特別公演「銀河英雄伝説 星々の軌跡」は名台詞、名シーンの連続! 2ページ目 | アニメ!アニメ!

特別公演「銀河英雄伝説 星々の軌跡」は名台詞、名シーンの連続!

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 ■ 「今回の舞台で初めて観劇していただいたお客様が、原作にも、アニメにも、興味を持っていただけるような作品になればと思っています」(ヨリコ・ジュン)

連載・コラム 高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義
特別公演「銀河英雄伝説 星々の軌跡」は名台詞、名シーンの連続!
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■ ラスト近く、ヤンは客席に問いかける。「幸せとは何か、何故、人は戦うのか」

早々に客席通路を使う演出、上手下手、両方の扉から帝国軍の登場、そしてタイトルロールを全員が叫ぶ。緊迫感のあるオープニングだ。それから同盟軍が同じく通路から登場する。今回は客席通路をめいっぱい使い、臨場感を高める、という趣向である。中規模のブルーマンシアター、演者が疾走すれば風が起こる。大きな劇場では味わえない感触だ。

ラインハルトは亡きキルヒアイスとの約束がある。「宇宙を手に入れる」、どんなことがあっても前に進まなければならない。そんな鋼鉄のような意志の強さを間宮は力強い台詞で表現する。約1年ぶりの舞台だが、”間宮閣下”の健在ぶりを示す。物語と登場人物の関係性をたたみかけるようにテンポよく見せる。映像は単なる背景ではない。『銀河英雄伝説』という作品の輪郭を縁取り、宇宙を表現し、時には”演者”となる。ここは演出家の手腕が光るところだ。

過去10作品あったが、この公演、もちろん、演者も劇場のサイズも異なるので、全体を通して同じストーリー部分でも全く違う演出、過去の作品を観劇しているファンなら、脳内でかつての名シーンも蘇り、また新たな発見もある。ここは長くシリーズに携わった演出家ならではの心憎い”配慮”だ。
物語は行きつ戻りつだが、違和感もなく、進行させている。
スライドするパネルと映像のコンビネーションで場面を上手く転換、しかもスピード感を持って変化する。また、ダンスとアクションの融合で戦いの場面を見せたり、あるいはスローモーションな動き等”アナログ”な演出も効果的だ。各キャラクターの見せ場も全体の中でアクセントになっているが、ところどころ、かつての名シーンが異なる視点で描かれたりする。

例えば、ポプランの盟友であるコーネフは撃墜される。前回の舞台では台詞で語られ、ポプランが哀しみにくれている時に”亡霊”のように登場していた。今回は乗り込む前のポプランとのやり取りを前回とは変化を持たせて描き、それから映像を用いて、コーネフは派手に撃墜される。演出を変えるだけでなく、視点やフォーカスさせる箇所を変えることで新しく生まれ変わる。”特別公演”と銘打っている理由もうなずける。
音楽は第1作から手掛けている三枝成影、基本はシンフォニーだが、ポプラン達の出撃前のシーンは一転してロック調に。メリハリの効いた構成は流石。

河村ヤン、貴水オーベルシュタイン、中川ポプラン等、シリーズ常連組は安定したキャラクターぶり。1幕終わりにオーベルシュタインが歌い、2幕は中川ポプランが熱唱する。過去シリーズでも歌ってくれたが、ここでもきっちり歌ってくれるので、素直にテンションが上がるところだ。

『銀河英雄伝説』は、3つの異なるポジションのグループがそれぞれの思惑を持っている。それぞれの正義、必然があり、企み、戦い、相手を陥れようとする。それは避けられないことである。そうしないと己の立場や存在が危うくなるからだ。宇宙の覇者になりたいがために幼い皇帝を誘拐し、その”罪”をなすりつけ、攻撃の大義名分にする帝国、帝国と同盟国は”ドロー”でいて欲しいフェザーン、民主主義を唱えているにもかかわらず己の権力や保身でばらばらな同盟国。それを俯瞰的に見てどこか悟っているヤン。しかし、彼は同盟軍の一軍人、そのポジションからは逃れられない。
ラスト近く、ヤンは客席に問いかける。「幸せとは何か、何故、人は戦うのか」。たとえ平和が訪れても、それはいっときのことにしか過ぎなくても幸せと平和が訪れて欲しいと願うヤン。この言葉は説得力がある。『銀河英雄伝説』のテーマでもあるが、それを声を大にして言うところは舞台ならでは。ナレーションはアニメでもその台詞回しが好評だった屋良有作。カーテンコールは舞台版おなじみの、あの歌で締めくくった。上演時間は1幕約75分、2幕約85分。

なお、ゲネプロ前に会見があった。登壇したのは河村隆一、間宮翔太朗、渡辺裕之、中川晃教、貴水博之。
昨年の『銀河英雄伝説』のコンサート時に河村隆一が”やりたいね”で実現したこの特別公演。「突然、僕が言い出して……。やっぱりやりたいんですよね」と河村。とは言っても”やりたい”だけで実現してしまうのはなかなかないこと。それで出来てしまうのは、キャストがこの作品を深く愛していることに他ならない。
それにしても超大作、渡辺裕之は「DVDがこのくらいあって、観るのに時間がかかる……それを(今回の舞台では)ギュッと」と手で示した。貴水は「歌うかも(笑)」とアピールしたかと思いきや、いきなり歌いだす。”ショーストッパー”と化して登壇者、記者その場に居合わせた全ての人々を唖然とさせた(会見一時中断!)。

河村は「政治劇、群像劇、人間劇があって誰1人悪者ではありません。1つの真実に向かっては、愛情を持っていたり、あるいは正しいと思って生きています。それが現代社会にはいろんな抗争とか戦争とかがあると思いますが、実は何かの誤解でこうなってしまっているんじゃないかなということを考えさせてくれるような作品になっています」とアピール。
間宮は「映像とかもパワーアップしています!」とさらにアピール。中川が「ブルーシアターが宇宙になります」と言ったかと思いきや、貴水に対抗(?)して歌ってくれた。和やかに会見は終了したが、このカンパニー、仲がいいだけでなく、結束力も相当高い、と見た。

特別公演『銀河英雄伝説 星々の軌跡』
2015年6月10日(水)~21日(日)
Zeppブルーシアター六本木
【出演】 河村隆一 間宮祥太朗/
中村誠治郎 山本匠馬 小柳心/はねゆり 三上俊 中山由香 福山翔大 長江崚行 山崎雄介 一ノ瀬ワタル/ 増澤ノゾム 伊藤哲哉 宮本大誠 萩野崇/渡辺裕之 天宮良 石坂勇/中川晃教/貴水博之 ほか
【脚本】ヨリコジュン、川光俊哉 【演出】ヨリコジュン
http://www.gineiden.jp/kiseki/
(C)田中芳樹/キティエンターテインメント
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《高浩美》

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