ーお父さんやお母さんの描かれ方をどう感じられましたか?
水瀬
すごくリアルだなあって。年齢を重ねて父とか母になってはいるけど、一人の人間としてはみんな同じ。
雨宮
子どもからしたら、お父さんとかお母さんって完成された存在に見えているんですよね。でも思うことや傷つくこともある。高校生とは違った人間らしさが描かれていて、どの人も人間らしさに溢れている人たちだなって思いました。
ー言葉を伝える、思いを伝える作品のテーマとは声優のお仕事ともリンクしているかと思います。今回、“ここはうまく伝えられた”と思われたところがあれば教えてください。
雨宮
菜月が自分の気持ちを押し殺して笑顔で「応援する」って言うシーンをよかったと言っていただくことが多くて。私が、それまで菜月が経験したこととかモヤモヤをたくさんため込んで押し殺すようにして演じたシーンだったんです。特に菜月らしさが出ているシーンと思うので、そこが伝わったんだとうれしかったですね。
水瀬
私は作品の収録中、自分は水瀬いのりという存在を消して成瀬順になっていたんだなと思いました。本編を改めて見た時に「何を思ってこの声を出したんだろう」って明確に覚えてないシーンがあったんです。それはきっと理屈じゃなくて感情的に出た声だから覚えてないんだなと思ったんです。今まで体験したことのない貴重な経験をしたんだって実感しました。
■ 順の歌が聴ける!?
ーありがとうございます。それでは最後にパッケージのリリースと合わせてファンへのメッセージをお願いします。
雨宮
キャラクターそれぞれの行動や表情が細かく描かれている作品です。その表情ひとつひとつに理由があって、見返す時にいろいろな発見があると思います。まず一度目で『ここさけ』のストーリーを知っていただけたら、二回目以降、ひとりひとりにフォーカスを絞って観ていただきたいなと思います。
水瀬
お手元に作品を置いていただければとてもうれしいです。劇場ならではの大きなスクリーンはもちろんステキですけど、もうひとつ家で『ここさけ』が観られる空間があるというのもステキです。ぜひ楽しんでいただきたいです。
それから、今回パッケージの特典としてミュージカル楽曲の「順 ver.」が入ります。劇中では聞くことのできなかった順のまっすぐな歌をぜひ聞いてもらいたいなと思います。