第4次アニメブーム到来…だが課題も多数―「アニメ産業レポート2017」刊行記念セミナー | アニメ!アニメ!

第4次アニメブーム到来…だが課題も多数―「アニメ産業レポート2017」刊行記念セミナー

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第4次アニメブーム到来…だが課題も多数―「アニメ産業レポート2017」刊行記念セミナー
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11月8日、一般社団法人日本動画協会によるアニメ産業の調査および統計・分析をまとめた報告書「アニメ産業レポート2017」の刊行記念セミナーが東京アニメセンターin DNP PLAZA(東京都新宿区)にて開催された。

パネリストとして同書の執筆者である数土直志氏(ジャーナリスト)、森祐治氏(株式会社電通コンサルティング代表取締役社長シニアディレクター)、陸川和男氏(株式会社キャラクター・データバンク代表取締役社長)、亀山泰夫氏(一般社団法人CiP協議会事務局シニアディレクター)、原口正宏氏(リスト制作委員)の5名が登壇した。
モデレーターは同書の執筆と編集統括を務めた増田弘道氏(株式会社ビデオマーケット常勤監査役)が務めた。

冒頭に増田氏からアニメ市場の規模が2016年に前年比110%アップで2兆円を突破し、7年連続続伸、4年連続最高値更新という「第4次アニメブーム」と言える状況であること、日本動画協会の元理事長であり株式会社手塚プロダクション代表取締役である松谷孝征氏がこの11月に藍綬褒章を叙勲したことなどを例に、アニメを取り巻く社会状況が変わったことについて触れ、セミナーがスタートした。

前年比131.6%となった海外売上について、森氏は「現在の国内のアニメ市場は主に新作に支えられておりここ数年はやや下降傾向。2014年以降海外からの買い付けが増えたことで全体ではプラスになっている」とした上で「海外売上は過去のライブラリも含めた売上であり、評価の高い旧作はほぼ売り切れた状態。新作中心で今後これまで以上に利益を出せるか、課題がある」と指摘した。

海外売上の中心である中国市場について、数土氏は「数年前は作品の質を問わず高額で買い付けてくれる、いわゆる中国爆買い状態だった。ただしその状況は既に終わったと認識している。彼らは作品の中身を評価できるようになってきており、トリプルエークラスの作品以外は売上単価が下がるという現象が既に起きている」とし、今後質の高い作品がより求められることを示唆した。
第4次アニメブームについては「映画や演劇に占めるアニメの割合を見るに現在ブームが到来していると言っていい」としたものの「先述の通り海外からの収益が短期的に伸びる見通しはなく、制作本数はスタッフのマンパワーの面で頭打ちになっているため、今後の成長のためには映像以外のアニメの売り方が必要」と課題を提示した。

TVアニメの年間制作本数が過去最高を記録したことについて、原口氏は「10分未満・番組内で毎曜日放送のミニアニメなどが増えた結果」と指摘した。
また「ミニアニメはラジオテレビ欄に載らないケースが多く、作品情報が残りにくいため調査が困難。未来に情報を残すため、情報提供に協力してほしい」と業界関係者に呼びかけた。

キッズ向け作品と深夜放送作品の本数が逆転し、キッズ向け作品が減っていることについて、亀山氏は「アニメの日中放送枠が減り子供からTVの視聴習慣がなくなることについて危惧しなければならない」と警鐘を鳴らした。

アニメキャラクター市場が1兆6000億円、前年比98.2%と減速気味となったことについて、陸川氏は「インターネットでYouTubeを見る層が低年齢化してきており、キッズがアニメだけでなくTVを見なくなっていることが大きく影響している」と、亀山氏と同じく子供のTV離れを懸念。一方、「キャラクター市場調査ではアプリゲームなどのデジタル商材は含まれていないため、それらを含めた場合の市場規模はおそらく過去最高、2兆円を超えるものと思われる」とした。

前年比130%と迫る勢いのライブエンタテインメント市場について、亀山氏は「アニメ市場全体の3.1%と現状はそれほど大きくはないが、モノからコトへ、という世の中のシフトの中で伸びる余地はまだまだある分野。今後はこれだけの拡大に質がついて来られるか、担い手やスタッフを増やしていけるかという課題がある」と指摘、セミナーを締めくくった。

「アニメ産業レポート2017」は、2016年アニメ産業総括、TVアニメ / 劇場アニメ / ビデオパッケージなどの各分野解説、海外動向、制作会社立地動向の他、2016年アニメ全作品年間パーフェクト・データが付録。本体価格は6000円。
秋葉原UDX 2階のAKIBA INFO.×TOKYO ATOM -INFORMATION&SHOP-や京都国際マンガミュージアム内ショップにて店頭販売されている他、一般社団法人日本動画協会と提携のWebサイトにて通販・ダウンロード販売でも購入可能となっている。

[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.bizより転載記事]

《いしじまえいわ》

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