「RWBY」原作スタッフインタビュー 日本アニメへのリスペクトや誕生秘話を語る | アニメ!アニメ!

「RWBY」原作スタッフインタビュー 日本アニメへのリスペクトや誕生秘話を語る

スタイリッシュなアクションで描くCGアニメ「RWBY」は第3作目が12月3日より2週間限定上映されている。今回、本作の核心へと更に迫るべく「RWBY」原作スタッフに直撃インタビューを行った。

インタビュー スタッフ
注目記事
「RWBY」原作スタッフインタビュー 日本アニメへのリスペクトや誕生秘話を語る
「RWBY」原作スタッフインタビュー 日本アニメへのリスペクトや誕生秘話を語る 全 11 枚 拡大写真

人類を脅かす存在「グリム」に立ち向かうことを生業とする「ハンター」になるべく、養成所に身を置く少女たち。そんな彼女たちの日々を綴り、その成長や動乱に向かう世界の流れといった物語を、スタイリッシュなアクションで描くCGアニメ「RWBY」。

少女たちのデザインは非常に魅力的で、また日本アニメ的な印象も強く受けますが、北米にある映像プロダクションのRooster Teeth Productionsが本作を手がけています。身の丈を越すような巨大な大鎌を振るうなど、日本のアニメや漫画でも好まれる手法を取り入れると共に、ストーリー展開の良さやキレのいい台詞回しなどはアメリカらしい魅力に溢れています。


この融合は国境を越えて大きく支持され、YouTubeで公開された「RWBY」シリーズの累計再生数は1,5億回という記録を達成。さらに、日本語化されたBlu-ray&DVDの発売や国内での劇場公開なども相次いでおり、本作の魅力は海を越えて広がりつつあります。


左からグレイ氏、マイルズ氏、ケリー氏

インサイドでは以前、「RWBY」の魅力を特集記事で紹介しましたが、今回は本作の核心へと更に迫るべく、「RWBY」原作スタッフのグレイ・ハドック氏(@graymartigan)、マイルズ・ルナ氏(@TheMilesLuna)、ケリー・ショウクロス氏(@kerryshawcross)をお招きし、直撃インタビューを行いました。「RWBY」の積み重ねた足跡や込められた想いなども綴られているので、どうぞお見逃しなく。

※インタビューの一部にネタバレが含まれているので、ご注意ください。

文:臥待弦
企画・編集・聞き手:栗本浩大(@koudai5511

◆「RWBY」誕生の経緯と「VOLUME 3」の見どころ



──本日はよろしくお願いします。まずは読者の方々に向けて、どのような立場で「RWBY」(※1)に関わっているのか、自己紹介をお願いします。

■※1「RWBY」
「New York Comic Con 2012」で公開された「RWBY "Red" Trailer」で初お披露目。その後「White」「Black」「Yellow」のトレーラーが順にお披露目を迎え、2013月7月に「RWBY Chapter 1: Ruby Rose」が公開。日本では2014年7月にワーナー ブラザースが国内展開を発表し、2015年11月14日に「VOLUME 1」が劇場公開を迎えました。

グレイ:アニメーション部門のリーダーをしています。「VOLUME 1」の時には編集とコンポジットを担当していましたが、「VOLUME 3」からは共同監督も務めさせていただいています。あと、ローマン・トーチウィックの声も演じています(日本版は三木眞一郎さん)。

マイルズ:ケリーと共に、初期の開発段階から関わっています。共同脚本・共同監督をやっており、また役者さんのディレクションも担当しています。加えて、ジョーン・アークの声優でもあります(日本版は下野紘さん)。

ケリー:マイルズと、今は亡きモンティ(※2)と共に、初期の開発に携わっていました。共同脚本もやらせていただいており、「VOLUME 1」「2」では共同監督およびコンポジットを担当。「VOLUME 3」では監督をやらせていただきました。

■※2 モンティ・オウム氏
「RWBY」の原作・監督・アニメーター。2015年2月1日に重度のアレルギー反応により、「RWBY VOLUME 2」の制作後、33歳で逝去。「Haloid」や「Dead Fantasy」を手がけたクリエイターで、「Red vs. Blue」Season 8~10を手がけた後、「RWBY」の構想をスタッフに語ります。


──ではまず、「RWBY」がどういった経緯で誕生したのか、教えていただけますか?

ケリー:私たちは当時、Rooster Teeth Productionsを立ち上げる時に大きく貢献した「Red vs. Blue」という作品を作るため、毎夜制作に励んでいました。そんな中、一昼夜働いて家へ帰った時にモンティがやってきて、「4つの色を持った4人の少女の夢を見た」と言ったんです。

──その切り口は、まさに「RWBY」を連想させますね。その構想を初めて伺った時、どのように答えたんですか?

ケリー:「それはいいと思うんだけど、取りあえず寝ろ」と言いました(笑)。


──それはとても重要なアドバイスでしたね(笑)。

ケリー:そして2週間後に、モンティが改めて「これでアニメを作ろう」と提案してきたので、「それはいいね、ぜひやろう」と盛り上がりました。

グレイ:「どうやって作ればいいのか分からないけど、まぁなんとかなるだろう」って(笑)。

マイルズ:そして会社の創設者であるマットとバーニー(※3)に、モンティが作った「クレセント・ローズ」が変形するシークエンスのアニメーションを見せたところ、「これはいい!」という話になりました。

■※3 マット・ハラム氏とバーニー・バーンズ氏
Rooster Teeth Productionsは、同社の創立者であるマット・ハラム氏とバーニー・バーンズ氏が趣味で制作したファンメイド動画「Red vs. Blue」がきっかけで設立されたスタジオです。「Red vs. Blue」はマイクロソフトのFPS『HALO』シリーズのマシニマ作品(※4)で、これが海外で人気を博しました。発表当時は無許可な作品でしたが、後に公式にライセンスを受け、マット氏とバーニー氏はRooster Teeth Productionsを設立します。


■※4 マシニマ
主にゲームのプレイシーンに音声を付け加えた映像のこと。FPSのリプレイ機能を用いることが多く、作品(インゲーム映像)を経由せずゲームエンジン上で直接作る場合も。日本では『モンスターハンター』の「ハンター日誌」などがそれに該当します。

ケリー:それからすぐに、モンティは「RWBY "Red" Trailer」を作り始めました。その結果、私たちがここにいます。

──「RWBY」を制作する上で、強い影響を受けた作品などはありますか?

ケリー:色々な作品から影響を受けているのですが、モンティと私が当時見ていた「グレンラガン」と「フェアリーテイル」から特に影響を受けたと思います。

マイルズ:あとは、ニコロデオンが作っている「アバター: ザ・ラスト・エアベンダー」というシリーズからも影響を受けましたね。この作品では、特殊能力を持った子どもたちが幻想的な世界で活躍しており、そういった側面が共通しています。それと、例えばアクションなどの技術的な面に関しては、「ブラック★ロックシューター」を見るようにとチームメンバーに言いました。


──本作はまず海外で大ヒットを遂げ、更に日本でも大きな人気を獲得するに至りましたが、今の率直な気持ちをお聞かせください。

ケリー:今でも正直、信じられないという思いです。ここ数年はワーナーブラザースとともに、日本での展開について毎日ようにやりとりをしてきましたが、こうして来日して実際に(劇場公開やファンの反応などを)見たことで、ようやく実感できました。

以前は、いわゆる空想的なものの域を出ないような感覚でしたが、今は手にとって感じられるような実感が湧いていまして、ゾクゾクするような物凄い感覚を覚えています。

──日本国内では、今ちょうど「VOLUME 3」の劇場公開が行われていますが、日本の声優陣による映像を大きなスクリーンで見た印象は、どのようなものでしたか?

マイルズ:非常に興味深い経験でした。日本の声優さんたちが、自分たちとは違った演技をされている箇所がいくつかあったので、非常に楽しく感じました。また、大きな画面で見ることができたのもすごく楽しく、そしてドキドキする体験でした。そして、ジョーンを演じた日本人の声優さんの方が、私よりも格段に上手でしたね(笑)。

──そのお言葉、下野紘さんにお伝えしたいばかりです(笑)。

グレイ:(私達は)制作に携わっているので何千回も見ているわけなんですが、先日行われたプレミアで久しぶりに見た時、感情を大きく揺さぶられました。時差(ボケ)があったんですが、まさに目が覚めるような衝撃でしたね(笑)。日本のキャストの方々が、非常にいい仕事をしてくれたと思っています。


──制作された方々にとっても印象深い日本版「VOLUME 3」が公開中ですが、本作の見どころやお気に入りの箇所を教えてください。

グレイ:「VOLUME 1」「2」で語られてきた「ヴァイタル・フェスティバル・トーナメント」という大会が、「VOLUME 3」でいよいよ開催されます。「1」「2」を通して語られてきた生徒たちの鍛錬した成果がここで披露されるので、大きな見どころのひとつと言えるでしょう。

あと、本シリーズを視聴してくれている方々に向け、「この作品は成長していく」というメッセージをこれまで発信し続けてきました。「VOLUME 3」の最後には、この作品の世界観がより広がるような出来事が起こるので、そういった変化が見られるのも重要な点です。

(次ページから一部ネタバレが含まれます)
  1. 1
  2. 2
  3. 続きを読む

《臥待弦@INSIDE/www.inside-games.jp》

特集

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]