―― これはガンダムに限らないのですが大河原さんにとってかっこいいメカはそもそもどういったものですか。
大河原
機能を満たすための形になっているメカはすべてどれもかっこいいんですよ。例えば航空機は飛ぶための結晶があの形になっている。コスチュームが違うだけで、基本的な構造はみんな一緒なんです。そうなるとあとは着せかただけの差で、実際にあるメカはすべて美しいですよね。
―― 機能的であるが故にですか。
大河原
ええ、「こんなにきれいなんだ」って感じるメカはいっぱいありますよね。道具にしても工作機械にしても全てです。でもアニメでは、実際にはあり得ないものが、デザインできてしまいます。
―― 機能をあまり考えなくてもいい、絵空事であるからこその恰好よさもありますか。
大河原
私みたいにメカが好きなメカデザイナーは、絵が好きなメカデザイナーと違うんです。絵が好きなメカデザイナーは立体というものよりも、美しさをどんどん追求するわけです。私は基本的にはそれがおもちゃになる、立体になる、ということを特徴にしています。ここはこうして変形する。そして総合的に考えたときに魅力的な形になればいいと思うんです。
監督が何を欲しているのか感じて、それに近いものを出す。これは年には関係ない。演出家の求めているものをいかに出せるかの訓練をしていくと、70歳でも若い監督と仕事ができる。これは大事なことかなと思います。
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―― 7月18日からガンダム展が東京で始まりましたが、特に見てもらいたい部分はありますか。
大河原
いまアジアでガンダム関係のイベントに出ることが多くて。そうすると日本だけでなくて、世界中でガンプラも作っているんですよね。アフリカでも作っているんです。ほんとにボーダレスで、これは何だろうって不思議に思うぐらいです。
今回の六本木のガンダム展は、ちょうど夏休みの時期で他のイベントも多いですから、海外からもいっぱい人が来ると思います。日本はもちろんですが、ガンダムや日本のサブカルチャーに興味ある海外の人にも楽しんで欲しいですね。
―― 上野の森美術館でも8月8日から「メカニックデザイナー大河原邦男展」が開催されます。こちらはどういった内容ですか。
大河原
あちらは私が1972年、ガッチャマンでメカデザイナーになってからの仕事です。これまでスポットが当たってなかった部分を年代ごとに全部まとめています。今まで世の中に出回っていないものがものすごく多いですね。実際にアニメ化に至らなかった作品ものもあります。そういう設定も全部並べます。
来ていただける方は子どもの時代に戻れるんじゃないかなって思います。イベント的な構成なのでとても楽しめます。六本木のガンダム展と上野、1日じゃ回れないかなって感じです。
―― でも両方見てほしいですね。
大河原
そうですね。ガンダムも、ガンダム以外も、どちらも話題としてはいっぱいだと思います。
―― どうもありがとうございました。