―この先まだまだ人形劇を取り組む気持ちはあるのですか?
小坂
お客さまの反応、希望次第ですかね。そこはぜひ応援していただきたい。多くのかたに気に入っていただいて、なんとか続編を作れるといいですね。
安藝
そうですね。虚淵さんにとってはそのためにあると思います。
小坂
それと霹靂社さんの持っているアーカイブをどうやって日本の皆様に観ていただくかを考えてみたいです。
―最後におふたりにとってのエンタテイメントとは何かを教えていだけますか。アニメでもゲームでもなく、今回は人形劇。これにやるということは、エンタテイメントをかなり広く考えているかなと思いました。
小坂
僕は古い世代のオタクなので、想像を超えた驚きがある作品と触れ合ってきました。特撮で言えばウルトラセブンぐらいから見ています。当時、画期的だったじゃないですか。
仮面ライダーもそうだし、宇宙戦艦ヤマトやガンダムもエポックメイキング。今までの価値観で見ると、「え?」って思うようなことがいっぱい詰まっているんです。
そこには啓蒙もあって、例えばガンダムを見るとSFに自然と詳しくなってきたり。作品を通して、お客さんに知らなかった価値に気づいてもらう。僕はそれが大好きなんです。
今回は布袋劇という人形劇の価値を伝えたい。昔は日本にもすごい魅力的な人形劇いっぱいありました。日本では途絶えたけれども、お隣の台湾ではこんなに進化していたんだよと。人形劇の良さに気付いてみませんかみたいな気持ちです。
安藝
僕も一緒ですね。気付きがなくて分かってもらえず、小さなムーブメントで終わっているものが結構あるんです。今回で言えば、台湾だけで知られている。それがもどかしくなっちゃうんです。フィギュアもそうでしたし、ほとんどのアニメもそうなんです。「外に出ていこうよ」、というか「僕たちが出すよ」、それがグッドスマイルカンパニーのスタンスです。
新たな価値で新たな楽しみが見つかる、そこでビジネスが生まれるかもしれない。チャンスも増えて、クリエイターさんたちやそれを目指す人たちが増えてくれることが、僕らにはハッピーなんです。
「チャレンジを増やす」は、グッドスマイルカンパニーのテーマとしていつもあるんです。今回は台湾と、そこに目をつけた虚淵玄、このタッグですよね。この時点で僕は「ゴー」なわけです。「新しい」。非常にポジティブにスタートできたプロジェクトで、とても楽しみです。
作品はみんな面白いと思うはずです。僕らは作品づくりに参加していて、強い自信を持っています。今回はたぶん大丈夫と結構楽な気持ちです。
小坂
ただね、期待を上げ過ぎちゃうと(笑)。とにかく、まずは見ていただきたいですよね。
安藝
結構つっこみながら見るのが面白いと思います。人形劇ならではの即興感もあります。味があって。おおらかに見ていただきたい。全体を見て楽しんでほしいという作品に仕上がっています。