本作は、悠と仁、仮面ライダーアマゾンオメガと仮面ライダーアマゾンアルファという、ふたりの対照的なライダーを中心に物語が展開。そこで今回、ダブルライダーを演じる藤田 富と谷口賢志にインタビューを敢行。水澤 悠と鷹山 仁の関係性から、『仮面ライダー』の思い出まで、話を訊いた。
[取材・構成:沖本茂義]
『仮面ライダーアマゾンズ』
BS朝日 7月3日より毎週日曜 深夜1:00~
TOKYO MX 7月6日より毎週水曜 22:30~
http://www.superhero-year.com/amazons/
■悠と仁、ふたりの関係性は?
―半世紀近くの歴史を誇る『仮面ライダー』シリーズですが、『仮面ライダーアマゾンズ』のご出演が決まったときのご感想はいかがでしたか?
藤田富さん(以下、藤田)
驚きを隠せなかったですね。以前に仮面ライダーシリーズのオーディションに2回受けていていたんですがその時は縁がなく、今回は念願が叶いました。それに『仮面ライダー』は若手俳優の登竜門でもあるので張り切って演じようと。ただ、最初の顔合わせのときに、石田秀範監督から「仮面ライダーだと思って演じるな」と言われてしまい(笑)。
谷口賢志さん(以下、谷口)
若い富と違って、僕は38歳なので、まずオファーが来ること自体が驚きでした。デビュー作は「スーパー戦隊」シリーズだったんですが、逆に『仮面ライダー』にはかかわらずに僕の俳優人生は終わるんだろうなと思っていたので。
あと、戦隊は5人でひと組ですけど『仮面ライダー』は基本的にひとりで戦うというところに憧れがありました。非常に嬉しかったですね。
―『仮面ライダー』シリーズの原体験をお聞きしたいのですが、小さいころご覧になられていましたか?
谷口
うちは厳しい家で、1日30分しかテレビを見せてもらえなかったんです。
藤田
1日30分!
谷口
だから正直言うと、『仮面ライダー』は見てなかったです。オダギリジョーさんが演じられた『クウガ』が放送スタートして、俳優の登竜門としての流れができたあと、意識はしましたけど。「昭和ライダー」もなんとなく知っていたぐらいで。でもそのおかげで『アマゾンズ』ではフラットな気持ちで演じられています。
藤田
僕は『アギト』が大好きでした。ストーリーにリアリティがあって、作品全体の雰囲気も不気味で「恐い、恐い」と言いながらも夢中で見ていました(笑)。最近、『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』を見たんですが、ムチャクチャで恐くて (笑)。
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―同じライダーでありながら悠と仁は対称的な存在ですが、ご自身が演じられる役柄をどうとらえていますか?
藤田
悠は体が弱く薬が欠かせないし、引きこもりというベースがあるので、カッコいい役ではないな、というのが最初の印象でしたね。
谷口
撮影が始まる前、最初に監督から「仁は簡単に言うと『ヒモで、人殺しで、アル中です』と言われて(笑)。
―それだけ聞くととんでもない役ですね(笑)。
谷口
でも、そう聞いて非常に興味を持ちました。役づくりの面では、「悠にどのように影響を与えていくか」というのを意識しました。引きこもりで世界を知らない悠に対し、仮面ライダーの先輩としてどのような影響を与えていくべきなのか。それに尽きますね。だから富と一緒につくっていった役だと思っています。
―おふたりは悠と仁の関係性をどう捉えていますか?
藤田
うーん……。仁は悠を厳しく説教をしたりしつつも、ピンチのときは助けてくれたりして、すごく面倒見が良いですよね。なんだかんだ悠のことが好きなんじゃないかって(笑)。
家に引きこもって、母の言いなり通りに生きてきた悠ですけど、仁と出会ったことで大きく成長していった。悠にとって仁は、どこか心のなかで頼りにしている存在なのかなと。
―一方、仁は悠をどう思っているんでしょう?
谷口
『アマゾンズ』も含めて、『仮面ライダー』シリーズは“生きる”という普遍的なテーマを描いてきました。僕が演じる仁もちゃんと生き方の筋が通っています。はたから見ると仁は、野性的でカッコ良いかもしれないけれど、破滅的でもある。一方の悠は、波風を立てないように人の言うことを聞く。現代においては、悠の生き方のほうが多いですよね。『アマゾンズ』は、そんな悠が「このままではいけない」と新しい生き方を見つけていく物語です。
次第に変わりゆく悠を見て仁は「こういう生き方もあるんだ」と影響を受けつつ、悠がどこまでいけるのかと期待している。仁が悠の面倒を見るのは、そこに愛や優しさがあるからかもしれません。
―同じライダーを演じる身として、互いをどのように意識していますか?
谷口
仁と悠と同じで、仮面ライダーがふたりいたら、絶対ライバルになるんですよ。カッコ悪い話だけど、「どっちのほうがカッコよく見えるか」とか「どっちが人気あるか」とか意識するし(笑)。
藤田
あはは(笑)。
谷口
でもだからこそ、互いに切磋琢磨しつつ演じることができましたし、それが役にも反映されています。最初は仁に対して怯えるような目をしていた悠が、やがて仁を射殺すような目を見せたりする。それは悠という人間の成長であり、藤田富の成長でもある。僕もあの目を見せられたら負けられない。本当に良い関係性だと思います。
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