またこのシーンは、ルビーというキャラクターが持つ側面のひとつを映し出してもいます。何か悪いことが起こった時、一番に立ち向かうのがルビーなんです。そこがよく分かるシーンになっています。
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ケリー:私のお気に入りは、その直後となる、ルビーがみんなに囲まれて守られているシーンです。危機に直面したルビーがみんなに守られた瞬間、彼女が安堵や愛を感じたのだろうと考えると、非常に感動的なシーンだなと思いました。
グレイ:今話題に上がったのは第9話「PVP」(と第10話「Battle of Beacon」)で描かれたエピソードで、決してポジティブな話ではないのですが、非常に力強い話になっています。この話を見るたびに、私は鳥肌が立ちます。
この話で見せたシンダーの暴走は、「VOLUME 1」「2」そして「3」の前半まで綴られてきた平和な時間の終わりを告げています。ここに至るまでは、ジェットコースターをゆっくり登っていくような感じでしたが、まさにここから急降下していくというシーンでした。ケリーは常に、より大きな物語を語る準備を進めていましたが、ここがその急展開の始まりのひとつとなっています。
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──本作はキャラクターも非常に魅力的ですが、ビジュアルは日本的で、内面的な部分はアメリカらしいと感じました。キャラクターを作る際に心がけたことなどはありますか?
マイルズ:キャラクターを作る上で、日本的もしくはアメリカ的と考えることはあまりありません。自分たちがいいと思う方向で物語を作っているだけなんですが、それがアメリカ的と受け止められることはあるのかもしれません。
ケリー:キャラクターを確立させる時に、「型」へとはめ込んでいくように意識した面はあります。そうすることによって、「このキャラクターはこういう人」と非常に分かりやすくなり、そこから更にキャラクターを深めていくことで視聴者がより理解しやすくなるようにと考えています。
マイルズ:例えばヤンは、非常に積極的でパーティピーポーなキャラクターなのですが、非常に母性的な側面を持っていることも明らかとなっています。父親が忙しかった時にはルビーの母親代わりになって彼女を育てるなど、優しい一面を垣間見せました。
またジョーンも、最初はバカっぽくて軽薄な「道化役」みたいな位置づけでしたが、彼自身もそのことに気づいており、そんな自分を嫌だと思っていることが徐々に語られていきました。こういった側面が、キャラクターたちの厚みに繋がっていると思います。
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──「RWBY」では会話シーンだけではなく、アクションシーンでもキャラクターを深堀りしているような印象を受けました。そういったアクションの見せ方へのこだわりなども教えてください。
ケリー:戦闘スタイルにはキャラクターの性格が大きな影響を与えると考えています。例えば、ノーラは戦闘が好きで、戦っている間も笑顔を浮かべたりしています。
マイルズ:実は今、「ショーバイブル」というキャラクター図鑑のようなものを作っています。その中には、各キャラのファイティングスタイルといった項目もあり、「如何なる動き方をするのか」「武器をどう使うのか」などが詳細に記される予定です。そのような形でまとめることができるほど、戦闘シーンを描く時には各キャラクターの特性を活かすように意識しています。
グレイ:チーム「RWBY」で言うと、ルビーは困難に勇気を持って立ち向かうような戦闘スタイルで、ワイスはエレガントで踊るような戦い方をします。ブレイクはトリッキーな動きで相手を翻弄し、ヤンは拳を頼りに真っ正面から挑んでいきます。
そういった戦い方が彼女たちのデフォルトなんですが、デフォルトの戦い方では乗り越えられない困難に直面し、新しい戦い方を強いられた時に彼女たちがどう対応するのか、これも非常に面白いポイントのひとつだと私は感じています。「VOLUME 3」の後半でもそういった局面を迎え、彼女たちがひとりひとり違った戦い方を選ぶので、そこも興味深い点です。
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──確かに、そこは実に面白いところだと感じました。多くのバトル作品だと、新たな力や新たな武器で困難に立ち向かうことが多いんですが、スタイル自体が変わっていくのは刺激的でいいですよね。
ケリー:実は、「RWBY」を語る時によく「ハリー・ポッター」を引き合いに出すのですが、「ハリー・ポッター」はキャラクターの成長と共に様々な困難に直面し、それに対応するため更なる成長を遂げていきます。この繰り返しは「RWBY」も同様で、大きな共通点だなと思っています。
──一個人のアクションも素晴らしいのですが、チームとして戦う時の戦闘シーンも実に見応えがあります。やはり、集団で戦うことの見映えも意識されているのでしょうか?
マイルズ:チームワークは、本作が持つ大事なテーマのひとつであると捉えています。色んな人が集められ、好きか嫌いかを置いておき、一緒に何かをしていくことの重要性を描いているのです。
ケリー:当初から重要なテーマとして打ち立てており、作品を通じて今後も語り続けていく部分ですね。
マイルズ:チームワークの良さを表現する上で分かりやすいのは、恰好いいチームプレイを繰り広げることだと思っています。
──本作のような活劇は最近見ないため実に刺激的でした。
──それは次に、「RWBY」のこれからについてお聞かせください。「VOLUME 4」からグラフィック面が大きく変化しましたが、どのような意図や狙いがあったのでしょうか?
ケリー:私たちはインターネットを生業とするベンチャー企業で、作品と共に大きくなってきました。「VOLUME 4」での変化というのは、元々私たちの頭の中にあったイメージにより近づけた結果なのです。「VOLUME 3」の終わりは、ひとつの章の終わりといった位置づけでもあるため、そのタイミングに合わせて変化を加えました。
この作品を楽しんでいただいているアメリカや日本の視聴者のサポートによって、我々が元々イメージしていた形により近づけていけると思っています。この場を借りて、厚くお礼申し上げます。
──アクション面に関しても、「VOLUME 4」で変化を迎えていますか?
ケリー:「VOLUME 4」が幕開けしてからの数話においては、今まで見せていたものとは違う戦闘を描こうと意識していました。ビーコンの外に出て、ハンターたちが繰り広げている大規模な戦闘は、今までのものとはまた違うものだと伝えるために行っています。
──ネタバレのない範囲で構わないので、「VOLUME 4」で展開される物語や見どころについてお聞かせください。
マイルズ:「VOLUME 4」の見どころのひとつは、4つのストーリーが平行して進んでいく点です。チーム「RWBY」のメンバーが「VOLUME 4」で、初めて全員バラバラになってしまいます。これは、物語を描く上でも非常に難しい構成なのですが、同時に面白い挑戦であるとも感じています。
グレイ:「旅」がコンセプトになっているのも、見どころのひとつです。物理的、地理的な旅というだけでなく、一つの場所にずっといたとしても、精神的に旅をする──そういった形で成長するキャラクターもいます。
マイルズ:今までの舞台はずっとヴェイル王国でしたが、「VOLUME 4」からは更に広い舞台へと移ります。この世界のイメージは、もちろん私たちの中にずっとありましたが、視聴者の方々にレムナントの世界をようやくお届けできるので、ここも観ていただきたいポイントのひとつですね。
──日本向けの展開として、「VOLUME 3」までの劇場公開やBlu-ray&DVDの発売、コミカライズなどが行われていますが、この他にも「RWBY」というコンテンツを活かしてやりたいことはありますか?
マイルズ:玩具を出してみたいですね(笑)。
グレイ:あと、ジョーンの抱き枕が欲しいね(笑)。ちなみに、サン・ウーコンの抱き枕をうちの社員が持っています。
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──サンの抱き枕! いいですね(笑)。それでは最後となりますが、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
ケリー:本当に本当に本当に……ありがとうございます! サポートしてくださる皆様を楽しませ続けられるように今後も頑張っていきますので、よろしくお願いします。
マイルズ:本当に、感謝するばかりです。日本にいる人たちが「RWBY」に多くのインスピレーションを感じてくれていることが、今でも信じられない気持ちでいっぱいです。我々は、日本から来る多くの作品からインスピレーションを受けて制作に向かっているわけですが、インスピレーションはインスピレーションを生み、そのインスピレーションがまた新たなインスピレーションを生み出すと、今回の来日を通して実感しました。今後も、インスピレーションを与えられる作品を作り続けたいと思います。
グレイ:新しく見始めてくださったファンの方には、ご覧になった感想を教えて欲しいと願っています。ここから物語が急転していくので、「RWBY」を見始めるには今がちょうどいいタイミングだと思います。ぜひ視聴してみてください。
そして最大級の感謝を捧げたいのが、最初の頃から「RWBY」を日本で見続けてくれたファンの方々です。彼女たちや彼らが、コスプレやイラストといった形で注いでくれた愛情のおかげで、今日我々がここにいられると言っても過言ではありません。注がれた愛情をお返しできるように頑張りたいと思いますので、これからも楽しみにしていてください。
──今後も長く長く「RWBY」を楽しませていただけると嬉しいです。本日はありがとうございました。
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日本のアニメファンにとって親和性のあるデザインを持ちながら、実に刺激溢れる挑戦も行っているCGアニメ「RWBY」。本シリーズは、YoutubeのRooster Teethチャンネルで英語版を視聴できるほか、日本語吹替・字幕版「VOLUME 1」「VOLUME 2」のBlu-ray&DVDが発売中です。
また、「VOLUME 3」の劇場公開が2016年12月16日まで行われています。残りの日数が少なくなりましたが、スケジュールに余裕がある方は足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。劇場公開を見逃してしまった場合でも、「VOLUME 3」のBlu-ray&DVDが12月21日に発売を迎えます。劇場まで遠いという方も、そちらをチェクしてみましょう。
■「RWBY VOLUME 3」2週間限定上映
上映期間:2016年12月3日(土)~ 2016年12月16日(金)
公開劇場:新宿ピカデリー、シネ・リーブル池袋、109シネマズ川崎、109シネマズ名古屋、 なんばパークスシネマ、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13
■国内向け「RWBY」公式サイト:「VOLUME 3」関連情報
http://rwby.jp/season/volume3/
[INSIDE/www.inside-games.jpより転載記事]