―― ちょうどダグラムとレイズナーの話が出たのですが、ガンダムを起点にしたいわゆるリアルロボット路線が80年代の初めに生まれたのですが、それは意識されていたのですか。
大河原
ないですね。リアルロボットも実際には全部が嘘なんです。それを見る人にいかにリアルに感じてもらうかのテクニックなんです。私の場合はリアルに見えるように、いろいろなものを取り入れて、それで錯覚してもらうようにしています。ですから私自身は「リアル」とは言わないんです。リアルに感じてもらうだけです。
―― 逆に絵空事をリアルに感じてもらうのは、むしろ難しいですよね。
大河原
これはシナリオも演出も含めて、全ての力が合わせられないと感じてもらえないです。ガンダムはそれが出来ているんですね。
―― 大河原さんの作品は、そうしたリアルを感じさせるロボットと、一方でちょっと奇抜で面白いかたちのコミカルなメカも多数デザインされます。
大河原
奇抜なデザインは文句を言える人がいないので楽しいですね。おおらかで自分のチャレンジを入れてみたりできるんです。あれこそ一番勉強になりますね。
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―― メカニックのアイディアはどこから生まれるのですか?
大河原
今まで見聞きしたいろんなもの、そこからのアイディアが頭の中にあります。そこからすっと出ていく感じですね。43年間やっていて悩むことはないです。
―― 例えば影響を受けたものはありますか?
大河原
コンピュータ関連の新しい機械があったりすると興味を持つし、買って試してみるのは人よりは多いかもしれないですね。
あとは本ですよね。私の仕事にぴったりという本はないので、兵器だったり、車だったりいろいろな本を見ています。そうした全てからヒントを得ていると思います。