといった高校生以下の人物たちがほとんどなのである。

しかし、安室透は大人でありながらそこに介入してきた。安室と同様に人気の高い赤井秀一もそうだが、彼に比べて安室はさらに踏み込んでくる。しかもコナンに対等に接してくる。それが子どもたちの物語のスパイスとなり、より作品を面白くしているのだ。
本人が魅力的なのはもちろんだが、安室透は『名探偵コナン』の登場人物だからこそ最高に魅力的なのだことだが言っておきたい。

ここまで安室透を語ってきたが、立川譲監督や脚本家の櫻井武晴氏、音楽の大野克夫氏、イメージボードのloundraw氏、多くのスタッフたちのおかげで今回の劇場版はできている。感謝をこうして記事にしたためることしかできないのが心苦しいが、公開から1カ月経ち、劇場館数も縮小しはじめているので、興味があればぜひ見に行ってほしい。
というのも、ファンの間では本作の興行収入100億円にし「安室透を100億円の男にする」活動が盛んなのだ。そして筆者も安室透を100億の男にしたいひとりなのである。
そしてあなたが作品、または安室透に魅了されたとしたら、私と同じことを思うだろう。さて、次はいつ見に行こうか?と。
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《タカロク》

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