『ズートピア』ともこれでお別れと残念に思うファンも多いかもしれない。しかし、本作のMovieNEXの発売日が2016年8月24日と早くも決定した。特典映像もたっぷりに、作品を何度でも楽しめる。また8月10日には、デジタル配信も先行スタートする。
これを機会に『ズートピア』の魅力をもう一度振り返ろうと、アニメ!アニメ!編集部では本作のプロデューサーであるクラーク・スペンサー氏にお話を伺った。『リロ&スティッチ』や『ルイスと未来泥棒』『ボルト』なども担当してきたベテランプロデューサーは、『ズートピア』で何を目指したのか、そして映画誕生のきっかけも語っていただいた。
『ズートピア』公式サイト
http://www.disney.co.jp/movie/zootopia.html
■ きっかけは、しゃべる動物たちのアニメーション映画の復活
主人公で大都会ズートピアの新米警官ジュディはウサギの女の子、その相棒ニックはキツネだ。種類やサイズは違えども、登場するキャラクターはいずれも2本足で歩き、共通の言葉をしゃべる動物たち。ただし人間だけは存在しない。ズートピアの街とキャラクターたちが作品の魅力だ。
そんな舞台設定は、これまでにありそうでなかったものだ。作品の企画は一体、どこで、どう生まれたのだろうか?スペンサー氏によれば、バイロン・ハワード監督のアイディアと製作総指揮のジョン・ラセターの考えが一致した結果だという。
―『ズートピア』の大きな魅力に、人のように話す動物たちがあります。作品のアイディアは、いつ、誰が生み出したのですか?
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「監督の一人であるバイロン・ハワードが、5年前に『塔の上のラプンツェル』を作り終えた時に、次の作品のアイディアを練り始めました。その時バイロンは子どもの頃に、ディズニーの傑作アニメーション映画『ロビン・フッド』(1973)が大好きだったこと思い出したんです。言葉をしゃべる動物のキャラクターたちが2本の足で登場し、活躍する作品です。この楽しさを復活させたいとジョン・ラセターに投げかけました。」
―その時のラセターの反応はどういったものでしたか?
C・S
「ラセターもこのアイディアを非常に気にいりました。」
―ピッチの時に、ラセターの心を一番惹いたポイントは何だったのでしょうか。
C・S
「バイロンはピッチした時は知らなかったのですが、ラセターは『たのしい川べ』 というイギリスの児童小説のことを考えたんです。動物たちが活躍するお話で、子どもの頃から何回も読んでいました。そして、ディズニーのクラシックも含めて、動物たちがしゃべって歩き回る映画が大好きだったんですね。同時にそうした映画が長いこと作られていないことに気づいており、それを作りたいと思ったわけです。」
―実際にラセターからは、意見やアドバイスはあったのですか。
C・S
「もし作るなら、今までと同じでないこと、誰も観たことがない作品と言われました。全く新しい、ディズニーならではの映画を作ることが条件です。そうして企画が誕生したわけです。」
そうしたラセターの賛同も受けてスタートした『ズートピア』は、キャラクターの造形が、とりわけこれまでにない豊かなものとなった。驚くほど多くの動物たちが登場する。そのひとつひとつを妥協をすることなく作り上げた。
―キャラクターがとても魅力的なのですが?完成までにどんな困難があったのでしょうか。
C・S
「まさにキャラクターづくりが一番大変なところでした。映画には64種類もの動物が登場するんです。そのひとつひとつを一から作らなければなりません。モデリング、リギング…、なかでも動物の毛並みの表現が大変でした。それぞれ異なる毛質で、本物のように見えなければいけません。さらにこれに洋服を着せるわけです。洋服を着たうえで、毛並みを合わせ、それを自然に動かす。非常に高度なテクニックです。」
―異なる動物が同じ場面に登場します。
C・S
「そうですね。もうひとつ、スケールの違いがあります。それぞれのサイズがあまりに違うで苦労しました。ワンショットの中にいるネズミとキリンをどうバランスを取ろうかとかです。これらを乗り越えたことで、色とりどりの動物たちが織り成す、活気のあるカラフルな大都会ズートピアが実現しました。」
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