新しいゲームの登場に合わせて、アニメもタイトルが変遷していくポケモン。シリーズを通して登場し続けるキャラクターは限られる。その一人が、主人公の少年であるマサラタウンのサトシだ。
サトシを演じる松本梨香は、ポケモンの数々のオープニングテーマも歌ってきた。誰よりもアニメのポケモンに深く関わってきた松本は、この20年にどんな思いを抱いているのか。これまで、そしてこれからのポケモンとサトシについてお話をうかがった。
[取材・構成=奥村ひとみ]
「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」
2017年7月15日(土)ロードショー.
www.pokemon-movie.jp/
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■20年歌い続けた「めざせポケモンマスター」
――今年の映画のタイトルと内容を知った時は、どのように感じられましたか?
松本梨香さん(以下、松本)
20作目という節目だからこそのストーリーになっていて、初めて見る人にも楽しめる作品です。ポケモンは、みんなと寄り添って20年を過ごしてきました。
さみしくなったり、くじけそうになったりしたときに、いつでもどんな時でも
みんなが帰ってこられる場所の様な…。
今回の「キミにきめた!」という映画はまさにそういう映画だと思います。
――サトシとピカチュウの出会いを振り返って思うところはありましたか?
松本
20年経った今、もう一度出会いのシーンを演じられた事、感謝の気持ちが大きいです
オープニングテーマが「めざせポケモンマスター -20th Anniversary-」になっていますが、これも全然、「よし! じゃあ最初の気持ちに戻って歌うぞ!」という感じではありませんでした。出来たのは20年前だけど、私の中では変わらずに歌い続けた歌だから、自然な気持ちでした。
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――その「めざせポケモンマスター -20th Anniversary-」レコーディングのご感想や、収録を終えての感触としてはいかがでしたか?
松本
歌の奥の深さがもっと自分に染みた気がしました。「あこがれのポケモンマスターにゼッタイなってやるーッ!」と言いながら皆の背中を押す応援歌のような気持ちで常に歌ってきましたが、今回のレコーディングでは改めて、自分自身に向けた応援歌でもあるんだなと思えたんです。心からの叫びで、「なってやる」と噛み締めるように歌いました。「なってやるんだ!」という気持ちは前よりも強くなり、自分のヒューマンな部分というか、熱い思いがさらに出てきましたね。
思えば最初の「めざせポケモンマスター」はオンエアまで時間がなく、歌もギリギリに決まって、一週間後にはレコーディングというバタバタなスケジュールでした。もちろんその時も歌詞をきちんと理解して歌いましたが、表現することでいっぱいいっぱいだった様に思います。
――20年間、松本さんが歌い続けた重みを感じます。
松本
本当に大げさではなく、全国、色々な国々で歌わせていただきました。振り返ると、すごいことですよね。一生懸命繋いだなぁと思います。一度アニメの放送が中断してしまった時も、いろいろな場所へ行き「めざせポケモンマスター」を歌いました。中断は私もすごくショックでしたが、皆が大好きなポケモンは絶対にまた始まるから、それまで忘れないように一緒に歌おうと全国を回りました。子供たちも皆、一緒に歌ってくれます。ポケモンでたくさんの歌を歌ってきましたが、大変な時に踏ん張れた「めざせポケモンマスター」はやっぱり私の中でも特別で、一番思い入れのある曲です。この歌はずっと歌い続けて、懐メロにはしたくないなと強く思っています。