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「カーズ/クロスロード」原点に立ち返ってマックィーンの岐路を描く プロデューサーインタビュー

『カーズ/クロスロード』が7月15日に全国公開を迎える。アニメ!アニメ!ではピクサーのアンドレア・ウォーレン プロデューサーにインタビューを行った。マックィーンの挫折を描いた理由や、新たにチャレンジした表現など、本作の様々な魅力について話を伺った。

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「カーズ/クロスロード」原点に立ち返ってマックィーンの岐路を描く プロデューサーインタビュー
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■ 『カーズ/クロスロード』は“応援”の物語

――第1作の公開から10年が経ちました。ピクサーの3DCGにはどのような変化がありましたか?

ウォーレン
テクノロジーの進歩によって映画のルックは大きく変わりましたね。CG特有のツルツルとしたものではなくリアルな世界を描けるようになり、作品への没入度はさらに増したと感じています。最大のチャレンジは泥の表現でした。これまで水や土を描いたことはありましたが、その中間である泥は初めてだったんです。泥を本物らしく見せるため、実際に泥を混ぜたり、泥のレース映像を観たりと、研究を重ねてザラザラとした独特の質感を作り上げました。その成果は車をぶつけ合うデモリッション・ダービーのシーンに結びついています。派手に壊れる車のボディはもちろん、レース場を飛び交う泥にも注目してほしいですね。

――物語の後半ではマックィーンが大きな決断をします。彼の選択は企画段階から決まっていたのでしょうか?

ウォーレン
いえ、最初から結末を決めていたわけではありません。私が映画作りのプロセスの中で、作品の全体像が少しずつ見えてくるときが一番好きなんですよ。観客の心に響く映画を作るための物差しになるのは自分自身です。どうすれば私たちの心に響く作品になるのかを第一に考えていたため、エンディングにたどり着くまでに多くの時間がかかりました。
結末の手がかりとなったのは、第1作でマックィーンを導いたドック・ハドソンです。声優を務めていたポール・ニューマンが亡くなったため、本作ではドックもすでに他界しています。ベテランレーサーとして成長を遂げたマックィーンですが、ドックの不在が心の喪失を埋められない原因になっています。そんな彼がドックの過去を知ることによって、新たな道が拓けるというストーリーが形づくられていきました。

――マックィーンがドックのレース映像を収めたフィルムを観るシーンは印象的でした。

ウォーレン
私も大好きなシーンです。ドックがレーサーとして活躍していた姿を観たり、当時を知る人々とふれ合うことで、マックィーンは多くの気付きを得ます。私たちに置き換えれば、おじいちゃんの青春時代を知るような感覚なのでしょうか(笑)。最終的に『カーズ/クロスロード』は人を応援することについての物語になりました。互いに支え合ったり、導き合ったりすることは、誰もが経験のあることで、私たちはその恩恵を受けて生きています。作品のテーマとしてこれ以上相応しいものはありません。

――ピクサー作品ではキャラクターが映画や映像を観るシーンがしばしば登場します。それはなぜですか?

ウォーレン
今回のシーンについては、ドックのフィルムをマックィーンが観る様子を描けば、回想を使わずに現在進行形のまま過去のレースを見せられるという利点があったからです。映像を観るキャラクターがよく登場するのは、出来事を直接的に描くのではなく、それに心を奪われているキャラを通して見せた方が効果的だからかもしれませんね。映像に感情移入しているキャラクターを観ると、私たちの心もなぜか動かされてしまうんですよ。

『カーズ/クロスロード』
7月15日(土)公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:ブライアン・フィー
製作総指揮:ジョン・ラセター

(C)2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
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《高橋克則》

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