TAAF「アニメーション大国の誕生」レポート 70年代のTVアニメを特集上映 | アニメ!アニメ!

TAAF「アニメーション大国の誕生」レポート 70年代のTVアニメを特集上映

3月13日、「東京アニメアワードフェスティバル2017」のアニメ100周年記念プログラム「アニメーション大国の誕生~アニメーションが“アニメ”になった時代」が新文芸坐にて開催された。1970年代に焦点を絞り、特別映像の上映と有識者によるトークが行われた。

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TAAF2017「アニメーション大国の誕生~アニメーションが“アニメ”になった時代」左から数土直志、高橋望、南雅彦
TAAF2017「アニメーション大国の誕生~アニメーションが“アニメ”になった時代」左から数土直志、高橋望、南雅彦 全 3 枚 拡大写真
3月13日、「東京アニメアワードフェスティバル2017」のアニメ100周年記念プログラム「アニメーション大国の誕生~アニメーションが“アニメ”になった時代」が新文芸坐にて開催された。TVアニメが質量ともに発展を遂げた1970年代に焦点を絞り、特別映像の上映と有識者によるトークが行われた。

「アニメーション大国の誕生」では、70年代のTVアニメを厳選した約70作品の特別映像が上映された。ラインナップの中には『あしたのジョー』、『ルパン三世』、『科学忍者隊ガッチャマン』、『アルプスの少女ハイジ』、『機動戦士ガンダム』などの名作も多く見られ、その充実ぶりが実感できた。
日本のアニメ制作会社は、1956年に東映動画が設立され、1960年代に虫プロ、タツノコプロ、東京ムービー、Aプロ、1972年にはサンライズが設立された。制作体制の基盤ができあがったことで、バラエティ豊かな作品たちが生まれていった。
特別映像のインタビューには、アニメ監督の笹川ひろし、黒田昌郎、高橋良輔が出演。笹川はタツノコプロ、黒田は東映動画と日本アニメーション、高橋は虫プロとサンライズについてのエピソードを話し、それぞれの視点からアニメの魅力や今後の課題について持論を展開した。

トークショーには日本テレビ プロデューサーの高橋望、ボンズ 代表取締役の南雅彦が登壇。ジャーナリストの数土直志の進行で70年代を振り返った。高橋は「今のアニメで起きていることが、70年代の時点ですでに起きている」と指摘し、その一つに続編の多さを挙げた。70年代は「科学忍者隊ガッチャマン」「天才バカボン」「エースをねらえ!」など様々な作品がシリーズ化され、放送を重ねるごとに知名度を高めていった。
また似た企画が多いことも話題になった。たとえば1972年放送の『樫の木モック』と1976年放送開始の『ピコリーノの冒険』は、どちらも児童文学の『ピノッキオの冒険』を原作としている。時代に寄り添って企画が立てられることは今と変わっていないようだ。

70年代はアニメ制作会社の個性が出始めた時期である。今回上映されたアニメの中には、絵柄を見ればどのスタジオが制作したのか分かるほど特徴的な作品もあった。南はとりわけタツノコプロの多彩さに驚いたことを明かした。ギャグ、アクション、SFなど様々なジャンルのオリジナル作品を手がけ、その上でキャラクターがきちんと芝居をしている点を絶賛。インタビューで黒田監督が「今のアニメは動かない」と懸念していたことに触れて、反省の言葉を口にした。
高橋も笹川監督の「初めて自分の絵が動いたときの感動を忘れてはいけない」という言葉が心に残ったと語る。絵が動くというシンプルな喜びがアニメの原点なのだ。

最後にまもなく101年目を迎えるアニメの今後について、高橋良輔監督の「自分がどんな時代に生きているのかが大事」という発言を引き合いに、高橋は「時代や作り手の個性が作品に反映されれば、同じテーマを何度やっても構わないのではないか」とコメント。そして「自分たちが直面している問題は先人たちも悩んできたこと」だと述べて、昔のアニメを見る機会があれば新しい発見もできると語った。過去を振り返って今に活かすことが、新たな歴史の第一歩に繋がる。その大切さを再認識できるイベントとなった。

「東京アニメアワードフェスティバル2017」
期間:3月10日~13日
会場:東京・池袋ほか

《高橋克則》

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