【TAAF2016】 話題の短編自主制作アニメ「東京コスモ」の誕生秘話
「白組」の若手アニメーターが手がける短編自主3DCGアニメーション『東京コスモ』。東京アニメアワードフェスティバルにてメイキングトークが行われた。
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『東京コスモ』のあらすじは……都内で一人暮らしをする若いOL、仕事から帰ってくるとベッドへそのままボフッ。コンビニ弁当を温めて、洗濯して。そんな中、突然はじまる東京上空での大スペクタクル飛行体験。挙げ句の果てには巨大怪獣まで出てきて―。
精細に設計されたOLのアパート内部やキャラクターの細やかな表情など、日常生活への鋭い観察眼が光る逸品だ。宮内、岡田、北村が参加したトークセッションでは『東京コスモ』が完成するまでが語られた。
演出を担当した宮内と岡田はトライデントコンピュータ専門学校の同級生。2人は2010年、専門学校の卒業制作で短編アニメーション『CHILDREN』を制作し、2011年に東京アニメアワード(TAAFの前身)でCortoonsItalia2011を獲得している。同時期に脚光を浴びていた『フミコの告白』の石田祐康監督とはいろいろなコンペティションで顔を合わせる機会が多かったと岡田は振り返った。
宮内と岡田は専門学校を卒業し、そのまま白組へ入社。その年に『東京コスモ』の企画(デザイン/絵コンテ)を完全自主の元スタートさせた。『フミコの告白』に影響を受け、一度は2Dでの制作も目指したとのこと。すぐに3Dで制作は進められたが、宮内は『もののけ島のナキ』、岡田は『GAMBA ガンバと仲間たち』の制作に追われ作業を何度も中断させたという。度重なる中断・再開を繰り返しながら、2015年4月に完成。その年の10月に初めて映像を見た北村はいたく感動し「世界中の人に見てもらうべき作品」とプロモーション担当に就くことを直談判、ニコニコ動画に投稿を始めたという。結果、話題はYouTubeにも広がり、注目されるようになった。
完成するまで「白組」社内の同僚にはほとんど明かさなかったとのことで、使用した機材は宮内と岡田のPC合わせて2台のみ。終盤は岡田が離脱しPC1台、宮内1人で作業を進めた。そのため、レンダリング(データを映像に変換させる)だけでかかった時間は半年。宮内が出社している際は、自宅PCを常にレンダリングさせていたという。データを少しでも軽くするために解像度もかなり落としているらしく、「この大きなスクリーンだと分かっちゃうと思いますが……」と苦笑いをしていた。
岡田も宮内も現在、次回作へ向けて自主制作を進めているとのことだが、会場から飛んできた「『東京コスモ』を次のステップ、例えばより長い作品にする事などは考えていないのか」という質問に、北村が「考えてます!」と力強く返答。「ゆくゆくは漫画やさまざまなコンテンツ展開が出来るように、みなさまからのお声がけをお待ちしています」と会場へ集まった業界人へアピールした。なお、『東京コスモ』は完全自主作品であるため白組の作品ではなく、今後のあらゆる展開は岡田、宮内、北村、3人次第である。
[細川洋平]
《細川洋平》
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