──声のお仕事は神木さんにとってどんな位置付けですか?
神木
毎回すごく勉強になります。実写の映画でもナレーションがあるので、声優の方々の足元には及ばないけれど声の表現にも挑戦はしています。「ありがとう」「ごめんね」のひとことも、その言葉以上に思っていることがあると感じられるようにするとか。いつも多くの学びがあって嬉しいです。
──いってみれば違う畑にやってきてお仕事をするわけですよね。
神木
毎回壁を打ち破るべく頑張っています。でも僕はアニメが大好きなので、こういった現場は幸せの場でもあります。ありがたいです。
──現場では島崎信長さんや石川界人さんとも一緒にアフレコに臨んだそうですね。彼らとの掛け合いで何か感じたことはあるでしょうか。
神木
本当にすごいです。すごくいい声で耳がとろけそうでした(笑)。界人さんも信長さんも、何回でも同じトーンで声のお芝居ができる。「もうちょっとこうして」と指示を出されても的確で、そこから絶対にぶれない。まさに職人です。
──島崎さん、石川さんと何かお話しましたか?
神木
最初は緊張でいっぱいだったのですが、信長さんが話しかけてくださったり、界人さんが同じ年で同じアニメが好きで、同じようなアニメを辿ってきていると知って距離が縮まりました。会話をして打ち解けてから3人のシーンをアフレコできたのでおふたりには心から感謝しています。
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神木
特徴のある声だと思っています。以前、少し目立つ声だねと言われたことがあります。前にドラマで教室のガヤを収録する時、試しに混ざってみたら一発でバレてしまったんです(笑)。なので新海監督の作品のモノトーンな音のイメージに合わないと思っていたので……。今回はモノトーンな声になるようモノローグをすごく頑張りました。
──声や音を色でイメージしているんですね。お話を聞いていると、テンポと色が神木さんのキーワードとしてあると感じました。
神木
いわれてみればそうかもしれないです。今回は色分けをしました。
──三葉は何色?
神木
オレンジや黄色。中身が入れ替わっている時は青。モノローグは黒か白かグレーです。
──島崎さんが演じる藤井司、石川さんの高木真太は?
神木
おふたりともモテ声なんです、本当に。信長さんが演じる司は「できる人物だな」と思える、透き通ったキレイなエメラルドグリーン。界人さん演じる真太は、茶色系統な感じです。どっしりと安心感のあるような。
──神木さん自身の声はどうでしょう。
神木
何色でしょう……。緑色ですかね(笑)
──この作品の見どころを教えてください。
神木
中身が瀧になった時の三葉がかっこいいので注目していただきたいです。「あれ、私のことだよね」と机を蹴飛ばすシーンは特に! 奥寺先輩と瀧が歩道橋の上で話すシーンもとても印象に残っています。微妙に理解し合えていない、少しずれた空気感がリアルです。長澤まさみさんが演じる奥寺先輩の憧れるような先輩っぽさも見どころです。『君の名は。』をぜひ楽しんでください!
──今日はありがとうございました。
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『君の名は。』
2016年8月26日(金)全国公開
http://www.kiminona.com/