――斉藤さんは、『ピンポン』放送終了後の『ルーのうた』特別ミニコーナーにて、ナレーションを担当されています。ナレーションは兼ねてより挑戦していきたい仕事だったそうですが、今回どのような経緯で担当することになったのですか?
斉藤
湯浅監督の作品に役者として携われるだけでも嬉しかったのですが、せっかく糸口を掴んだからには貪欲にいきたいと思いまして、「特番や宣伝まわりのナレーションをやりたいです!」と、とりあえず言ってみたんですよ。僕は割と言霊を信じるほうでして、自分の願望を口に出しておくと、きっと優しい人たちが繋げてくれると思っていて(笑)。そしたら本当にオファーをいただいて、もちろん「やります!」と。そんな流れで僕は今、公共の電波を使って監督への愛を語らせていただいています(笑)。本当に、縁は大事だなと思いましたね。これに限らず、いろんな縁が様々な形で繋がっていくんだなぁと、ありがたみをすごく感じます。
湯浅
ちょっと『夜は短し歩けよ乙女』にもかけてくれているのかな(笑)。これも何かのご縁ですね。
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――今後はどんな愛を叫んでいくのでしょうか?
斉藤
最後の「次回もお楽しみに」的な一言は、僕の監督への想いをお伝えしていきます(笑)。こんな感じで一言、という大筋の台本はいただくのですが、それを自分なりに毎回アレンジしています。第1回の「湯浅監督、大好きです!」という部分は、本来なかったものをスタッフさんと協議して僕がねじ込んだ一言でした(笑)。スペシャルムービーは現在再放送中の『ピンポン THE ANIMATION』の合間でも見られるので、アニメ本編とあわせて是非見てみてください。
――これまでの湯浅監督の作品と比較すると、本作は写実的な描写が多かったと思いました。かと言って、もちろんダンスシーンのように湯浅監督らしいポップさもあります。写実性とポップな絵柄を融合させることは、湯浅監督にとって挑戦にあたるような取り組みだったのでしょうか?
湯浅
挑戦というほどのことではありません。自分ができると思ってそのように持っていけば、絵柄はなんでも融合できると僕は思っています。僕はこれまでの作品で、とりわけ昔のほうは“言わない”というのをひとつのテーマにしていました。でも、だんだんそれが分かりづらいなと思うようになってきて、言うべきことは言ったほうがいいんだと考えるようになったんです。特に今回は映画ですし、見る人の分かりやすさを大事にしました。背景をきっちり描いてもらったり、日常描写も多めにやったり。また、町自体が少しキャラクターっぽい部分があるので、日無町をきちんと示してからキャラクターたちのお話に入っていけるようにしようと考えていましたね。
――最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
斉藤
僕のように声優をメインでやっている人だけでなく、下田くんや花音さん、ルーのパパ役の篠原信一さんや千鳥のお二人といった、バラエティに富んだ役者が集まりました。多種多様すぎて「お芝居がバラバラになってしまうんじゃないかな?」と最初は少し思ったのですが、出来上がりを見たらそんな心配はまったくありませんでした。でも、考えてみるとそれは当たり前で、町にはいろんな話し方の人がいるし、様々な考え方があるものです。皆が住人として溶け込んで、日無町のリアリティを生んでいると思いました。オススメのシーンは、やっぱり中盤のダンスシーン。最近よくある応援上映のように、たくさんの人と楽しく見られる方法がいろいろありそうです。皆さんと一緒に劇場で作品を見られる日を楽しみにしています。
湯浅
今回はけっこう音楽もフィーチャーしていますので、劇場の大きなサウンドで楽しんでほしいですし、できれば劇場スタッフの皆さんにはあんまり音を小さくしないでほしいなと思っています(笑)。好きなシーンを挙げると、水や歌などのスペクタクルな描写は面白いですし、カイたち3人がケンカをするシーンも気に入っています。様々な人間模様も、そこかしこでチラチラと見えるようにしてあります。いいところがたくさんある作品だと思いますので是非、映画館で見ていただけると嬉しいですね。
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