そんな話題作は一体どのように誕生したのか?本作のコリン・トレボロウ監督に、映画制作とヒットの秘密について伺った。
■ シリーズのファンにも、新しい観客にも楽しい作品を目指して
最初に訊ねたのは、本作の監督を務めたきっかけである。トレボロウ監督は1976年生まれで現在38歳、本作以前の監督作品は必ずしも多くない。大抜擢と言っていいだろう。
これについて監督は、製作総指揮のスティーヴン・スピルバーグから直接聞いた話として、次のエピソードを語ってくれた。スピルバークがトレボロウ監督の最初の作品を観た時に、非常に気にいったシーンがあり、それがきっけになった。それは「この人はクレイジーなのか、それとも不可能を可能にする能力を持っているのか」と質問するシーンなのだという。
そんなスピルバークの期待に、トレボロウ監督は見事な大ヒットでこれに応えた。『ジュラシック・ワールド』は、大昔に存在した恐竜たちを遺伝子工学を駆使することで現在に再生させ、テーマパークで見物して楽しんでいる世界が舞台になる。
一方で本作には、もうひとつの別の“再生”のテーマが隠されている。それは本作が1993年、いまから22年前に公開された大ヒット映画『ジュラシック・パーク』の続編となっていることだ。シリーズ第3作の『ジュラシック・パークIII』からでも14年ぶりの新作である。空前の大ヒット作の復活は、かなりハードな仕事だったようだ。
トレボロウ監督は、その難しさを「バランス」と説明する。「今回はバランスをとっても大事にしました。これまでのファンに楽しんでもらう一方で、新しい作品として前に進まなければいけません。その中間を目指しています。ですからストーリーの邪魔にならない程度に、これまでのファンが楽しめるいろんなことを隠したり、埋め込んだりしています。それでも本作を全く知らない人でも楽しめるようになっています。」
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■ 映画とテーマパークはよく似ている
また制作にあたっては2015年という時代も意識した。今回、『ジュラシック・パーク』にも登場したウー博士が再登場するのは、そうした最新の遺伝子工学の成果も反映させものだという。
「ウー博士が再び映画に登場しますが、それは彼には「恐竜たちは100%再生したものでなく、テーマパーク用に作られたアトラクションなのだ」と話させるためでもあります」と言う。
もうひとつ2015年ならではの状況はテーマパークだろう。世界的なテーマパークの盛り上がりは、生きた恐竜のテーマパークがこれまでのシリーズよりさらに現実味を帯びている。
「いま世界中に大きなテーマパークが作られています。いずれも非常に大掛かりです。一方で大き過ぎて疲れ果ててしまうようなところもあります。そうしたことも含めて、観客のいろいろな体験を映画に反映したいと思いました。」
そして現代のテーマパークについても、面白い捉え方を話してくれた。「テーマパークというのは映画の体験に似ているんです。人々にとって刺激やスリル、逃避の場なのです。」テーマパークと映画はよく似ており、『ジュラシック・ワールド』ではそれが一体化しているのだ。
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