■ 説明し過ぎないことで生まれる面白さ
――作品から少し話題が逸れますが、辻さんはテレビアニメ草創期から活躍されている脚本家ということで、昔と今でアニメの違いはありますか? 物語面でいかがでしょう。
辻
それは変わってないと思いますよ。
水島
僕もそう思います。物語は普遍的なことだと思うので。辻先生の本を読んで古いとはまったく思わなかったし。面白い物語の構造というのは変わらなくて、世相を反映したりと肉付けの仕方に個性が出てくる。そういう意味では、「物語が消費尽くされてもう何もない」というのはないと思います。
――あらためて今回の第17話の見どころを教えてください。
水島
ゲスト超人としてデビラとデビロという姉弟が登場します。本編であえて語られないところがあって、「行間を読む」楽しさがあると思います。とくに昨今は説明過多な傾向にあるので、こういう夢のあるお話というのは本当にありがたいですね。
辻
「夢」というのは、説明が少ないからこそ夢になるんです。全部言ってしまうと「歴史」になってしまうから。
水島
そういう意味でいうと、『コンレボ』はどのお話も良いバランスになっているんじゃないかなと。ひと昔前はとにかく説明を語るみたいな作品が流行り、現在はキャラクター中心主義なところがある。若い子は会話のなかでキャラ同士の関係性が見えるものが好きですよね。でも『コンレボ』はそういった作品とは違っていて、「世界を描く」ということをすごく意識しています。そういうなかでも第17話は夢のあるお話で僕は大好きです。
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――水島監督にお聞きしたいのですが、今後『コンレボ』はどういう結末に向かって進んでいくのでしょうか?
水島
正義というものの多様性や、超人と呼ばれる特殊な力を持った存在が社会においてどのような結末を迎えるのか、そのあたり第1期から振っているネタはきちんと回収していきます。ドラマにもきちんとリンクしているので、「最終的に人吉爾朗はどういう決断を下すのか」など楽しみにしていただきたいです。僕としても、すごく納得のいくお話に仕上がりました。
辻
僕は先の物語を全然知りませんから、言わないでくださいね。たねを知ってから手品を観ても面白くないですから(笑)。
水島
あはは(笑)。
辻
會川さんはそういった伏線を抜け目なく回収されると思うんですよね。『大江戸ロケット』でも「こう持ってくるのか!」とものすごく興奮したんですが、論理や理詰めできちんと物語を積んでくる。『コンレボ』でも物語が進むにつれてヒートアップしてますからね。それを受け止める水島監督は大変でしょうけど(笑)。
水島
でもやっぱり情感がガーッと立ち上がってくるものがないといけない。説明に終始しちゃうと面白くないですからね。會川さんの本はそのあたりのバランスが絶妙で、そこが魅力だと思います。一緒に仕事をしている最中は「しんどいな……」なんて思うんですけど(笑)、やり切ったあとは「また一緒につくりたいな」という気持ちになるんですよね。
――最後に辻先生、『コンレボ』全体の見どころをお願いします。
辻
“ごった煮”なところでしょうか。それも弱火でトロトロと煮るのではなく、一度下味をグッとつけておいてから高熱で一気に煮立てる感じ。それぐらい手間をかけてつくっているのがひしひしと伝わります。だから観ている人には、骨までしゃぶりつくすように観てほしい。そうでないと損ですから。
――視聴者もつくり手に応えるように観てほしいと。本日はありがとうございました。
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