「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」伊藤智彦監督インタビュー ファンの願望をすべて織り込んだ作品
『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』が、2月18日に公開を迎える。監督を務めるのはTVシリーズと同じく伊藤智彦。そんな伊藤監督に劇場版ならではの作り方、さらにTVシリーズとの違った魅力について伺った。
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――松岡禎丞さんなどシリーズを通して活躍しているキャストの方には、劇場版の収録時にお願いしたことはありましたか?
伊藤
アフレコ前に言ったのは、「歳を取ったこと、年月を感じさせるような演技をしてほしい」ということです。TVシリーズの第1期は2012年に放送され、今年で5年目。これは偶然にも劇中で流れた時間とほぼ同じです。キャストの方々には、この年月を演技に反映させてほしかったのです。
――実際に皆さんの声を聞いてみての印象はいかがでしたか。
伊藤
松岡君の声がこれまで以上に格好良くなっていましたね(笑)。この変化は5年間経ったことの証明なのだと思います。
――一方の新キャラクターを演じた方々についてはどうでしょう。
伊藤
エイジ役・井上(芳雄)さんはミュージカルを中心に活躍している方で、意外性があるキャスティングだったのではと思います。神田(沙也加)さんについては、演じるユナが劇中で歌うシーンがあり、できればキャストの方に歌ってほしい思いがありました。
キャラクターのイメージに合い、なおかつ歌唱力を持った人として神田さんの名前が挙がりました。歌に関しては、楽曲を手がけた梶浦由記さんお墨付きなので、ぜひ注目してほしいです。
――歌を歌ってもらう点でも、神田さんにお願いしてよかったと。
伊藤
アイドル然とした楽曲なら声優さんでも問題ないのですが、梶浦さんの手掛ける楽曲まで歌うとなると、選択肢はそんなに多くはありませんでした。実際に映画を見てもらえば、神田さんを起用した理由を納得してもらえると思います。
――伊藤さんから梶浦さんにオーダーを出したケースはありますか?
伊藤
劇伴とは別に劇中歌が増えることはシナリオ段階から想像できたので、そこは多めにお願いしました。「この歌はFictionJunction風で、こっちはKalafina風でお願いします」といった具合に、梶浦さんが手がけられているグループを具体的に上げてオーダーすることもありました。分かりやすいかと思って。
また同じ歌に聞こえても実は違いがあったり、細かな差で違いが生まれるようにしています。あとは日常的なシーンでは音楽をあまり使わなかったり、メリハリのある映像に仕上げようと心がけました。
――なるほど、《オーグマー》開発者である重村役の鹿賀丈史さんについてはいかがでしたか?
伊藤
専門用語がとても多い役柄ということもあり、単語のイントネーション等を違和感なく演じていただかねばならない大変な役柄でした。とはいえ井上さんや神田さんを含めた3人は舞台やミュージカルに出演されていて、さまざまな芝居を経験してきた方たちです。声優としての演技も違和感はありませんでしたね。
――では、キャラクターとしての魅力も教えてもらえますか。
伊藤
ユナに関してはまず映画を見て、歌を聞いて欲しいです。。物語のネタバレにもなるので深くは言えませんが、歌に魅力が集約されていると言っていいでしょう。井上さんが演じるエイジは、なぜARのゲームなのに超人的な動きができるのか、驚く人もいるかと思います。映画ならではの見せ方として、楽しんでもらいたいですね。
――新キャラクターだけでなく、歴代のキャストも総登場して活躍しますよね。このストーリー展開は最初から考えていたことなのですか?
伊藤
シナリオ制作を本格的に始める前、本読みのメンバーに映画で見たいものを聞きました。するとほとんどの方がオールキャストでのストーリーを見てみたいと返ってきたのです。この思いは『ソードアート・オンライン』シリーズファンの方々も同じでしょうし、ぜひ実現させたいと考えました。シナリオ会議では他にも「キリト無双を見たい」といった意見もありました。こういったファンも望んでいるであろう意見は、できるだけ取り入れるようにしています。
――それを聞くと、やはりアクションシーンも相当力が入っていそうですね。
伊藤
今ではワンシーンぐらい削れたかも、と思うくらいに詰め込んでみましたね(笑)。モンスターとの戦いから集団戦、そして人間同士の一対一など、さまざまなバトルをふんだんに盛り込んでいます。ファンの方々に喜んでいただけるのなら、我々の苦労が実ったのだと思います。
――最後に、本作を楽しみにしているファンに向けて、メッセージをお願いします。
伊藤
エンドクレジット後も見逃さず、すべてを見てほしいです。すべてを見ることで初めて作品が完結します。エンドロールで立ち上がってしまうと損をしてしまうかもしれません。ぜひ最後まで楽しんでください。
《ユマ》
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