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【あにつく2016】手描きのキャラクターが3DCGになるまで ポリゴン・ピクチュアズが解説

9月25日、アニメ制作技術に関する総合イベント「あにつく2016」が開催された。セミナー「ポリゴン・ピクチュアズのセルルック3DCGにおけるキャラクターデザイン」ではキャラクターデザイナーの森山佑樹が登壇。

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9月25日、アニメ制作技術に関する総合イベント「あにつく2016」が東京・秋葉原のUDX GALLERYにて開催された。セミナー「ポリゴン・ピクチュアズのセルルック3DCGにおけるキャラクターデザイン」ではキャラクターデザイナーの森山佑樹が登壇。『亜人』や『シドニアの騎士』などの作品を具体例に挙げながら、3DCGでキャラクターにどのようなアプローチをしているのかを解き明かした。

国内最大手の3DCG制作会社 ポリゴン・ピクチュアズのセミナーには100人以上の来場者が詰めかけた。プロを対象とした内容ではあるが、アニメ業界への就職を希望する学生や、作品のファンなど幅広い客層が集まった。
まず森山はキャラクターデザインの役割について「キャラクターを設定・計画すること」だと定義した。そして手描きアニメのキャラクターデザイナーは「多くの人が同じ絵を描けるように設計すること」が、3DCGアニメでは「パソコンで描けるように絵を整理すること」が重要になると語る。その具体例として『亜人』の作業フローを紹介しながら、キャラクターデザインが完成するまでを解説していった。

最初は『亜人』のキャラデザを制作するうえで必要なキーポイントを洗い出した。絵柄は初期のマンガ原作をベースにすること、人種の違いを表現すること、ターゲットは原作読者と女性ファンであることなど、実に様々だ。さらに表現方法はドキュメンタリータッチにすること、漫符は使用しないこと、演技にモーションキャプチャーを取り入れることなど、作品の方向性もデザインに反映される。
それらを踏まえた上で、たくさんの顔をスケッチで描き、どのデザインが作品に相応しいのかを探っていく。スクリーンには主人公・永井圭の喜怒哀楽の表情が大量に映し出され、デザインを固めるまでに試行錯誤した様子が感じ取れた。デザインが決まった後のモデリングでは、女性キャラの下村泉が履くズボンに下着の食い込みを入れるなど、作品を一回観ただけでは分からない細部も作り込んでいった。

3DCGは嘘をつくことができないため、どうやって画面を映えさせるのかもポイントである。たとえば3DCGのキャラを真横から撮ると、目の部分はほとんど見えなくなるそうだ。これはキャラ造型としては正しいのだが、アニメとしては見映えの悪い画面になってしまう。そのため真横からではなく、少し角度を付けて映すようにするなど、テクニックを講じて対処していった。
森山はセミナーの総括として、デザインに夢を詰め込んだとしても、その後の作業工程には多くの人が携わることを忘れてはいけないと語った。無闇にこだわるだけではなく、プロダクション全体を見通して現実的に制作できるデザインを選択することが重要になってくるのだ。そのためにモデラーや造型監督とのコミュニケーションを密にして、抑えて欲しいポイントをきちんと伝えておくことが、満足ある仕上がりを実現するためには必要だと締めくくった。
[高橋克則]

《高橋克則》

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