新海誠が語る「花とアリス殺人事件」の魅力 BD&DVD発売記念上映会レポート
8月8日、新文芸坐にてアニメーション映画『花とアリス殺人事件』のBD&DVD発売記念上映会が開催された。岩井俊二監督とアニメーション作家の新海誠監督による対談が実現した。
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上映前のトークショーでは、本作を手がけた岩井俊二監督とアニメーション作家の新海誠監督による対談が行われた。互いにリスペクトし合うふたりが、本作の見どころや影響を受けた点を語った。
『花とアリス殺人事件』は、2004年に公開された実写映画『花とアリス』の前日譚を3DCGとロトスコープを駆使して描いた作品だ。岩井監督によると『花とアリス』制作直後から本作の着想はあったいう。花とアリスの小学生時代を描きたくて「役者のふたり(蒼井優、鈴木杏)に出演してもらうのは難しい。でも、アニメだったら出来るだろうと考えた」と述懐。当時からアニメ前提で脚本を書いていたという。
実際の作品では花とアリスは“中学生”とながったが、これについては「3D班から『衣装をバラバラにすると予算に収まらないので制服にしてほしい』とオーダーがあったんです。それで中学生としました」と明かした。だが、話の大筋はほとんど変わっていないそうだ。
新海誠監督は本作のファンであり、その魅力を存分に語ってくれた。少女が突然体をクルッと回転させたり、太ももをポリポリかいたりするなど、岩井監督ならではの“何気ない描写”が印象的だったという。
「どこまで演出してるんですか?」と聞かれた岩井監督は、「指示を出すこともあったけど、役者さんのセンスによるところが大きい」と回答。役者の動きを取り込むロトスコープの良さが発揮された形だ。
また本作で初めて長編アニメーション映画を手がけた岩井監督は、「実写」と「アニメ」の違いについて触れた。
実写については「役者さんと一緒にセッションしてつくっていく感覚があるんです。台本になかったものを足したり、カメラも自由自在に動かせたりと、つくりかたとしては“ゆるい”」とコメント。一方アニメは「ひとつひとつの映像を丁寧に積み重ねていくしかない。そこが大変でした」と振り返った。
最後に岩井監督は「今は実写を撮っているんですが、またいつかアニメをやりたいです」とコメント。新海監督は「楽しみにしています」と期待を滲ませていた。
《沖本茂義》
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