トレンドは業界モノとファンタジー!? ライトノベル原作アニメの最先端に迫る! 2ページ目 | アニメ!アニメ!

トレンドは業界モノとファンタジー!? ライトノベル原作アニメの最先端に迫る!

今年もライトノベル原作のアニメが花ざかりである。
学園、SF、ファンタジー、戦記、ラブコメ、シリアスとバラエティに富んでいて、豊作と言える状況が続いている。もともとライトノベルはアニメと親和性が高い。文字情報なので自由に映像にしやすく、

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(C)2016 伏見つかさ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/EMP
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■ライトノベル業界が成熟した証としての「業界モノ」

『エロマンガ先生』の和泉正宗は、ライトノベルの主人公がライトノベル作家というメタ構造を備えている。
『冴えない彼女の育て方♭』の霞ヶ丘詩羽もまた、現役高校生にしてライトノベル作家に就いている。両作品に共通するのは、「ライトノベル業界モノ」という側面である。

去年のアニメでも『ガーリッシュナンバー』が、ヒロインの声優から見たアニメ業界やライトノベル業界を赤裸々に描いて見せた。原作者は渡航、大ヒットライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の作者である。

なぜ、「業界モノ」ラノベアニメが増えたのか。
まずラノベ作家が自身の体験を盛りこむことで生まれるディティール描写が、物語にリアリティを与えることができる。霞ヶ丘詩羽がときどき口にするコンテンツ業界への愚痴は、作者の心情かと疑ってしまうほど生々しい。ファンとしても、興味を持っている業界の楽屋裏が見られることの喜びもある。作り手と受け手の双方に望まれるべくして望まれている。
また、ライトノベル業界が成熟期に入っている証左なのかもしれない。セルフパロディが通用するのも、歴史の積み重ねがあってこそだからだ。『エロマンガ先生』第一話では、紗霧が正宗を罵倒するこんな一幕があった。

「兄さんのバカ! にぶちん! ラノベ主人公!」

ハーレム系ライトノベルの主人公は、ヒロインから自分に向けられた好意的な発言だけ、「え?なんだって?」と聞こえなくなるのが様式美。つまり「鈍感」を言い換えた罵倒語になっている。このような「お約束」の通じるお客さんが増えたからこそ、業界モノは成立する。

■今期のファンタジー系ラノベアニメも豊作

次にライトノベルの一大ジャンルであるファンタジー作品も取り上げたい。

『ソード・オラトリア』
近年勢いを増しているSBクリエイティブ GA文庫から刊行、大森藤ノ著。『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の主人公・ベルが片想いをしている【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインと、その仲間たちの物語。下界に降りた神と人間の共存する独自の世界観。レベルやアビリティ、スキルなどロールプレイングゲームのデザインを取り入れた設定。漫画家・ヤスダスズヒトによるキャッチーなキャラクターデザインは、ヘスティアの“例の紐”がネットでも有名になったほどだ。

『ゼロから始める魔法の書』
電撃文庫からのアニメ化、作者は虎走かける。獣堕ちと呼ばれる半人半獣の傭兵が、ゼロと名乗る魔女と出会って、護衛を任される。その報酬は「人間の姿に戻す」こと。かくして、悪用すれば世界をも滅ぼしかねない危険な魔法書を巡る冒険の旅が始まる。
獣の傭兵が追っ手を振り切る戦闘シーンの殺陣や、巨大イノシシを絡め取るゼロの魔法など、第一話から重厚なファンタジーを期待させる描写が目白押しだ。

(次ページ:Web小説によって底上げされたラノベアニメの面白さ)
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《かーずSP》

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