“ポケモン20年目の挑戦” 株式会社ポケモン代表取締役社長・石原恒和氏インタビュー 3ページ目 | アニメ!アニメ!

“ポケモン20年目の挑戦” 株式会社ポケモン代表取締役社長・石原恒和氏インタビュー

誕生からプロデューサーとして携わり、現在はポケットモンスターシリーズをプロデュースする株式会社ポケモン代表取締役社長CEOを務める石原恒和氏にお話を聞いた。

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“ポケモン20年目の挑戦” 株式会社ポケモン代表取締役社長・石原恒和氏インタビュー
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■ ポケモンは前に進みたがっている

―ポケモンは『ポケットモンスター』シリーズだけでなく多くの関連作品や、商品化がなされています。石原さんとして「これはポケモンで、ポケモンではない」というような価値基準はどういう所に置いてらっしゃるのでしょうか?

究極的には人の真似をしない、という点が判断基準になるかなと思います。その上で考えているのは、「それはポケモンを次のステップに進めるものなのか」という事です。『鉄拳』シリーズを長年開発してきたバンダイナムコエンターテイメントさんとのタッグで『ポッ拳』というゲームを作って来月Wii Uでも出ます。「いわゆるコラボ商品ですね」と言われてしまうかもしれませんが(笑)、僕はブランドと組むというよりは、メカニズムと組む、という考え方をしています。どういう仕組みをポケモンが獲得すると、ポケモンに新しい世界が生まれるか、ということを考えています。

『ポケモン 赤・緑』がスタートした時点での質の高さと素性の良さが、これまでのポケモンの全ての引き金となっているのは間違いなくて、常に原点に立ち返って、伝統を壊さず、保守的な芸術として生きていく道もあるはずです。それでも自分としては20年間、叡智と工夫を注いできて、何とか皆さんに支持をいただいているようでもありますので、ポケモンの世界を拡大する上で壊す必要があれば壊すし、守る必要がある場所は守るという姿勢で今後も取り組んでいきたいと思っています。

■ 『鉄拳』と『ポケモン』がタッグを組んだ『ポッ拳』

―株式会社ポケモンとして進む方向性はあるのでしょうか?

「ポケモンという存在を通して、現実世界と仮想世界の双方を豊かにすること」ということを株式会社ポケモンのミッションステートメントに掲げています。これは非常にシンプルで、『ポケモン 赤・緑』でゲームの中でトレーナーがカモネギと交換してくれない? と言われて交換する。現実世界で学校の友だちにニャースくれない? と言われて交換する。ゲームの中で起きている価値の交換と、現実世界の価値の交換が同等になっているわけです。ゲームの中で知り合ったトレーナーと現実世界のトレーナーが繋がっていく。ポケモンは現実世界と仮想世界を仲立ちしているのです。VRはゲームにはまりこんで閉じこもって引きこもっていくのに適していますが、そういう世界の閉じ方の真逆にポケモンはいきたいと考えています。現実世界も仮想世界も両方繋いでリッチにしていきたい。これを凄く意識して『Pokemon GO』というものも生まれてきました。

―『Pokemon GO』は非常に気になる商品ですね

3年前に岩田さんとプロジェクトをスタートさせた時、スマートデバイスに対する1つの答えとして考えたのが実はこの『Pokemon GO』でした。ゲーム業界の大半を占めるようになったスマホゲームの世界では我々は新参者ですから、誰かの真似ではいけません。新しい遊びはこれだという答えであり、挑戦という気持ちで鋭意、開発を進めています。また、世界中で普及しているスマホというデバイスは、地域的、言語的な広がりがより拡大できるのではないかと期待しています。

―元グーグルの社内スタートアップであるナイアンティックとのコラボレーションというのも興味深いですね

彼らはルールが動かす世界を見ていて、我々はクリエイティブが動かす世界を見ているので、この文化の違いたるや、なかなか面白いんです。大変な部分もありますが、ああそういう風に考えるんだ、と刺激になります。任天堂とアップルというのは似ていて、ハードウェアとソフトウェアが一体化したプラットフォームビジネスをやってきた。グーグルはプラットフォームは物理的なものではなくソフトウェアだと考えます。検索、マップ、Gmailがプラットフォームなのであって、Androidを搭載したデバイスを誰が製造しようと構わないわけです。この違いも刺激的ですね。

―20年経って出来るようになったことはあるのでしょうか?

象徴的な事が最近あって、それは今年初めてスーパーボウル(※)でCMを流したら、それがYouTubeで行われた投票で、52社のCMの中で1位を取ったんです。どれだけポケモンが成功しても、これまでは「サブカルチャーだよね」と言われ続けてきて、じゃあ「ポップカルチャーってなに?」というとマイケル・ジャクソンやビヨンセだったりするわけです。まだまだゲーム好きの特殊な人たちが幼少期にはまりがちなのがポケモン、そういう認識は拭えなかったわけです。でも今回、ポップカルチャーの最も晴れ舞台であるスーパーボウルのハーフタイムショーに流れるCMで最高の評価を得られたというのは転機のように感じますね。

それは20年間の重みというのもあるかもしれません。やはり一時代ではありますよね。それから、20年続いたことで世代を繋げられたという感覚があります。「お前らは知らないだろうけどお父さんが小さい時はこんな遊びをしてたんだよ」じゃなくて、一緒にポケモンを語り合えるというような。将来は「おじいちゃんはこのリザードンで遊んでいたんだよ」とお孫さんと語り合えるような、そんな世界を作りたいですね。環境は出来つつあると思います。
※スーパーボウル
毎年2月上旬に行われる、アメリカンフットボールリーグ(NFL)の優勝決定戦。一年で最も高い視聴率を叩き出す、国民的なイベントとなっていて、その中継で流れるCMも大きな注目を集める。

―最後にポケモンを愛する人たちにメッセージをいただけますでしょうか?

この20年間、自分の人生の一番濃い時期を賭けて、少しでもポケモンが面白くなるように常に新しい遊びの仕掛けを作り続けてきたつもりです。その全てとは言いませんが、1つでもプレイヤーの皆さんの琴線に触れるものがあったなら、プロデューサーとしては嬉しいですね。先ほども言いましたが、ポケモンは現実世界と仮想世界を繋いで共に豊かにできる構造を持った遊びだと思っています。そこを起点にクリエイティブを生み出せるタネがまだまだ沢山あります。ここは通過点です。次のポケモンに期待していてください。もっともっと面白いものが出ますから。

[インサイド/INSIDEより転載記事]
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《土本学@INSIDE/www.inside-games.jp》

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