「アニメは非常に重要なコンテンツ」 Netflix日本代表が語る成功の鍵 | アニメ!アニメ!

「アニメは非常に重要なコンテンツ」 Netflix日本代表が語る成功の鍵

Netflixは6月18日、日本のメディア向けに今秋のサービスインに向けた発表会を開催した。代表のグレッグピーターズ氏は日本での展開について「アニメは非常に重要なコンテンツの一つ」とし、ドラマなどと同様にアニメ作品の拡充にも力をいれる意向を示した。

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Netflixは6月18日、日本のメディア向けに今秋のサービスインに向けた発表会を開催した。日本での展開について代表取締役社長のグレッグ ピーターズ氏は「アニメは非常に重要なコンテンツの一つ」と語り、日本でのサービス開始に向けて、積極的にコンテンツを集めていく意向を示した。

Netflixは2015年5月時点で会員数6200万人、世界50ヶ国でサービスを展開する月額定額制の動画配信サービスである。人気の映画やテレビドラマがのほか、「マルコ・ポーロ」や「マトリックス」を手掛けたウォシャウスキー姉弟の「センス・エイト」といったオリジナルの作品も配信されている。 
アニメでは『シドニアの騎士』が海外ではNetflix独占配信となったことも記憶に新しく、また、ウォルト・ディズニーやドリームワークス・アニメーションとの提携も発表されている。

18日の発表会に登壇したグレッグピーターズ氏、そして副社長の大崎貴之氏は日本進出について、5~10年、それ以上の長期でサービスを展開していくと語った。現時点の注目はどれだけのコンテンツを初期に揃えるかというところに集中するが、それだけではなく、日本のクリエイターと連携しながら長期的にコンテンツを製作していく考えだ。
また、ピーターズ氏は日本市場において「ローカルコンテンツの充実なくして成功しえない」との認識を示した。先日発表された「テラスハウス」新シリーズなど、若年層を取り込めるコンテンツのほか、「アニメも非常に重要なカテゴリー」という認識を示し、「世界中に素晴らしいコンテンツを広めていきたい」と語る。大崎氏も「我々には、これまで各地域で別々に存在していたファンコミュニティに、同時に作品を届ける最適なプラットフォームがある」と自信をみせた。

繰り返し強調されたのは「日本のコンテンツを海外へ広める」ということだ。Netflixは世界50ヶ国でサービスを展開しており、配信が単純なコンテンツ提供に止まらず、欧米・中南米と幅広い地域にコンテンツを流通させるチャネルにもなる。発表会では東南アジア進出にも言及し、今後もサービス地域は広がっていくと考えられる。
この点について、17日のフジテレビとの共同会見でも大多亮氏(フジテレビジョン・常務取締役)が「Netflixという発射台から、これまで届けられていなかった人に番組を配信できる。それは作り手にとってこれ以上ない喜び」とも語っている。フジテレビはNetflix先行独占でコンテンツを製作していくことを発表しているが、アニメでもプロダクションと連携してそのような動きがあるのか注目が集まる。

さて、発表会では気になる日本での開始時期や価格帯、初期コンテンツについての詳細は明かされなかったが、改めてサービスそのものについても説明された。
まずは、既に市場でも販売されているNetflixボタンを搭載したTVについてだ。ビジネスデベロップメント担当の下井昌人氏は、搭載した製品が世に出るまで6年の歳月を費やしたと語る。

今後日本で発売される東芝・ソニー・パナソニック・シャープ製の4K・2KTVには全てボタンが標準搭載され、かつ4K映像も視聴可能となる。総務省の公表資料によれば、2020年には4Kテレビ世帯普及率は52.4%、普及台数は約2700万台を見込んでいる。サービスの普及・認知拡大には間違いなく寄与することだろう。そのほか、Blu-rayレコーダーや、安価にNetflixを視聴できるデバイスもローンチにあわせ展開していくというで、サービスとのタッチポイントはかなり広がりそうだ。
また、ケーブルテレビなどのセットトップボックスにも搭載される可能性も指摘。海外では3年ほど前からこうした取り組みが進んでおり、「Netflixオリジナルの作品が高く評価されているため」と現状を分析し、日本で同様の流れになるのも「理にかなっている」と述べた。

そして、本国でも急速に視聴時間が延びているというモバイル端末については、ローンチ同日からiOS、Androidそれぞれアプリを配信し、モバイルユーザーにも視聴環境を提供する。
肝心の動画再生についても下井氏は「小さなイノベーションの積み重ねが最適な視聴環境を構築している。世界で1番優れたプラットフォーム」と自信をみせた。ユーザーの嗜好に応じて作品をオススメするレコメンド機能のほか、本国ではNetflixの代名詞ともなっているという「ビンジウォッチング」も紹介された。日本語では「一気見」となるが、テレビドラマなどで視聴中のエピソードが終わる前から次のエピソードが画面右下に表示されるものだ。

ユーザーの視聴環境を認識し、サーバー側でビットレートを調整して端末へと送信する。リビングでは4Kの映像で楽しみ、移動中にタブレットでも途切れることなく通信速度にあわせた画質で、継続視聴することができるというわけだ。
ドラマなど、数時間にわたるコンテンツが多いが、どの端末・通信環境でも、待ち時間なく視聴できることが強みだという。

ピーターズ氏は国内で先行するプレーヤーとの比較についての質問にも「日本におけるVODサービスはまだスタート地点」と強気な姿勢を崩さない。そして、最も重要なのは「コンテンツ」だと語った。
サービスの開始時期や価格はもちろん、今後も大きな独占コンテンツの発表があるのか、注目が集まる。

《宮崎 紘輔》

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