片渕監督、のんを絶賛「のんちゃんしか思いつかなかった」 映画「この世界の片隅に」完成披露舞台挨拶
9月9日(金)、スペースFS汐留にて映画『この世界の片隅に』の舞台挨拶が行われた。舞台挨拶には主人公すずを演じるのん、原作者のこうの史代、片渕監督が登壇、その様子をレポートする。
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舞台挨拶には主人公すずを演じるのん、原作者のこうの史代、片渕監督が登壇した。
広島カープのロゴをあしらったストッキングを身につけ登場したこうのは、「憧れの監督に映画にしていただいて胸がいっぱいです」と喜びを語った。片渕監督は、原作を読んだ時に、自分の手で映像化させたいという強い思いを抱いたことを振り返り、「6年間いろいろなことがあり、やっと完成しました。クラウドファウンディングを通したくさんの方にも協力いただいたこと、感謝しています」と完成の報告。続けて「昭和30年ならまだ実感としてわかったんですが、昭和20年がどのような時代だったのかというのは未知のものでした。ただ、今と同じ時間の流れの中に昭和20年があったということを自分たちなりに残しておきたい、捉えたいという思いがありました」と、制作にあたった強い思いも明かした。なお、片渕監督は映画『マイマイ新子と千年の魔法』(2009年公開)で昭和30年の山口県を描いている。
本作で声優初挑戦・アニメーション作品初主演となったのんは、完成したフィルムを見て「戦争がすぐ隣りにある。この作品を見て、普通の生活が大切だと思いました」と感想を述べた。また、自身が演じたすずに対して「ぼーっとしてるけど、実は気が強くてパワフルなところに共感しています」と分析。片渕監督はアフレコを「のんちゃんからはたくさん質問をもらいました」と振り返ると、のんも「何でも質問させてもらいました、すみません」と笑顔で小さく頭を下げた。それに対し片渕監督は「いえ、答えを考えていくうちに、すずや作品の本質を捉え直す事ができました」と語り、そのことをエンディング映像に活かせたのだと打ち明けた。
この映画を制作していく中で昭和20年前後の広島を徹底的に調べた片渕監督は「そうすることで、すずの実存を感じたかったんです。そしてそのすずを演じるのはのんちゃんしか思いつかなかった」とのんを絶賛。のんは、はにかみつつも「普通の生活をして、生きるということ。その大切さを思って涙が溢れてくるような素敵な作品だと思います。ご家族で見ていただけたらなと思います」とコメントし、舞台挨拶を締めくくった。
『この世界の片隅に』
11月12日(土) テアトル新宿、ユーロスペース他 全国ロードショー
konosekai.jp
(c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
《細川洋平》
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