舞台『K』第二章 ライブならではの臨場感とヒューマンドラマが展開 | アニメ!アニメ!

舞台『K』第二章 ライブならではの臨場感とヒューマンドラマが展開

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 ■ アニメ第1期後半、エピソードそのまま、ライブならではの臨場感とヒューマンドラマが展開

連載 高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義
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高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 連載第135回
[取材・構成: 高浩美]

2015年10月にテレビアニメ第2期が放送されることになっている『K』。昨年は劇場版も公開され、初舞台化もされた。今回の舞台は昨年の続きの物語となる。
7人の覆面作家集団『GoRA』原作によるオリジナルアニメーション企画でキャッチコピーは”キズナ”である。超能力者が人類の歴史を支えてきたパラレルワールドの現代日本が物語の舞台。7人の王のもとに集まった者同士の交流や超能力戦を描いていく群像劇である。今回は昨年の舞台の続きとなる。

前回はごく普通の高校生活を送っていた伊佐那社、そんな彼が突然攻撃される。彼の危機を救ったのは第7王権者『無色の王』の臣、夜刀神狗朗だった。しかし、彼もまた刀を突きつけて「亡き主の遺命のもと、『悪しき王』を討つ!」と言う。なんだかわからなくなる伊佐那社、当たり前と思っていたことが崩れていくのだが、物語が進行するに従って様々なことが明らかになっていく。

今回の舞台は昨年の続きなので、まずは”おさらい”から。ここはわかりやすく、スピーディーに。それからオープニング、という流れだ。アニメ第1期は全部で13話ある。これを二回にわけての舞台化なので、基本的にエピソードをはしょるこよなく丁寧に描いているのが特徴だ。オープニングで一気に『K』の世界に、観てる方はテンションが上がるところだ。
少しずつ、伊佐那社の本当の姿が見えてくる。実は当の本人もわからない。様々なことに巻き込まれながらも自分のアイデンティティを探す。そんな彼のそばを離れないネコ。特殊能力を持ち、伊佐那社を想う。夜刀神狗朗も伊佐那社と共に行動する。この3人(2人と1匹?)の関係性に変化が訪れる。その変化を上手くバランスを取りながら好演。特に伊佐那社演じる松田凌と夜刀神狗朗演じる荒牧慶彦、昨年もこのコンビだったので息もよく合っていた。

この物語、後半はたたみかけるような展開、学園島が大混乱となる。全ての記憶を取り戻し、本当の自分がわかった伊佐那社のその後の行動は泣ける。クラスメイト達は誰も伊佐那社のことは覚えていなかったが、伊佐那社は”大切な友達”といい、彼らを安全なところへと誘導する。クラスメイト達も彼の記憶がないにも関わらず、どこか懐かしさを感じ、時には涙する。忘れられても伊佐那社にとってはかげがえのない大切な存在なのだ。
そんな中、第三王権者・赤の王周防尊が率いるチーム吠舞羅と、第四王権者・青の王宗像礼司が率いるセプター4がぶつかり合う。周防尊と宗像礼司、見た目も性格も真逆、彼らの一騎打ちはアクションもキマっていて見せ場となっている。パッションのかたまりのような周防尊演じる和田雅成、クールで慇懃無礼なメガネ男子宗像礼司演じる南圭介、後半の戦いぶりは熱演、ラスト近くの男気のある周防尊の行動は要注目ポイントだ。

背景のプロジェクションマッピングも作品世界を盛り上げる。俳優の動きや効果音に合わせるのは大変な作業だと思う。ここのコンビネーションも上手くいってたように感じる。音楽はアニメ第1期と同じ遠藤幹雄。ラストはアニメ第1期のオープニングテーマ曲が流れる。ストーリーは基本的にはしょっていない。ポイントになっている台詞もアニメ版を踏襲している。
だからといってアニメ版の派生作品ではない。舞台、生身の人間が演じている分、ヒューマンドラマの色彩が濃い。2次元ではわからないところ、心の機微などはやはり、生身の俳優が演じているからこそ出せる部分。たとえ反目しあっていても、どこか親近感が沸いたりする。映像、照明、またアンサンブルの”マンパワー”を駆使して『K』らしさを舞台のせる。登場人物全てに意地やプライドを感じる。それがスパークする。そして絆、切れることもある、こんがらがることもある、太くなることもある、それが”絆”なのだろう、この作品の醍醐味部分でもあり、大きなテーマでもある。この秋にはアニメ第2期も始まる。あれからどうなるのか、アニメシリーズ、要チェックだ。
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《高浩美》

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